クラーケン

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フランス軟体動物学者ピエール・デニス・ド・モンフォール(Pierre Denys de Montfort)によって描かれた巨大な頭足類(1801年筆)。ノルウェー近海やアイスランド沖、他にもアフリカ南部のアンゴラ沖などでこのような生物に襲われたという記録が船乗りによって残されている。

クラーケンノルウェー語等:Kraken)は、その多くが巨大なタコイカのような頭足類の姿で描かれる、北欧伝承の海の怪物

中世から近世にかけて、ノルウェー近海やアイスランド沖に出現したとされている。 19世紀アフリカ南部アンゴラ沖に現れた海の怪物もクラーケンでなかったかと言われている。

目次

[編集] 呼称

Kraken は、北ゲルマン語群(ノルド諸語、北欧諸語)に見られる krake (クラーケ。意:polepost竿)に -n が付いた定冠詞形である。[1] この語は英語crook (意:湾曲した、羊飼いの杖[shepherd's crook]、司教杖、など)や crank (意:捻じ曲がったもの、曲がりくねったもの、変わり者、つむじ曲がり、奇想のもの、[機械の]クランク[道路の]クランク、など)とゲルマン語派のレベルで同根であり、怪物クラーケンの怖ろしい湾曲性の腕を想起しての名付けであったことが窺える。

その後、北欧においてこの怪物の名は「畸形的な動物」を意味するようになっていたらしい。ここに見られる「畸形」の語義は英語 crank の中にもニュアンスとして現れている。

[編集] 伝承

[編集] 前身

フランスの船乗り達がアフリカのアンゴラ沖で遭遇したという海の怪物を基に、ピエール・デニス・ド・モンフォールがクラーケンとして描いたもの(1810年筆)。
同じく、アンゴラ沖のクラーケン。ピエール・デニス・ド・モンフォール、1810年筆。

古代スカンディナヴィアサガに「クラーケン」の名は見られない。しかし、類似する海の怪物として hafgufa と lyngbakr を挙げることができる。これらは『ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』中のエルヴァル・オッド(Orvar-Odd)の物語などで語られている。

[編集] 姿・大きさ

クラーケンの姿や大きさについては諸説がある。 巨大なタコやイカといった頭足類の姿で描かれることが多いが、ほかにも、シーサーペント(怪物としての大海蛇)やドラゴンの一種、エビザリガニなどの甲殻類クラゲヒトデ等々、様々に描かれてきた。

姿がどのようであれ一貫して語られるのはその驚異的な大きさであり、「と間違えて上陸した者がそのまま海に引きずり込まれるように消えてしまう」といった種類の伝承が数多く残っている(日本で伝承される赤鱏[あかえい]の島もこれに類似する)。

15世紀アイルランド聖ブレンダン伝承に登場するクラーケンの場合は、島と間違えて上陸したブレンダンが祝福のミサを終えるまで動かずにいたと伝えられる。体長は2.5kmに及んだというこの“穏やかな”クラーケンには、クジラがその実体ではなかったかとの憶測がある。実際にクジラには漁業神海神と見なされる側面があり、このような逸話が世界中に数多く存在する。

また、18世紀ノルウェーの司教ポントピダン(Erik Pontoppidan)が記すところでは、クラーケンが吐いたで辺りの海が真っ黒になったとされ、ここでは頭足類の一種と認識されていたようである。

※クラーケンを動物、とりわけ頭足類の一種と考えるのであれば、どれほど巨大であってもマッコウクジラシャチといった天敵の存在が想定されるため、離脱用として煙幕のように墨を吐く機能を保持していることは生態的に自然ではある。

[編集] 海の魔物

クラーケンの現代的イメージの一つ

古代から中世近世を通じて海に生きる船乗り漁師にとって海の怪は大きな脅威であり、その象徴ともいえるクラーケンは、彼らから怖れられる存在であった。

(なぎ)で船が進まず、やがて海面が泡立つなら、それはクラーケンの出現を覚悟すべき前触れである。姿を現したが最後、この怪物から逃れる事は叶わない。たとえマストによじ登ろうともデッキの底に隠れようとも、クラーケンは船を壊し転覆させ、海に落ちた人間を1人残らず喰らってしまうからである。

というような伝承が語り継がれた。船出したまま戻らなかった船の多くは、クラーケンの餌食になったものと信じられていたのである。それは近代においても変わることが無く、幽霊船マリー・セレスト号が見つかったとき(1872年)、この船が無人となった理由として様々な検証・憶測がなされたが、その中には「乗員が全てクラーケンの餌食になった」という説も存在した。

全ての伝承で“危険な存在”とされている訳ではなく、温和かつ無害に描かれる事もある。

[編集] 科学の時代に

現代的な船舶は自走能力が高く風の有無にかかわらず航行可能であるため、仮にクラーケンが実在したとしても襲われることはまず無い、という考え方がある。勿論これは「船舶が故障や燃料切れを起こしておらず、十分な自走能力を備えている」「船舶自体に十分な大きさがある」「クラーケンのサイズや運動能力が一定の範囲内に収まっている(全長が数kmに達する活発な生物であれば、タンカー空母級の船舶を襲う事も考えられる)」といった場合の話である。加えて、この怪物が北欧の海に特有であると限るようなことでもない。

[編集] 巨大頭足類

クラーケンのモデルではないかと取り沙汰されることの多いダイオウイカArchiteuthis)は現生最大級の頭足類(巨大イカ)であり、平均全長約10m、信用に足る最大個体の記録は全長約13mである。しかし、推定全長20mともされる不確定記録がある。 ダイオウホウズキイカMesonychoteuthis hamiltoni)は現生最大とされ、その全長はダイオウイカを上回る14mに及ぶ。ダイオウイカと同様、推定全長20mとの不確定記録がある。 深海生の彼らには謎が多く、推論や憶測を生む要素を多く持つ。

[編集] フィクション

大ダコ・大イカの登場する作品一覧」も参照

[編集] 映画

[編集] 小説

19世紀、クラーケンのモデルとされる巨大ダイオウイカが航行中の船舶の間近に現れた様子。未知の生物の出現に乗員達が警戒している。
ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』のための挿絵

[編集] ゲーム

[編集] 脚注・出典

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  1. ^ Kraken :Norw.方言》〜《原義》 pole, post : -n は定冠詞。 -n. クラーケン。 『新英和大辞典 第5版』 研究社、1990年。

[編集] 関連項目

ウィクショナリー
ウィクショナリー:en:Krakenの項目があります。

最終更新 2009年11月22日 (日) 10:27 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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