V-107

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CH-46 シーナイト

強襲揚陸艦「サイパン」上のCH-46(2004年4月)

強襲揚陸艦サイパン」上のCH-46(2004年4月)

V-107アメリカ合衆国航空機メーカー、ボーイング・バートル社が製造したタンデムローター式のヘリコプター

目次

[編集] 概要

バートル社が製作した、同社唯一の実用ヘリコプターであった。バートルはパイアセッキ・ヘリコプターの流れを汲む会社で、設立間もない1956年に大型輸送機の開発に取り組んだ。機体はターボシャフトエンジン双発、タンデムローターのヘリコプターで、エンジンを胴体後方の上部に取り付け、客室の騒音軽減と面積拡大をはかり、貨物の積み込みを簡易にする為、機体後部に傾斜板式の扉をとり付けた。また、客室は完全密閉できるように処理し、水上でも安全に運用できるようにした。

バートルモデル107(V-107)と名づけられた原型機は1958年4月に初飛行し、この巨大ヘリコプターに目をつけていたアメリカ陸軍によって、7月に研究用YHC-1A(後にYHC-1C)として少数が購入されたが、エンジン出力が小さかった為に採用されなかった。

CH-46に乗り込む海兵隊員

陸軍の不評によって注文は全く無く、そこでエンジンをゼネラル・エレクトリックのT-58-110-1に転換して出力を強化したモデル107IIを発表して、1960年10月25日に初飛行した。すると、アメリカ海兵隊1961年に強襲揚陸作戦用ヘリコプター HRB-1「シーナイト」(Sea Knight)として採用したことにより、軍民両用の機体として注目されるようになった。その後、アメリカ軍の航空機呼称が変更され、CH-46「シーナイト」に統合された。

バートルは1960年ボーイング社に吸収されて、同社のヘリコプター部門(ボーイング・バートル、後に完全吸収)となるが、V-107の生産は続けられ、カナダスウェーデンなどへ輸出された。また、この機体の特徴はすぐ後に生産された弟分のCH-47によく受け継がれている。

[編集] 日本での運用

日本では川崎重工業1962年(昭和37年)5月にノックダウン生産1号機を飛行させ、1965年(昭和40年)には生産販売ライセンスを取得した。各自衛隊でKV-107として採用された他、警視庁や民間向けに販売し、日本政府による「武器輸出三原則」が発表されるまで海外への輸出も行った。 自衛隊向けの機体は「しらさぎ」との愛称が付与されたが「バートル」と呼ばれることが多い。

陸上自衛隊

日本で最も多くのKV-107 ユーザーとなった陸上自衛隊は、1966年(昭和41年)4月5日から1972年(昭和47年)にかけて川崎KV-107II-4を41機購入し、同年からはエンジンを石川島播磨のCT58-IHI-140(1,400shp)に換装したKV-107IIA-41981年(昭和56年)11月12日まで18機購入、上陸・輸送ヘリコプターとして使用した。

陸自の機体はキャビンの床面を補強しローラーコンベアを設置し、電動ウィンチを使って重機材を後部扉から引き込み搭載できるようになっている。また胴体下面には4.5トン対応のカーゴスリングを装備し、重量物の運搬を可能としている。胴体両側には80ガロンの増槽を装備しているが、沖縄県の第101飛行隊に配備された機体は、海自や空自と同様に500ガロンのスポンソンタンクを装備し、一部では機首に気象レーダーを取り付ける工事を行った。また陸自では、民間向けの旅客型に準じた仕様で、胴体側面に角窓が並ぶVIP仕様機のKV-107II-4Aも1機購入している。

陸自の機体は日本航空123便墜落事故にも出動し、生き残った乗客を救出する姿がテレビなどで報道され、有名になった。後継機としてCH-47J/JAが導入されると減数し、KV-107II-4Aは1996年(平成8年)4月に退役、KV-107II-4/IIA-4も2002年(平成14年)3月25日に全機が退役した。

航空自衛隊

陸自に続くユーザーである航空自衛隊では、S-62J、H-19C救難ヘリコプターの後継として1967年(昭和42年)からKV-107II-5を17機導入し、18号機からはエンジン強化型のKV-107IIA-5に切り替えられ、1990年(平成2年)までに計52機が納入された。1991年(平成3年)からUH-60Jの導入が始まったことから減数に転じ、2009年(平成21年)11月3日、入間基地での航空祭を最後に退役した[1]。通常は黄色を基調とした救難塗装をしている。

海上自衛隊

海上自衛隊では機雷掃海ヘリコプターとしてKV-107II-31963年(昭和38)から9機を導入した。1984年(昭和59年)から1994年(平成6年)にかけて後継MH-53E シードラゴンが11機導入されたことにより順次退役し、1988年(昭和63年)に全機が用途廃止となった。

[編集] 性能・主要諸元

CH-46の三面図
  • 全長:25.40m (回転翼含)
  • 胴体全長:13.66m
  • 胴体幅:2.21m
  • 全高:5.09m
  • 主回転翼直径:15.24m x2
  • 主回転翼枚数:3枚
  • 室内長:7.37m
  • 室内幅:1.83m
  • 室内高:1.83m
  • 自重:5,251kg
  • 運用重量:4.868t
  • 最大離陸重量:8.618t
  • 全備重量:9.7t
  • 超過禁止速度:254km/h (外部搭載なし 270km/h)
  • 巡航速度:241km/h
  • 実用上昇限度:5,180m
  • ホバリング上昇限度:3,350m (IGE)
  • 航続距離:396km(増槽使用:1,100km)
  • 燃料容量:510gal(機内 350gal+増槽80gal×2)
  • 発動機:ゼネラル・エレクトリック製 CT58-140-1 ターボシャフト×2(出力1,400hp×2)
    • (川崎製) IHI製 CT58-IHI-101-1 ターボシャフト×2(出力1,250shp/19,500rpm×2)
  • 武装:固定武装なし。機内に自衛・制圧用小火器の搭載は可能。
  • 収容人数:乗員 3+乗客25
  • 初飛行:1958年4月22日(モデル107原型機)

[編集] 派生型

軍用型を採用した国(赤)と民間型を採用した国(臙脂色)
訓練に参加するアメリカ海兵隊のCH-46E
  • モデル107:原型機の社内呼称
  • YHC-1A:モデル107のアメリカ陸軍向け研究機。
  • モデル107II:T58エンジンを搭載した出力強化型。
  • HRB-1:モデル107IIの海兵隊向け。
  • HKP-4:モデル107IIのスウェーデン向け。
  • CH-46A:旧称 HRB-1
  • CH-46D:CH-46Aのエンジン出力を強化した機体。
  • CH-46E:エンジンの出力強化と機体の近代化改修を施したもの。
  • CH-46F:46Dに電子機器を追加装備した機体。
  • UH-46A:CH-46Aのアメリカ海軍向け汎用輸送型。
  • UH-46D:CH-46Dの海軍向けの汎用輸送型。
  • CH-113:CH-46Aのカナダ向け。愛称は「ラブラドール」。
  • CH-113A:CH-113の改良型。愛称は「ボワヤジュール」。
川崎重工業製品
  • KV-107II-1:基本モデル(CT58-110-1エンジン)
  • KV-107II-2:操縦士2+客室乗務員1+客席35席の旅客機型(CT58-110-1)
  • KV-107IIA-2:KV-107/II-2の改良型
  • KV-107II-3:海上自衛隊向け機雷対策型。愛称は「しらさぎ」(CT58-110-1)
  • KV-107II-4:陸上自衛隊向け強襲上陸/貨物輸送型(CT58-IHI-110-1)
  • KV-107II-4A:陸上自衛隊 VIP仕様(CT58-IHI-110-1)
  • KV-107II-5:航空自衛隊の捜索救難型。スウェーデンにも輸出。(CT58-IHI-110-1)
  • KV-107II-7:6~11席の要人輸送型、タイにもVIP仕様で輸出。(CT58-110-1)
  • KV-107II-16:スウェーデン向け(GNOME H1200)
  • KV-107IIA-2:民間向けのエンジン転換(CT58-140-1)
  • KV-107IIA-3A:海上自衛隊向けのエンジン転換(T58-IHI-10-M1)
  • KV-107IIA-4:陸上自衛隊向けのエンジン転換(CT58-IHI-140-1)
  • KV-107IIA-4A:陸上自衛隊向けの長距離型(CT58-IHI-140-1)
  • KV-107IIA-5:航空自衛隊向けのエンジン転換(CT58-IHI-140-1)
  • KV-107IIA-17:警視庁向けの長距離型(CT58-140-1)
  • KV-107IIA-SM-1:サウジアラビア向けの消防仕様(CT58-IHI-140-1M1)
  • KV-107IIA-SM-2:サウジアラビア向けの病院・救難捜索機 (CT58-IHI-140-1M1)
  • KV-107IIA-SM-3:サウジアラビア向けのVIP仕様(CT58-IHI-140-1M1)
  • KV-107IIA-SM-4:サウジアラビア向けの救急仕様:(CT58-IHI-140-1M1)

[編集] 登場作品

[編集] 映画

  • ゴジラシリーズ
    • キングコング対ゴジラ』 - 米軍所属機が氷山から出現したゴジラを発見したほか、陸上自衛隊所属機がキングコングの移送に活躍。
    • モスラ対ゴジラ』 - 帯電ネットを空輸してゴジラに投下。
    • ゴジラ対ヘドラ』 - 酸素爆弾を搭載してヘドラを攻撃したが、地上側の誘導作戦の邪魔になった上、逆に撃墜された。
    • ゴジラ』(1984年) - 伊豆大島三原山火口の超音波発信施設の建設で物資を空輸。
    • ゴジラvsビオランテ』 - 伊勢湾でのゴジラ迎撃作戦に大挙押し寄せたほか、黒木ら自衛隊幕僚を若狭の作戦本部に空輸。
  • 世界大戦争』 - 連邦国陣営の空中指揮機として登場。38度線で同盟国側砲台攻撃を指揮したが、同盟国陣営の迎撃で撃墜された。
  • 妖星ゴラス』 - 米軍機が南極での物資輸送に登場。
  • 007は二度死ぬ
  • BEST GUY』 - 航空自衛隊の捜索救難機として登場。
  • 空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-』 - 冒頭のシーンで航空自衛隊の航空救難団所属機が登場。学校の校庭に着陸し、急病になった主人公の母親を搬送。

[編集] その他

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 脚注

  1. ^ さよならバートル 救難ヘリV-107がラストフライト(asahi.com 2009年11月 閲覧)

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月8日 (日) 00:38 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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