インテーク

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エア・インテーク: air intake)、あるいは単にインテーク: intake)は、空気取り入れ口のこと。航空機ミサイル自動車バイクなどの、乗り物におけるエンジンへの空気取り入れ口を指すことが多い。ほかに空調補助動力装置 (APU) などへの取り入れ口も、インテークと呼ばれる。

エア・インレット (air inlet) 、あるいは日本語で空気吸入口空気取り入れ口などとも表記されるが、いずれも同じものを指す。ただしエアインテークではなく「インテーク」と単純に言った場合、それは空気以外の流体を取り入れるために使われることもあるので注意。

航空工学自動車工学など流体力学を必要とする分野では良く使われる言葉である。

インテークは流管であるため、インテーク内にある流体の速度や圧力はベルヌーイの定理によって求められるが、インテーク付近(境界層)では流体の持つ粘性によって流速に変化が生じ、さらに空気のように圧縮性流体の場合は完全な計算が困難になるため(全ての流体は圧縮性を持つが、無視できるレベルは計算の簡略化のため省いて計算するのが普通)、実際に航空機などに取り入れる場合は風洞実験を行ってその性能を確かめる。

目次

[編集] 形状

流入空気の速度によってインテーク(インレット)の形状は異なる。以下に代表的な例を挙げる[1] 。これらのいずれにも区別しづらい形状も存在する。

フェラーリ・F40のNACA型インレット
NACA型 (en:NACA duct)
入口は長方形で、奧に行くにつれて横幅が増えるような形状。NACAフラッシュインレット (flush inlet)、NACAダクト (duct)、NACAスクープ (scoop) などとも呼ばれる。圧力回復はピトー型の90%程度と効率はそれほど良くないが、取り入れ口の高さが低く空気抵抗が小さいため、低速域で使用されることが多い。航空機では空調やAPUの取り入れ口などに、自動車では空調や過給器の取り入れ口などに使用される。NACAはNASAの前身の研究機関。
ピトー型
ピトー管と同様の、ただの円管のような形状。亜音速での効率が良く、ジェット旅客機のエンジンの多くがインレットにピトー型を採用している。マッハ 1.4程度よりも小さな超音速域でも使用され、その際はノーマルショック・インレット(normal shock(wave) は垂直衝撃波の意)と呼ばれる。F-86MiG-15といった初期のジェット戦闘機は胴体の先端に設けた(そのため、ふつう胴体先端に設置される速度計測用のピトー管は主翼に移されている)。亜音速用に比べ超音速用はカウル・リップ(入口の縁)の半径が小さい。また同一のインレットでも迎え角の影響を考慮して上下のカウル・リップ半径は異なることが多い。
2次元型
正面から見ると四角形、横から見るとくさび形のような形状で、Dインレットとも呼ばれる。コンコルドのような超音速輸送機や、F-14Su-27といった戦闘機などが採用する形状で、翼の下、胴体の左右に設けられることが多い。マッハ 2程度までで効率がいい(後述する多段階の減速(圧縮)を使用すればより高速度域でも使用可能)。
ランプ型
ランプと呼ばれる板状のものを付加したインテークの形状の事。上記の2次元型と併用して2次元ランプ型と称する場合が多い。
円錐型
円管の中心から円錐が突き出たような形状で、空気は円錐と円管の間から流入する。この円錐をショック・コーンと言う。スパイク型・円形・軸対称型などとも呼ばれる。半円などのバリエーションもある。マッハ 2程度よりも上で飛行する場合に使用され、円錐型はMiG-21SR-71など、半円型はF-104などが採用した。

このうち、超音速での運用が主眼であるランプ型と円錐型では、圧力回復効率を上げるために、斜め衝撃波を複数回発生させて流れを減速・圧縮する事がある。

[編集] 航空機

F-16戦闘機のインテーク
操縦席下の口のように見える部分

航空機、特にジェット機では、空気の取り入れはエンジンや飛行機そのものの性能を大きく左右する重要な要素の1つである。特にエンジンを胴体に埋め込むコンフィギュレーションを採用した場合、エアインテークの数、機体に対する配置、形状、ダクトの形状が要求される飛行機の性能を左右する。たとえばF-16F/A-18では、それぞれ胴体とストレーキ(翼前縁延長部)の下にインテークを配置することで、迎え角が大きな飛行状態でもエンジンへ安定して空気を供給できるように配慮している。

T-2のインテーク

また空気の薄い所を飛行する高高度航空機においては、機動性の犠牲を最小限にとどめつついかに大量の空気を吸い込むか、ジェット戦闘機のような超音速で飛行する航空機においては、高速で流入する空気をいかに亜音速まで減速させてエンジンの燃焼室に導くかという、非常に重要な役割を担っている。

誤解されやすいが、一般の超音速機は、超音速の空気に燃料を噴射・燃焼させているわけではなく、インテークセクションで亜音速(大体マッハ 0.4 - 0.5)まで減速させ、同時に圧力を増大させている(圧力回復)。この効率もインテークによって左右される。

MiG-15のインテーク

初期のジェット戦闘機やあまり速い速度にならないジェット旅客機の場合はもっぱら亜音速での飛行であり、空気を減速させる必要もあまりなかったために、右の機体中央にインテークが設けられているMiG-15戦闘機のように、流入した空気をほとんどそのままエンジンまで導く形状、すなわち上述されたピトー型をしている。

一方、超音速機の場合は、2次元ランプ型、あるいは円錐型の採用例が多い。ランプ、あるいはショック・コーンが、流入した空気を減速させる役割を持つ。

ランプ、あるいはショックコーンが可動式の場合は、低速から高速域まで、空気の流入量を最適に保つ働きを持っている。特に1950年代以降の初期のマッハ2級超音速機の採用例が多い(というよりマッハ2に達しなかった機体は、可変機構を採用していない)。一方で、最大速度に対する要求の緩和と、変形機構による重量増加・整備性悪化を避ける点から、最大速度を若干犠牲にして(マッハ 1.8程度)も、インテークは固定式とすることが1980年代 以降の超音速戦闘機では一般的となっている。

低空・低速で飛行している際は、ここから鳥を吸い込んでエンジンを損傷させ、最悪の場合飛行機が墜落する可能性もある(バードストライク)。ジェットエンジンのテストでは、稼動しているエンジンに、冷凍された鶏をエンジンに撃ち込み、その後でも安全に着陸できる程度の出力を稼げるかと言うテストを行っているが、それでも万全ではない。そのためにインテーク形状にも工夫を加え、空気は取り込んでも鳥のような他のものは吸い込みにくくするような形状にさせる必要がある。

インレット位置・形状やダクト形状はステルスへも影響を及ぼす。たとえばF-117攻撃機やB-2爆撃機は、地上からのレーダー探知を避けるように主翼の上側にインテークを設置している。また、ステルス性を意識して開発された戦闘機では、レーダーに対する反射の大きなファンブレードが正面から見えないように、単発機でも敢えて左右に取り入れ口を設ける(サーブ 39 グリペンF-35など)といった工夫が成される。


[編集] 自動車

レガシィのターボモデルに採用されている、インタークーラー冷却用エアインテーク(ボンネット中央)。

自動車においてもインテークはエンジンに空気を送ったり、エンジンやラジエターを冷却するのに用いられる。ただし自動車、特に乗用車においては、空力特性よりもインテーク自体やインテークが全体のフォルムに及ぼすデザインが重要視される傾向がある。上述した航空機ほど高速にはならない上に、乗用車は購買層が性能よりも見た目を重視する一般人であり、車も1つのファッションであるという性格が関係している。

なお、ターボチャージャースーパーチャージャーなど過給器を持つ車の場合、過給器へ効率よく空気を送るためや、インタークーラーを持つ車種はインタークーラー冷却用に、ボンネットにインテークの穴が開けられている車も少なくない。これらは上述したNACA型を採用しているケースが多い。

また日本車の多くは車体前部にエンジンがあるが、エンジンが車体の中央にあるホンダ・NSXトヨタ・MR2や、車体の後部にある三菱・iといったMRRRの車は、車体横や後部にエンジンに空気を導くインテークが設けられている他、エンジンが前部にある車でも、リアブレーキを冷却するためのインテークがボディ横の下部に設けられている場合がある。

F1のようなレーシングカーでは最高速度が時速300km以上にもなるために、航空機のような大きなインテークがボディの横や上に設けられていることも多い。レーシングカーにおけるエアインテークの形状や取り付ける位置は、乗用車と違ってレーシングカーそのものの性能を決める大切な要素の1つである。

さらに速度を出すのが目的ではないが、水陸両用車や、沼地も走るオフロード車、軍用車両などは通常の乗用車の位置ではインテークが水没する可能性もあるため、ボディ上部に取り付けてそこから空気を導くようにしてあるものもある。もちろんこのような車ではエンジン周りが水没しないようにもされている。

[編集] オートバイ

カワサキ・ニンジャZX-10Rでは、ヘッドライト上部にラムエアシステム用のインテークが設けられている。

オートバイ、特にスーパースポーツタイプやメガスポーツタイプの車種においては、走行風を用いてより大量の空気をエンジン内に送り込み、静止状態の時よりも最高出力を向上させる「ラムエアシステム」が採用されている車種が多い。それらの車種には、アッパーカウルの下部、またはヘッドライト付近などにラムエア用のインテークが設けられている。

ラムエアシステムは構造が簡単で、ターボチャージャーやスーパーチャージャーと異なり構成部品がプラスチックで作れる為きわめて軽量である。さらにインジェクションと相性が良い事、走行する車体が動力源なので効率が良い事、インテークマニホールドの設計が良い車体ではブースト比が1.2と、過給装置としては遜色ない性能が得られる。 欠点は動作可能速度であり、一般道・高速道路を走っている程度ではラムエアシステムは過給装置として殆ど作動していない。単純にエンジン熱を避けて新鮮で冷たいフレッシュエアを導入するだけの物となる(吸気温度が低いことは燃費と加速性能を向上させることとなるので、一般道走行ならばこれだけでも効果はある)。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ Raymer, Daniel P. (1999). Aircraft Design: A Conceptual Approach, 3rd ed. (English). Reston, Verginia: American Institute of Aeronautics and Astronautics, Inc., pp.236-256. ISBN 1-56347-281-3. 

最終更新 2009年9月11日 (金) 21:11 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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