イカ

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イカ

コウイカの一種
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 頭足綱 Cephalopoda
上目 : 十腕形上目 Decapodiformes
ウィキメディア・コモンズ

イカ(烏賊)は、軟体動物門 頭足綱 十腕形上目に分類される動物の総称。

目次

[編集] 形態

神経系筋肉がよく発達していて、たいていの種類は夜に行動する。 漏斗からの噴水と外套膜の収縮、ひれを使って前後に自在に泳ぐ。

10本の腕は筋肉質でしなやかに伸縮し、腕の内側にはキチン質の吸盤が並んでいる。 吸盤にスパイクのような鋭いトゲが並ぶ種類もおり、これは獲物を逃さないための適応と考えられる。 実際の腕は8本で、残りの腕2本は吸盤が先端に集中する「触腕(しょくわん)」とよばれる構造である。 この触腕を伸縮させて魚類甲殻類を捕食するが、釣りの時に触腕を欠いて逃げることや、テカギイカの仲間では成長に伴い触腕を欠くことから、必ずしも必要というわけではないようである。 コウイカ目では触腕は第3腕と第4腕との間にある「ポケット」に収めることが出来、普段は8本脚に見える。 ツツイカ目では長さを縮めることは出来るが完全に収めることが出来ない。

体内には貝殻が存在するが、種によって形状が大きく異なる。ヤリイカ類などでは軟甲と呼ばれ、薄膜状になっている。コウイカ類では船状の形状で、イカの甲またはイカの骨と呼ばれる。トグロコウイカでは、オウムガイのように巻貝状で内部に規則正しく隔壁が存在し、細かくガスの詰まった部屋に分けられている。

皮膚には色素細胞がたくさん並んでおり、精神状態や周囲の環境によって体色を自在に変化させる。 調理に際して、両目の間にある神経系の基部を刺してしめると、ただちに体色が白濁する。

イカは本来の心臓の他に、2つの鰓(えら)心臓を持っている。鰓心臓はえらに血液を急送する働きを担っている。 イカの血は銅タンパク質であるヘモシアニンを含むために青色である(ほとんどの脊椎動物血液中に含まれる鉄タンパク質のヘモグロビンは赤色)。

イカは浮力を得るために、比重の重い液体を体液に含むことで、海水と同じ比重の体になる。特にダイオウイカなど一部の深海凄のイカの仲間には、浮力を得るために、塩化アンモニウムを体内に保有している場合がある。特定のイカにある”えぐみ”はこのためであるが、特にダイオウイカなどは辛臭くて食えたものではないという感想もある。

体の大きさに対しての眼球の割合が大きいことから、行動の多くは視覚による情報に頼っていると思われる。嗅覚や味覚に関する研究はほとんどない。

[編集] 生態

全世界の浅い海から深海まで、あらゆる海に分布する。淡水域に生息する種類は存在しない。体長は2cm程度から20mに達するものまで、種類によって差がある。

小魚、甲殻類を主食とする。天敵はカツオマグロなどの大型魚類、カモメアホウドリなどの鳥類、アザラシハクジラ類のイルカマッコウクジラなどの海生哺乳類である。敵から逃げるときは頭と胴の間から海水を吸い込み「ろうと」から一気に吹きだすことで高速移動する。さらに体内の「墨汁のう」からスミを吐き出して敵の目をくらませる。タコのスミは外敵の視界をさえぎることを目的とし、一気に広がるのに対し、イカのスミは一旦紡錘形にまとまってから大きく広がる。紡錘形にまとまるのは自分の体と似た形のものを出し、敵がそちらに気を取られているうちに逃げるためと考えられている。

[編集] 科学との関わり

  • 液晶 - 初期はイカの内臓の一部から作られていた。現在日本で用いられているものはほとんど化学的に合成されたものである。
  • 神経細胞 - 巨大軸索と呼ばれる普通の生物に比べて極端に太く扱いやすい神経があり、これを利用して神経細胞や神経線維の仕組みや薬理作用の解明が進んだ。なおこの実験で用いられたのはヤリイカであった。ヤリイカはコンラッド・ローレンツに「人工飼育が不可能な唯一の動物」とさえ呼ばれるほど飼育が難しい生物であったが、松本元がその飼育に成功した。ローレンツは実際に水槽で生きたヤリイカを見るまで、そのことが信じられなかったという。
  • 平衡石 - 平衡石という平衡感覚をつかさどる組織を持つ。平衡石には特定の周期で樹木の年輪と同じ様な環状の模様が形成される。
  • インク - イカスミがインクとして使用されていた。セピアという言葉の語源で、いわゆるセピア色のインク。(参照:色名一覧 (せ)

[編集] 食材

食用になる種類が多く、軟骨とクチバシ以外ほぼ全身が使われる。刺身、焼き、揚げ、煮物、塩辛、干物など実に多彩である。としても好まれる。イカの丸焼きは、お祭りの屋台の定番となっているほか、イカソーメンイカめしなどが収穫量の多い地域の特産品となっている。 日本で最も多く消費される魚介類であり、その消費量は世界の年間漁獲量のほぼ2分の1(2004年現在・約68万トン)とも言われている。

栄養的には、ビタミンEタウリンが多いほか、亜鉛DHAEPAも豊富である。

イカは消化しにくく、胃もたれの原因と思われがちだが、消化率は魚類と大差ない。

信州では、古くから保存食として用いられていた塩いか又は塩丸いか(茹でたイカの腹に、ゲソと共に粗塩を詰めたもの)が、現在でも食べられている。

ユダヤ教では鱗がない海生動物はカシュルートでないためイカを食べることは禁じられている。その他の欧米諸国でもタコと同様不吉な生き物とされ、イカを食べないことは多いが、ギリシアなど正教徒が多い東地中海地方では、のためイカ料理がよく食される。

食用にする際には10本の腕全てを下足(げそ)と呼ぶ。

[編集] 主な料理法

屋台に並ぶイカの下足焼きと丸焼き

[編集] イカスミ

主に地中海地方でイカのスミを調理に使う。パスタのソースに使ったイカスミスパゲッティや、パエリアに混ぜるなどして使われる。日本では、「黒作り」(墨入りの塩辛)を除いては沖縄以外では使われていなかった[要出典]食材だが、イタリア料理スペイン料理の影響から、和食洋食に使われるようになった。イカのスミはタコのそれと比べて旨味はやや劣るが、高い粘性とアミノ酸を多く含む点でタコよりも料理に適する。

中世ヴェネツィアではペスト(黒死病)に対する薬効があるとされ、好んで食べられた。

なお、イカスミを摂取した後は便が黒くタール状になり、また便潜血検査も陽性になるため消化管出血と間違われ易い。便の検査を受けるまえの数日間の摂取で、検査結果が誤って出る恐れがある。

[編集] セピア色

イカスミやタコのスミから作られた黒茶色の絵具のことをセピアといい、その色のことをセピア色という。セピアという語は、ラテン語で甲イカ(cuttlefish)の意味である。

[編集] 漁業・水産

漁法としては、イカ釣り舟によるものがあり、集魚灯によりイカをおびきよせる。シーズンは秋頃である。[1]

[編集] 日本の陸揚げ漁港

  • 2002年度
第1位 - 八戸漁港青森県
第2位 - 石巻漁港宮城県
第3位 - 羅臼漁港(北海道
第4位 - 境漁港鳥取県
第5位 - 函館漁港(北海道)

[編集] 分類

[編集] コウイカ目 Sepiida

英名 Cuttlefish

  • コウイカ科 Sepiidae
    • ハナイカ属 Metasepia - ミナミハナイカ
    • コウイカ属 Sepia - コウイカ、カミナリイカ(モンゴウイカ)
    • シリヤケイカ属 Sepiella - シリヤケイカ
  • ミミイカダマシ科 Sepiadariidae
    • ミミイカダマシ属 Sepiadarium - ミミイカダマシ
    • Sepioloidea - タテジマミミイカ

[編集] ダンゴイカ目 Sepiolida

英名 bobtail squid

  • ヒメイカ科 Idiosepiidae
    • ヒメイカ属 Idiosepius - ヒメイカ
  • ダンゴイカ科 Sepiolidae
    • ヒカリダンゴイカ亜科 Heteroteuthinae
      • Heteroteuthis - ヒカリダンゴイカ
      • Iridioterthis
      • Nectoteuthis
      • Sepiolina
      • Stoloteuthis
    • ボウズイカ亜科 Rossiinae
      • Austrorossia
      • Neorossia
      • ボウズイカ属 Rossia - ボウズイカ
      • Semirossia
    • ダンゴイカ亜科 Sepiolinae
      • Euprymna - ミミイカ
      • Inioteuthis
      • Rondeletiola
      • Sepietta
      • ダンゴイカ属 Sepiola - ダンゴイカ、ヒメダンゴイカ

※一般的にはコウイカ目(Sepiida)に属する。

[編集] トグロコウイカ目 Spirulida

  • トグロコウイカ科 Spirulidae
    • トグロコウイカ属 Spirula - トグロコウイカ(Ram's Horn Squid

※一般的にはコウイカ目(Sepiida)に属する。

[編集] ツツイカ目 Teuthida

英名 squid

  • ヤリイカ下目(閉眼下目) Myopsida
    • ヤリイカ科(ジンドウイカ科)Loliginidae
      • ヤリイカ属 Loligo - ヤリイカ
      • ジンドウイカ属 Loliolus - ジンドウイカ(ヒイカ)
      • フクロジンドウイカ属 Lolliguncula
      • ピックフォードイカ属 Pickfordiateuthis
      • アオリイカ属 Sepioteuthis - アオリイカ
      • Uroteuthis
  • スルメイカ下目(開眼下目) Oegopsida
    • ダイオウホタルイカモドキ科 Ancistrocheiridae - ダイオウホタルイカモドキ
    • ダイオウイカ科 Architeuthidae - ダイオウイカ
    • ナツメイカ科 Bathyteuthidae - ナツメイカ
    • コウモリイカ科 Batoteuthidae - コウモリイカ
    • クビナガイカ科 Brachioteuthidae - クビナガイカ
    • ユウレイイカ科 Chiroteuthidae
      • シチクイカ属 Asperoteuthis
      • Chiropsis
      • ユウレイイカ属 Chiroteuthis
      • Valbyteuthis
    • ヒレギレイカ科 Chtenopterygidae
      • ヒレギレイカ属 Chtenopteryx
    • サメハダホウズキイカ科 Cranchiidae
      • サメハダホウズキイカ亜科 Cranchiinae
        • サメハダホウズキイカ属 Cranchia
        • トウガタホウズキイカ属 Leachia
        • ホウズキイカ属 Liocranchia
      • クジャクイカ亜科 Taoniinae
        • メナガイカ属 Bathothauma
        • Egea
        • スカシイカ属 Galiteuthis
        • ゴマフホウズキイカ属 Helicocranchia
        • Liguriella
        • ホホホウズキイカ属 Megalocranchia
        • ダイオウホウズキイカ属 Mesonychoteuthis
        • ナミダホウズキイカ属 Sandalops
        • クジャクイカ属 Taonius
        • サヤボソイカ属 Teuthowenia
    • ウチワイカ科 Cycloteuthidae
      • トガリウチワイカ属 Cycloteuthis
      • ウチワイカ属 Discoteuthis
    • ホタルイカモドキ科 Enoploteuthidae
      • ナンヨウホタルイカ属 Abralia
      • ニセホタルイカ属 Abraliopsis
      • ホタルイカモドキ属 Enoploteuthis
      • ホタルイカ属 Watasenia - ホタルイカ
    • テカギイカ科 Gonatidae
      • ドスイカ属 Berryteuthis
      • ニセテカギイカ属 Eogonatus
      • タコイカ属 Gonatopsis
      • テカギイカ属 Gonatus
    • クラゲイカ科 Histioteuthidae - クラゲイカ
    • オナガイカ科 Joubiniteuthidae - オナガイカ
    • ウロコイカ科 Lepidoteuthidae - ウロコイカ
    • リコトゥチス科 Lycoteuthidae
    • Magnapinnidae
    • ムチイカ科 Mastigoteuthidae
      • ムチイカ属 Mastigoteuthis
      • Idioteuthis
    • ネオトゥチス科 Neoteuthidae
      • Alluroteuthis
      • Neoteuthis
      • Nototeuthis
    • ヤツデイカ科 Octopoteuthidae
      • ヤツデイカ属 Octopteuthis
      • ヒロビレイカ属 Taningia
    • アカイカ科 Ommastrephidae
      • マツイカ亜科 Illicinae
        • マツイカ属 Illex
      • アカイカ亜科 Ommastrtrephinae
        • アメリカオオアカイカ属 Dosidicus
        • スジイカ属 Eucleoteuthis
        • シラホシイカ属 Hyaloteuthis
        • アカイカ属 Ommastrtrephes
        • ヤセトビイカ属 Ornithoteuthis
        • トビイカ属 Sthenoteuthis
      • スルメイカ亜科 Todarodinae
        • ニセスルメイカ属 Martialia
        • ニュージーランドスルメイカ属 Nototodarus
        • スルメイカ属 Todarodes - スルメイカ
        • ニセマツイカ属 Todaropsis
    • ツメイカ科 Onychoteuthidae
      • ホソツメイカ属 Ancistroteuthis
      • ウデナガニュウドウイカ属 Kondakovia
        津軽海峡の水深320mから釣り上げられた3m13cm/24kgのニュウドウイカの一種(標本)
      • ニュウドウイカ属 Moroteuthis
      • Notonykia
      • ホンツメイカ属 Onychoteuthis
      • Onykia
    • ヤワライカ科 Pholidoteuthidae
      • ヤワライカ属 Pholidoteuthis
      • Tetronychoteuthis
    • ダルマイカ科 Promachoteuthidae - ダルマイカ
    • ナンキョクイカ科 Psychroteuthidae - ナンキョクイカ
    • マダマイカ科 Pyroteuthidae
      • マダマイカ属 Pterygioteuthis - マダマイカ
      • Pyroteuthis
    • ソデイカ科 Thysanoteuthidae - ソデイカ
    • ワルビストゥチス科 Walvisteuthidae - Walvisteuthis virillis

[編集] その他

  • イカの数え方は状態によって異なる。生きている時はだが、水揚げされると、干すと枚である。
  • 地口に「そうはいかの金玉」というフレーズがある。
  • コウイカの骨(甲骨)は漢方薬として利用される。
  • 漢字「烏賊」の由来は海に飛び込んでイカを食べようとしたカラスを、反対にイカの方が食べてしまったからとも言われる。
  • 日本の警察隠語として現場に残された靴跡を「ゲソ痕(こん)」と呼ぶのはこれに由来している。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月27日 (金) 16:29 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【イカ】変更履歴

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