カラス
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カラス(烏、鴉、鵶、雅)は、鳥類の1グループ。
多くは全身が黒く、黒い鳥の代表とみなされ、諺などではよく白いサギと対比させられる。ただし実際は、白黒2色のコクマルガラス、暗褐色に白斑のホシガラス、全体的に明色のサバクガラス類などもおり、必ずしも真っ黒ではない。
目次 |
[編集] 種類
カラスは、広義にはスズメ目カラス科(あるいはカラス族。呼び名が異なるだけで同じグループである)を指すが、通常はその一部、狭義にはその中のカラス属を指す[1]。広義のカラス、つまりカラス科は、通常のカラスのほか、カケス類、サンジャク類、オナガ類、カササギ類(カササギ属のカササギは、標準和名にはカラスはないが、カチガラス、コウライガラスの異名を持つ)などを含む。これらのほか、ウミガラス、オオウミガラス、カワガラスなどもいるが、カラス科ではなく生物学上のカラスの仲間とはみなされない。
和名にカラスがある種は、カラス科のうち
- カラス属 Corvus
- ホシガラス属 Nucifraga
- サバクガラス属 Podoces
- ベニハシガラス属 Pyrrhocorax
- ヒメサバクガラス属 Pseudopodoces
- ソデグロガラス属 Zavattariornis
の6属に含まれる。
[編集] 属の分類
[編集] カラス属
- Corvus albicollis, White-necked Raven, シロエリオオハシガラス
- Corvus albus, Pied Crow, ムナジロガラス
- Corvus bennetti, Little Crow, ミナミコガラス
- Corvus boreus, Relict Raven, ミナミヒメワタリガラス
- Corvus brachyrhynchos, American Crow, アメリカガラス
- Corvus capensis, Cape Crow, ツルハシガラス
- Corvus caurinus, Northwestern Crow, ヒメコバシガラス
- Corvus corax, Common Raven, ワタリガラス
- Corvus corone, Carrion Crow, ハシボソガラス
- Corvus coronoides, Australian Raven, ミナミワタリガラス
- Corvus crassirostris, Thick-billed Raven, オオハシガラス
- Corvus cryptoleucus, Chihuahuan Raven, シロエリガラス
- Corvus dauuricus, Daurian Jackdaw, コクマルガラス
- Corvus enca, Slender-billed Crow, スンダガラス
- Corvus florensis, Flores Crow, フロレスガラス
- Corvus frugilegus, Rook, ミヤマガラス
- Corvus fuscicapillus, Brown-headed Crow, チャガシラガラス
- Corvus hawaiiensis, Hawaiian Crow, ハワイガラス
- Corvus imparatus, Tamaulipas Crow, メキシコガラス
- Corvus jamaicensis, Jamaican Crow, ジャマイカガラス
- Corvus kubaryi, Mariana Crow, クバリーガラス
- Corvus leucognaphalus, White-necked Crow, ヒスパニオラガラス
- Corvus levaillantii, Jungle Crow, C.macrorhynchosと同種の可能性が高い
- Corvus macrorhynchos, Large-billed Crow, ハシブトガラス
- Corvus meeki, Bougainville Crow, ブーゲンビルガラス
- Corvus mellori, Little Raven, ミナミコワタリガラス
- Corvus monedula, Eurasian Jackdaw, ニシコクマルガラス
- Corvus moneduloides, New Caledonian Crow, カレドニアガラス
- Corvus nasicus, Cuban Crow, キューバガラス
- Corvus orru, Torresian Crow, ミナミガラス
- Corvus ossifragus, Fish Crow, ウオガラス
- Corvus palmarum, Palm Crow, ヤシガラス
- Corvus rhipidurus, Fan-tailed Raven, チビオガラス
- Corvus ruficollis, Brown-necked Raven, チャエリガラス
- Corvus sinaloae, Sinaloa Crow, ニシメキシコガラス
- Corvus splendens, House Crow, イエガラス
- Corvus tasmanicus, Forest Raven, モリガラス
- Corvus torquatus, Collared Crow, クビワガラス
- Corvus tristis, Grey Crow, ハゲガオガラス
- Corvus typicus, Piping Crow, セレベスガラス
- Corvus unicolor, Banggai Crow, バンガイガラス
- Corvus validus, Long-billed Crow, モルッカガラス
- Corvus woodfordi, White-billed Crow, ソロモンガラス
[編集] ホシガラス属
- Nucifraga caryocatactes, Spotted Nutcracker, ホシガラス
- Nucifraga columbiana, Clark's Nutcracker, ハイイロホシガラス
[編集] サバクガラス属
- Podoces biddulphi, Xinjiang Ground Jay, オジロサバクガラス
- Podoces hendersoni, Mongolian Ground Jay, ハシナガサバクガラス
- Podoces panderi, Turkestan Ground Jay, サバクガラス
- Podoces pleskei, Iranian Ground Jay, イランサバクガラス
[編集] ヒメサバクガラス属
- Pseudopodoces humilis, Hume's Ground Jay, ヒメサバクガラス
[編集] ベニハシガラス属
- Pyrrhocorax graculus, Yellow-billed Chough, キバシガラス
- Pyrrhocorax pyrrhocorax, Red-billed Chough, ベニハシガラス
[編集] ソデグロガラス属
- Zavattariornis stresemanni, Stresemann's Bush Crow, ソデグロガラス
[編集] カササギ属(参考)
- Pica pica, European Magpie, カササギ(カチガラス、コウライガラス)
- Pica nuttalli, Yellow-billed Magpie, キバシカササギ
- Pica hudsonia, Black-billed Magpie
[編集] 分布と各地での呼称と種類
ハシボソガラスはユーラシアに広く生息するが、ハシブトガラスの分布は東アジアと南アジアに限られる。ヨーロッパでは、ハシボソガラス (carrion crow)、ワタリガラス (common raven)、ミヤマガラス(rook)、ニシコクマルガラス (jackdaw) などが分布する。
[編集] 英語での区別と呼称
英語ではこのように、crow(クロウ), raven(レイヴン), rook(ルック), jackdaw(ジャックドー)は日常語レベルで別の鳥とみなしていることが特徴である。おまかに言って、大型種はraven、中型種はcrowに分類され、最も小型のものがrookやjackdawと呼ばれる。なお、日本で見られるハシボソガラスはハシブトガラスと同じくcrow、コクマルガラスはニシコクマルガラスと同じくjackdawに分類される。[要出典]
ただこれらは、別の鳥と見なされながらも、ほぼ同類の仲間とも見なされ、まったく無関係のものとは見なされない。この4者は、異なる文化的認識において区別されることもあるが、ほぼ同様の文化的認識で同類として語られることも多い。
英語のそれらを和訳する際(特に文学作品)には、ハシボソガラス等を指す crow と区別して、raven を「大ガラス」と訳すことがある。エドガー・アラン・ポーの詩「大鴉」はその一例である。ただし、近年ではraven を「ワタリガラス」と訳したり、そのまま音読で記す場合も多い。
カラス属以外では、ソデグロガラス属はcrowに分類されるが、ホシガラス属はnutcracker、ベニハシガラス属はchoughとされる。明色のサバクガラス属やヒメサバクガラス属は、カケスの仲間のjayに分類される。
[編集] 日本での分布と呼称
日本で日常的に見られるカラス属のカラスは、留鳥のハシブトガラスとハシボソガラスの2種である。日常語ではこれらの全身が黒いカラスを通常は区別することはない。
渡り鳥では、北海道にワタリガラス、九州にミヤマガラスとコクマルガラスが冬鳥として飛来する。迷鳥のニシコクマルガラスとイエガラスを含めると、全部で7種が記録されている。
カラス属以外では、ホシガラスが山間部に生息する。
[編集] 生態
ハシブトガラスの場合、翼長は50-60cm。
鳥類のなかでも最も知能が発達しているとされる。ある程度の社会性を持っており、協力したり、鳴き声による意思の疎通を行っている。遊戯行動(電線にぶら下がる、滑り台で滑るなど)をとる事も観察されている[2]。色が識別でき4色型色覚であり、人間と同じRGBの他にV(紫)も識別できる。人間の個体を見分けて記憶したり、植物・哺乳類・鳥類などを区別して認識できるといわれている。以下はこれらを示す事例。
- ハシボソガラスが道路にクルミを置き、自動車に轢かせて殻を割るという行動が、仙台市の青葉山をはじめ日本の至る所で報告されている。
- 1996年、神奈川県で鉄道のレール上にハシボソガラスが石を置くという事件が頻発した。「JRの人間に巣を撤去されたことに対する復讐として、列車を転覆させようとした」と言われたこともあったが、実際は敷石の下にパンを貯食した際にくわえ上げた石を偶然レール上に置き、それを放置することで起きていたというのが真相であった[3]。
- 神社の賽銭を盗み自動販売機でハトの餌を購入していると報道された[4]。
[編集] 食性
雑食性でゴミや動物の死骸をついばんでいるところがよく目撃される[5]。その他にも昆虫類、小動物(ネズミ、鳥類の卵や雛、爬虫類、両生類、ザリガニなど多数)、果実、種子、動物の糞なども食べる。ハシブトガラスは肉食傾向、ハシボソガラスは草食傾向が強い。採った食物を物陰に隠し、後で食べるという貯食行動も行う。
[編集] 繁殖・営巣
繁殖期は春から夏で、一夫一妻制で協力して子育てを行う。巣は樹上に小枝を組んで作るが、最近では電柱や看板などに営巣することもあり、また巣の材料も針金・プラスチックなどさまざまなものを新規採用するようになっている[6]。
営巣期間中は縄張り意識が強く、不用意に巣に近づいた人間や動物を攻撃するといった行動が見られる。
抱卵期間は20日前後、巣立ちまでの期間は30-40日程度。産卵数は2-5(ハシブトガラス)ないし3-5(ハシボソガラス)程度。
[編集] 群れの形成
巣立ち後も2-3ヶ月程度は家族で群れを組んで生活し、その後ひとり立ちをする。
成鳥はつがいでほぼ一年中固定された縄張りを持つが、若鳥は群れで行動する。群れも仲間が窮地に陥ると他のカラスが助けに入ることもあるらしく、事故死したカラスを仲間のカラスが助けようとしている姿が目撃されている。
夜間人が立ち入ることのないよく茂った林や竹林に集団ねぐらをとる習性があり、東京都には3大ねぐらと呼ばれる(明治神宮、国立科学博物館付属自然教育園、豊島岡墓地)代表的なねぐらがある。天敵はオオタカなどの猛禽類であり、そのためかカラスは猛禽類に対しモビングをする。
[編集] 鳥類ではないカラスと名のつく生物
- 動物
- 植物
- カラスウリ(烏瓜) - ウリ科の多年草。
- オオカラスウリ(大烏瓜) - カラスウリ属の多年草。
- ケカラスウリ(毛烏瓜) - カラスウリ属の多年草。
- 烏扇(からすおおぎ) - ヒオウギ(桧扇)アヤメ科の多年草のこと。または、ヒオウギの花のこと。
- 烏羽玉(うばたま) - サボテン科のペヨーテのこと。または射干玉(ぬばたま)とも言い、上記のヒオウギの実のことで、ヒオウギの実の色が漆黒であることから名付けられた。
- カラスザンショウ(烏山椒) - ミカン科の落葉樹。
- カラスノエンドウ(烏野豌豆) - マメ科の越年草。
- カラスノゴマ(烏の胡麻) - シナノキ科の1年草。
- カラスビシャク(烏柄杓) - サトイモ科の多年草。
[編集] 利用
[編集] 食肉
カラスの肉は食用には適さないと考えられがちだが、中には食用にする地域・文化もあり、鯨肉などに近い味という意見もある。
2003年8月8日付の読売新聞報道(「カラスの肉は栄養豊富?帯畜大の食用化研究:北海道」)によると、帯広畜産大学畜産科学科関川三男助教授らのグループが、カラスの食用化を探る研究を進めている。研究は、将来の食糧難対策と、有害鳥獣として処分されるカラスの有効活用にメドをつけるのが目的。カラスの胸肉は、鯨肉にも豊富に含まれるミオグロビンと呼ばれる色素が多く、赤みが強いのが特徴。食感や味は鶏の胸肉に似ており、学生に食べさせたところ、評判も上々だったという。
東京都は、カラス嫌いで有名[7]な石原慎太郎知事が、カラス対策の一環としてミートパイにして東京名物にすべきだと提唱したことがある。これは実現しなかったが、後に東京MXテレビの番組企画で、テリー伊藤らが用意したカラス肉のミートパイとその他2品のカラス料理を石原は食べる羽目になった[8][9]。
なお、カラスは鳥獣保護法により原則として捕獲が禁止されているため、無断で捕獲・食用にしてはならない。
[編集] 羽根
チェンバロのジャックの爪は元々鳥の羽根を使い、元気なカラスが飛び去った後落ちた羽をオリーブオイルで浸けたものが一番よいとされている。
[編集] 神話・伝承
太陽の使いや神の使いという神話や伝承が世界各地にある。元は違う色だったカラスの羽毛が、何らかの原因で真っ黒になってしまった、という伝承が世界各地にある。
視力が高い、見分ける知能もあるということから「炯眼・慧眼」とされ、神話や伝承において斥候や走駆や密偵や偵察の役目を持つ位置付けで描かれることが多い。
[編集] 日本
- 神聖視
カラスは古来、吉兆を示す鳥であった。神武天皇の東征の際には、3本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が松明を掲げ導いたという神話がある。日本サッカー協会のシンボルマークはこの八咫烏である。
カラスは熊野三山の御使いでもある。熊野神社などから出す牛王宝印(ごおうほういん=熊野牛王符)は、本来は神札であり、近世には起請文を起こす用紙ともされたが、その紙面では、カラスの群れが奇妙な文字を形作っている。これを使った起請を破ると、熊野でカラスが3羽死に、その人には天罰が下るという。また、「誓紙書くたび三羽づつ、熊野で烏が死んだげな」という小唄もある。
長野県の北信地方に伝わる「烏踊り」といわれる民謡と踊りがあり、足さばきにおいて九種類の型を繰り返すことから、修験者である山伏が唱えた呪法である九字切り(九字護身法)を手ではなく足で行ったとされる。このことと、山岳信仰を起源に持つ修験道では、「カラスは神の使い」とされてきたことと合わせて、この烏踊りは山岳信仰に基づく烏に対する信仰と修験者の踊りが、民謡になっていったと考えられている。
- カラスの色
また神話・伝説上では通常、生物学的に知られているカラスとは色違い・特徴違いのカラスが存在する。それらは、吉祥と霊格の高い順に八咫烏、赤烏、青烏、蒼烏と白烏が同等とされている。
民話のひとつには次のようなものがある。「カラスは元々白い鳥だったが、フクロウの染物屋に綺麗な色に塗り替えを頼んだところ、黒地に金や銀で模様を描けば上品で美しく仕上がると考えたフクロウはいきなりカラスの全身を真っ黒に塗ってしまい、怒ったカラスに追い掛け回され、今ではカラスが飛ばない夜にしか表に出られなくなった。カラスはいまだにガアガアと抗議の声を上げている」というものがある。別に伝わる民話では「欲張りなカラスの注文に応じて様々な模様を重ね塗りしていくうちに、ついに真っ黒になってしまった」というものもある。
[編集] 中国
日本を始めとし中華文明圏の周辺国に、伝わる3本足のカラスという外形そのものは、中国起源の「日烏」である。中国では古来、太陽にはカラス、月にはウサギまたはヒキガエルが棲むとされてそれぞれの象徴となった。月日の事を「烏兎(うと)」と呼ぶ用例等にこれが現れている。足が3本あるのは、中国では奇数は陽・偶数は陰とされるので、太陽の象徴であるカラスが2本足では表象にずれが生じるからである。このカラスの外形の起源に付いては、黄土の土煙を通して観察された太陽黒点から来ているのではないかとする説がある。
[編集] イギリス
イギリスに於いては、アーサー王が魔法をかけられてワタリガラス(大ガラス)に姿を変えられたと伝えられる。この事から、ワタリガラスを傷付ける事は、アーサー王(さらには英国王室)に対する反逆とも言われ、不吉な事を招くとされている。また、ロンドン塔に於いては、ロンドンの大火の際に大量に繁殖したワタリガラスが時の権力者に保護され、ワタリガラスとロンドン塔は現在に至るまで密接な関係にある。尚、J.R.R.トルーキンのホビットの冒険作中に、ワタリガラス(訳書によってはオオガラスと訳されている物もあるが、どちらも英語では Raven である)の一族が登場するが、これも英国王室に少なからぬ関係を持つワタリガラスを尊重しての登場だと言われている。ただし、指輪物語にも登場するクレバインと呼ばれる大鴉たちはむしろ邪悪の陣営の走駆としての役どころである。
[編集] ケルト神話
ケルト神話に登場するバドヴ、マハ、ネヴァンの三位一体の女神(戦いの神)とされるモリガンは、戦場にワタリガラスの化身となって表れる。若しくは、肩にカラスが留まっている姿で描写されたり、三位の一つであるバドヴがカラスの化身であるとされるなどとして、伝承される神である。神といっても清廉や崇高な印象ではなく、戦場に殺戮と死をもたらすものとして描かれることが多い。
[編集] 北欧神話
北欧神話では、主神であり、戦争と死を司る神、オーディンの斥候として、2羽のワタリガラス「フギン(=思考)とムニン(=記憶)」が登場する。このワタリガラスは世界中を飛び回り、オーディンに様々な情報を伝えているとされる。
[編集] ギリシア神話
ギリシア神話では太陽神アポロンに仕えていた。色は白銀(白・銀とも)で美しい声を持ち、人の言葉も話す事が出来る非常に賢い鳥だった。
しかし、ある時にカラスは、天界のアポロンと離れて地上で暮らす妻コロニスが、人間の男であるイスキュスと親しくしている(見間違いとも)とアポロンに密告(虚偽の報告とも)をした。アポロンは嫉妬し怒り、天界から弓矢で矢を放ちコロニスを射抜いてしまった。
死ぬ間際に「あなたの子を身籠っている」と告げたコロニスの言葉に、我に返ったアポロンは後悔し、きっかけ(密告した・虚偽の報告をした)を作ったカラスに行き場の無い怒りをぶつけ、その美しい羽の色と美声と人語を奪った。カラスは天界を追放され、喪に服すかのように羽は漆黒に変わり、声も潰れて、言葉を話すどころか、醜い鳴き声を発する事しか出来なくなった。
- 異説
異説として、アポロンの走駆や密偵または水汲みの仰せをつかったカラスが、地上で道草をしていまい地上の状況の報告または水汲みが遅れ、「嘘をついて言い訳をした」または「コロニスとイスキュスの密会をでっち上げた」というものもあり、水汲みについては、仕えたカラスの死後、天上に星座として象ったとしながらも、コップ座が丁度、からす座の嘴(くちばし)に届かない微妙な位置にあることから、水汲みの異説を裏付けるものとして捉えられている。
[編集] エジプト
古代エジプトでは太陽の鳥とされた。
[編集] メソポタミア
メソポタミアを中心に旧約聖書・『創世記』5章から10章でも伝わる世界を襲った大洪水の後に、『創世記』8章7節において、炯眼から偵察として初めて外に放たれた動物である。洪水後、船から放され、水がひいたことを知らせた。旧約聖書では烏に次ぎに鳩が放たれた。
[編集] 北米先住民
トリンギット族(クリンギット)とトリンギット亜族(チルカット族・ツィムシアン族・ハイダ族)に伝わる烏は、創世に関わるものが複数あり、代表的なものとして、「ワタリガラスが森を作り、人を始めとした生き物が住み着いたが、あるときに寒波が襲い、生き物は死に絶えそうになった。一計を案じたワタリガラスは、ワシに太陽まで飛んで行ってその欠片を持ち帰ってほしいと頼んだ。ワシは承諾し、身を焦がしながらも火を持ち帰り、大地の様々な所に火を灯した。それが、生きとし生けるものの魂となった」というものがあり、この伝承の影響からかハイダ族は、カラス族とワシ族のの2部族に分かれている。
その他のバリエーションとしては、人々が暗闇の中で何も持たず暮らしているのを不憫に思ったワタリガラスが、「二枚貝の暗闇の中から誘い出す・神が隠した太陽を神の娘の子供としてカラス自身が娘に受胎し、神の孫となって神に頼んで太陽を開放する・天上界(空の家という表現)へ変装して忍び込み星と月と日を盗み出し、人々に開放する」といった各話に、「人々に暮らしや家を与える、作り方などを教える」といったものが付加される形で創世の神話がなっている。
[編集] イメージ
知能が高いことから「狡賢い」や、カラスの食性としての一面の腐肉食(スカベンジャー)や、黒い羽毛から死が印象付けられ、悪や不吉の象徴として描かれ、様々な物語において、悪魔や魔女の使い(使い魔)や化身とされる事が多いが、上記の神話・伝承にあるように、世界各地で「太陽の使い」や「神の使い」として崇められてきた生き物でもある。
黒い姿や腐肉食の一面から、『カラスが鳴くと人が死ぬ』、『カラスが集まる場所では死人が出る』などと古来から言われる[10]。
- 日本
カラスの実際の羽色は、「烏の濡羽色(からすのぬればいろ)」という表現もある通り、深みのあるつややかな濃紫色である烏の濡羽色は、黒く青みのあるつややかな色の名前で、特に女性の美しい黒髪の形容に使われる事が多く、濡烏(ぬれがらす)、烏羽(からすば)烏羽色ともいう。
ねぐらに帰る行動の時に鳴くことも多く、この行動が深く印象付けられてきたことから、帰る(帰郷・帰宅)や夕暮れを想像させ、伝統的にそういった比喩や例えがある。
鳴き声が「アホーアホー」と聞こえることがあるため、漫画・アニメーションやコントではこれを用いたその設定の上での、なにかを嘲笑した表現としてカラスが使われる。
[編集] 慣用句・常套句・名文句
烏を用いた慣用句などには次のようなものがある。
- 烏の行水(すぐに風呂から上がってしまうこと)
- 烏の足跡(目じりのしわが足跡のように見えることから)
- 烏の髪(黒髪のこと)
- 烏の鳴かぬ日はあっても(語尾に毎日何かが行われる様子を書く 物事を強調するために用いる)
- 烏の濡れ羽色(しっとりと濡れたような黒色 烏の髪と同様に黒髪を指す場合が多い)
- 闇夜に烏(見分けがつかないことの例え)
- 三羽烏(さんばがらす、三人組のたとえ)
- 「カラスが鳴くから、帰ーろうっ」(男子)「カラスが鳴くから帰りましょ」(女子) - 夕方になって子供たちが遊びを仕舞にし、「みんな家に帰ろうよ」という時の合図のように使われる。
- 「ねぐらへ帰る烏が二羽、三羽」(昭和時代の名アナウンサーである松内則三が、1929年(昭和4年)秋の東京六大学野球早慶3回戦の実況の際、夕暮れの神宮球場の情景をラジオで伝え、これがレコード化されたため著名になった文句[11])
[編集] カラスに関係した飛行機
- 二宮忠八は、カラスが翼を広げて滑空する姿から、この翼の原理を応用すれば空を飛ぶ機械が作れると発想。1891年(明治24年)にゴム動力模型飛行機カラス号の初飛行を成功させた。
- ナチス・ドイツの戦闘機は全体的に黒色だったためカラスに例えられた。
- アメリカ空軍の電子戦機EF-111のニックネームはレイヴン(大鴉、ワタリガラス)である。
[編集] カラスが登場する作品
書籍
- 『シートン動物記』 - シルバー・スポット(銀の星)と呼ばれる、賢い老ガラスのリーダーが登場する話がある。
- 『からすのパンやさん』 - 加古里子の絵本。
- 『海辺のカフカ』 - 村上春樹の小説。主人公の名前の由来となっている。またこの小説には「カラスと呼ばれる少年」という存在が登場している。
童謡・歌謡曲・詩
- 『夕焼小焼』 - 中村雨紅の詩。草川信作曲の童謡。
- 『七つの子』 - 野口雨情の詩。本居長世作曲の童謡、志村けんの替え歌の元として広く知られている。子を思う親の心情を山に帰る鴉に託して歌う。
- CROW - 鬼束ちひろの2002年発表の楽曲。アルバム『This Armor』収録。
- 『鴉』 - 清水重道の詩。氷の上を飄々と歩く大鴉を印象的に歌う。信時潔は歌曲集「沙羅」の中でこれをとりあげ、狂言を思わせる曲を付けた。
- 『大鴉』 - ポーの詩の中でも特に有名である。1845年発表。愛する女性を亡くした男の部屋に鴉が舞い込み"Nevermore"(もう二度とない)という鳴き声を繰り返すという暗鬱な内容。
実写映画
- 『大きな鳥と小さな鳥(パゾリーニの鳥)』 - ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の1966年の映画。人間の言葉を喋るカラスと放浪の旅を続ける親子。
- 『クロウ -飛翔伝説-』 - ブランドン・リー主演の映画。ギャングに殺害されたロックミュージシャンがカラスの力によって蘇り、自分と恋人の命を奪った者たちに復讐していく。
- 『烏 (映画)』 - 2007年のアメリカ映画。鳥 (映画)を下敷きにしながら、更に残酷な描写。
- 『忍者と悪女』 - ロジャー・コーマン監督、ヴィンセント・プライス主演の1963年の映画。エドガー・アラン・ポーの『大鴉』が原作。
漫画・アニメーション・ゲーム
- 『鴉 -KARAS-』 - タツノコプロ製作のOVA。
- 『トリコ』 - 島袋光年の漫画作品。
- 『ダンボ』 - ディズニー作品。
- 『ヘッケルとジャッケル』 - アメリカのアニメ。ヘッケルとジャッケルは本来カササギであるが、日本の放送ではカラスとされたことがある。
- 『灰羽連盟』 - 安倍吉俊原作・脚本のアニメ。物語の舞台である壁に囲まれた「グリの街」と壁の外の世界とを自由に往来できる唯一の存在が鳥であり、また鳥は言い伝えで「灰羽」と呼ばれる者たちが「繭」に入る時に忘れたものを運ぶと言われている。劇中ではその鳥として鴉が描かれている。
- 『AIR』 - Key製作の恋愛アドベンチャーゲーム。
- 『カラス』 - マイルストーン製作のシューテイングゲーム。
[編集] 関連項目
- カラス口
- からす座
- 烏天狗
- GARNET CROW - 日本語訳すると『深紅のカラス』の名を持つバンド。ファンクラブの紋章にはカラスが用いられている。
[編集] 注脚・参考文献・出典
- ^ 『万有百科大事典 20 動物』 小学館、1974年、184-185頁。
- ^ 唐沢孝一 『カラスはどれほど賢いか - 都市鳥の適応戦略』 中央公論新社〈中公文庫〉、2003年、191-206頁。
- ^ 樋口広芳、森下英美子 『カラス、どこが悪い!?』 小学館〈小学館文庫〉、2000年、35、45-56頁。
- ^ 武藤幹生 「日本テレビ・特命リサーチ200Xでのカラス特集について」 Crows!!、2001年3月13日。
- ^ ハシブトガラスの場合、都市部では食物を得る為にごみ集積所を荒らすという行動や、農耕地では果樹を食害するという行動が問題となっている
- ^ 電柱や送電塔に針金類で営巣した場合、しばしばショートの原因となり、問題となっている
- ^ かつてゴルフのプレイ中に、カラスにゴルフクラブを投げつけ反撃にあったことが原因
- ^ 矢崎葉子 『カラスバトル』 太田出版、2002年、49頁。
- ^ 「カラス対策プロジェクト」 宣戦布告「NET」で発信石原慎太郎。
- ^ 不吉であると信じる人もあるが、実際には死体にカラスが集まっているのであって順番が逆であるともいえるが、衰弱した動物を見分け抵抗ができない状態になるまで待って捕食するという事例も報告されている
- ^ 松井高志編 「野球“きまり文句”小辞典」 ココログ、2005年12月8日。













