エアバスA340

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エアバスA340 (Airbus A340) は1980年代後半にA330とほぼ同時期に開発が始められたエアバス社の4発の長距離ワイドボディ旅客機である。胴体や翼など、基本的な構造はA330と共通である。A300から始まったエアバスの歴史において、初のエンジン4基を搭載した4発機。

2009年現在、シンガポール航空が、民間旅客機のノンストップ路線としては世界最長の、シンガポール (SIN) ~ニューヨーク (EWR) 路線(所要時間18時間40分)でこの機材(A340-500型機)を使用している。

目次

[編集] 開発

エアバスは1980年代前半より、A300やA310の後継機の研究を行っていた。基本となるコンセプトは、A300と同一断面の胴体を用い、航続距離や就航路線に応じて、洋上飛行はできないがコストの安い双発の中長距離機A330と、システムがやや複雑で高価になるが大洋を横断できる4発の長距離機A340の2機種を同時に開発することにあった。1987年6月に航空会社より発注が得られたために、開発が本格化し、双発型はA330, 4発型はA340と命名された。A340-300の初飛行は1991年10月25日、A340-200の初飛行は1992年4月1日で1993年からA340-200/300は就航している。

[編集] 各型式

[編集] A340-200/300

ファイル:A340-300 AIR TAHITI NUI FAAA airport.jpg

ボーイング社の747-400では提供座席数が多すぎる路線をターゲットとして、より経済的な機材を目指しA330と同時に計画されたのがA340-200/300である。基本となっているのはA340-200で最大離陸重量をほぼ同じにしたため、胴体延長型のA340-300は航続距離が短くなっている。

[編集] A340-500/600

A340-200/300をさらに長距離化あるいは大収容力化を計画した機体で胴体断面は200/300で使用したものを使用し、翼とエンジンは変更された。A340-500はA340-300から主翼前方へ0.53 m, 後方へ1.07 m延長され、A340-600はA340-300から主翼前方へ5.88 m, 後方へ3.2 m延長された。これに伴い燃料搭載容量も増加したが、最大離陸重量はほぼ同じため、200/300と同じく胴体の長いA340-600の方がA340-500と比較して航続距離は短いがA340-300より長く飛行できる。

A340-600は、現時点で世界最長の胴体を持つ旅客機である。777-300と同様に、1階建てながら座席の配置によっては2階建ての747-400に匹敵する座席数を持つこともある。ただし、ボーイングが747-8の開発を発表しており、正式にロールアウトすればそちらが世界最長となる。

[編集] エンジン

エンジンは各型とも1種類で、-200と-300にはCFMインターナショナル製のCFM56-5C4, -500にはロールス・ロイストレント553型、-600には同トレント556型ターボファンエンジンが使われている。4発機のためA330やライバル機種であるB777などと比べると最大離陸重量に対する総推力比は低い。これはエンジンの総推力を決定する要因となる離陸滑走路長が離陸決心速度到達時点での1発停止を前提としており、1発停止で50 %の推力喪失になる双発機に対して4発機では25 %の推力喪失であるため条件が緩くなるためである。

[編集]

主翼は-200/-300と-500/-600で異なるものが使われている。前者は翼幅が60.3 m, 翼面積361.6 m2でA330と共通したものが、後者は63.45 m, 439.4 m2の専用の大きいものになっている。二種の主翼の構造は全く別ではなく、-200/300の主翼翼形の最大厚の部分にプラグを挿入して翼断面に平行部分を作る方式で-500/600の主翼を作成しており、プラグが翼端部程細くなっているために後退角が30度から31.1度へと増大している。そのため動翼の構造や制御系配線などはほとんど変更を行なわずにすんでいる。後退角が若干大きくなることと平均翼厚比が小さくなって衝撃波発生速度が高くなったため標準巡航速度がM 0.82から0.83へと増加している。しかしそれでも巡航速度はB777のM 0.84より遅い。垂直尾翼は先端部が延長されたA330-200のものを装備している。

[編集] 操縦装置及びフライトデッキ

操縦装置とフライトデッキはA320以降のエアバス機の標準となった、サイドスティックとフライ・バイ・ワイヤを採用、計器もグラスコックピットになっており、これもA330と同様である。当初はモニター装置にCRTディスプレイが用いられていたが、後に液晶ディスプレイが使われるようになった。最新のA340及びA330はA320では機械式計器であった予備計器もモニター化され、機械式計器で残っているのはギアブレーキ温度計のみである。

エアバス他機と共通性の高い操縦システムにより確立された相互乗員資格はA340でも認められており、エアバスの説明によれば、A340の操縦資格を持つパイロットがA330資格を得るのに必要な訓練期間は最短で1日である。

[編集] その他

-600は全長とホイールベースが長くなっているため、タクシングを支援するためのカメラが垂直尾翼と首脚後方に装着されており、この映像は操縦席のPFD(主要計器を表示するモニター)で確認することができる。

[編集] 仕様

-200型 -300型 -500型 -600型
全長 59.4 m 63.6 m 67.9 m 75.30 m
全高 16.7 m 16.7 m 17.1 m 17.1 m
全幅 60.3 m 60.3 m 63.45 m 63.45 m
キャビン幅 5.28 m
主翼面積 361.6 m2 361.6 m2 439.4 m2 439.4 m2
航続距離 14,800 km 13,500 km 16,000 km 13,900 km
最大離陸重量 275.0 t 271.0 t 365.0 t 366.0 t
最大燃料容量 155,040 リットル 141,500 リットル 214,810 リットル 194,880 リットル
貨物室容量 100.2 m³ 162.8 m³ 153.9 m³ 207.6 m³
基本座席数 261(3クラス仕様) 295(3クラス仕様) 313(3クラス仕様) 380(3クラス仕様)
乗員 2人
後退角 30° 31.1°
車輪間隔 23.24 m
76 ft 3 in
25.60 m
84 ft 0 in
27.59 m
90 ft 6 in
32.89 m
107 ft 11 in
無荷重量 129,000 kg
284,396 lb
129,275 kg
295,503 lb
170,400 kg
375,668 lb
177,000 kg
390,218 lb
巡航速度 M .82 (484 kn, 896 km/h, 557 mph) M .83 (490 kn, 907 km/h, 564 mph)
最大離陸重量時の離陸滑走距離 2,990 m
9,810 ft
3,000 m
9,840 ft
3,050 m
10,000 ft
3,100 m
10,170 ft
貨物積載数 18 LD3s/6 pallets 30 LD3s/10 pallets 32 LD3s/11 pallets 42 LD3s/14 pallets
巡航高度 11,887 m (39,000 ft)
エンジン (4x) CFM56-5C2 (138.78 kN)
CFM56-5C3 (144.57 kN)
CFM56-5C4 (151.25 kN)
CFM56-5C2 (138.78 kN)
CFM56-5C3 (144.57 kN)
CFM56-5C4 (151.25 kN)
CFM56-5C4P (149.9 kN)
ロールス・ロイス
トレント
553/556 (236/249 kN)
ロールス・ロイス
トレント
556/560 (249/260 kN)

[編集] 問題点

キャセイパシフィック航空のエアバスA340-600型機

A340-500/600に関しては当初機体重量が設計時の想定を上回っていた。これは主翼製造を担当したBAeの重量見積もりのミスによるものであり、-500/600の製造7号機以降は複合材の使用範囲を広げ軽量化した主翼を提供してこの問題は一応解決された。

2007年4月に欧州内のメディアで-600の貨物搭載量の制限に関する問題が報じられた。A340の原設計では-600までのストレッチは想定しておらず、主翼前後を均等に延長すると主脚の長さが足りず、離着陸時に尻もちをつく可能性がある。そのため-600の胴体ストレッチは主翼前方にやや偏ったものとなり、結果として重心も前方に偏り、巡航時のトリム抵抗が大きくなる素地があった。それに加え、機体前方のキャビンには重装備のファーストビジネスクラスが設置されるため、貨物や乗客を載せない状態ではさらに重心が前進する傾向が出て、水平尾翼内トリムタンクで修正しきれない事態となってきた。これによりエアバス社は前方貨物室の積載量を制限するよう勧告することとなった。胴体延長が主翼前後で均等である-500型機ではこの問題は発生していない。

-500/600型機については、装備エンジンのトレント500の巡航燃費率がGE 90-115Bに比べ公表されている数字で9 %近く悪いため、長距離飛行ではより多くの燃料を搭載する必要があるという問題が燃料価格の高騰によって目立ってきた。また、燃料供給システムなどのサブシステムのマイナートラブルも散見されている。

A340-200/300は777やMD-11、747などより巡航速度が若干遅いため、航空路があらかじめ分けてあるという処置が取られている。またA340の非力さが大きな遅れにつながることが往々にしてある。これらのデメリットや、また双発機に比べてエンジンの整備に時間と労力がかかる4発機であること、エンジンの燃費率が最新の双発機に比べれば劣ることなどから、-600型機を3機導入していたキャセイパシフィック航空海南航空へ放出し、代わりに同規模のボーイング777-300ERを導入したり、エミレーツ航空は-600の重量増大型の受領を拒否し発注をキャンセルしている。他にもエア・カナダタイ国際航空オーストリア航空などがA340からB777への移行を進めている。このような事情によって、2005年以降はA340型機に対する受注はほとんど途絶えた状態である。しかし、人によってはB777型機に対して客室内の静粛性が高いなど居住性の良さを評価する利用者もいる。

エアバスは対抗策としてA350(初期構想)のアルミニウム・リチウム合金の構体を利用することにより胴体を8 t軽量化、エンジンをA350向けトレント1700のファンを小型化してトレント500と同直径としたトレント1500によって巡航燃費率を10 %低減し、他にも様々な小改良を加えたA340-600の大規模改良型を構想し発表している。これによりB777-200LR/300ERと対等以上の経済性を発揮できるとした。しかし、A350計画がA350XWB計画へと移行し、A340-600と同規模のA350XWB-1000もローンチされたことからこの構想は実現に向かうことなく消滅している。

[編集] 備考

日本の航空会社では、全日本空輸が5機を欧州路線用にオプション発注したが、同時期に発注したB777のワーキングトゥゲザーにボーイング社から招聘されたためにキャンセルし、エアバスA321に変更した。このためA340は日本の航空会社からの発注が未だ1機もない。しかし、前述のように海外の導入会社による日本国内への乗り入れはある。

[編集] 競合機種

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月28日 (土) 13:26 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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