スムーサー (変速機)

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スムーサー(英字表記:Smoother)は、いすゞ自動車のトラック系商用車に於けるセミオートマチックトランスミッションおよび機械式オートマチックトランスミッションの呼称である。

従来から採用されていたトルクコンバータ式のオートマチックトランスミッションでは、イージードライブが可能になる(事で運転者の疲労が低減される)事の代償として、機構上避けられないトルクコンバータのスリップによる燃料消費効率・加速性能の悪化、積載時と空車時の運動性能に著しい差異があった。また、ディーゼルエンジンによる大トルクを伝達する為に(特に低速ギア段に於ける)変速ショックも乗用車のATに比べ大きかった。

そこで、従来のATとMT双方の特長を備えるものとして採用されたのが『スムーサー機構』である。

『スムーサー』以前、『NAVi5』という機械式オートマチックミッションがいすゞの乗用車・商用車に採用されていたが、当時の技術では克服できない問題が多くやがて廃れていってしまった。 しかし、来たる時代に向けての基礎研究を積み重ねていったこと、コンピュータによる車両制御技術が確立されてきた事でスムーサーが実現できたと云われている。 NAVi5と決定的に異なる点は、発進時の断続機構にフルードカップリング式、変速時の断続機構に湿式多板クラッチ式を用いている点で、変速機回りの大掛かりなメンテナンスが不要となっている。

目次

[編集] スムーサーE

積載量2トン系のトラック、エルフに搭載されているシリーズ名称である。 エルフシリーズのOEM供給による4兄弟化に伴い、OEM先の日産・アトラス日産ディーゼル・コンドル及びマツダ・タイタンにも同様の機構が用意されている(日産系2車種は単にスムーサーと呼称)。

  • エンジンの回転数制御にドライブバイワイヤを用いている。排出ガス規制の進んだ現在ではディーゼル車には、その抑制及び高度なエンジン制御の為必須の機構であるが、変速機との連携制御を行っているのはスムーサーのみである。
  • 断続機構にフルードカップリング式を採用しているので、トヨタ・MR-SのシーケンシャルMTとは機構的に少し異なる。
  • フルードカップリング式の主断続方式である為、クリープ現象があり、ニュートラルから走行段に入れる際に多少のショックを伴う。よって、クラッチ板の交換作業は不要であるが、ATFの交換がもっとも重要かつ基本的な変速機回りのメンテナンスである。
  • シフトレバーがニュートラルでなければ始動できない様になっている。
  • エンジン→フルードカップリング機構→湿式多板クラッチ→変速機の順に組み合わされている。

[編集] スムーサーE (無印)

英語表記:Smoother-E
通常のMT車と同様にH型のシフトレバー、変速パターンをもつ、運転者による手動変速が必要なタイプのセミオートマチックトランスミッション
運転席はクラッチペダルのみ取り外されたような形状の2ペダル式である。
インストゥルメンタルパネルに、MT車に於ける半クラッチ状態を調整する為のスイッチが設けられている。
半クラッチ状態の時間がその道路状況・積載状況に対して極端に短いと、坂道発進でエンジンストールを起こしたり、積載物が重いためにギクシャクすることを防止する為、運転者が好みや状況に応じて変化させることができる。 また、スムーサー機構が故障した際に(緊急用途に)使用する、強制的に前進1速ギアまたは後退ギアで走行するためのスイッチも設けられている。

[編集] スムーサーE オートシフト

英語表記:Smoother-E Autoshift
ゲート式セレクターレバーを持つ、全自動変速が可能なタイプの機械式オートマチックトランスミッション
運転席はオートシフトでないスムーサーEと同様、クラッチペダルのみ取り外されたような形状の2ペダル式である。
MT車に於ける半クラッチ状態を調整する為のスイッチも同様に設けられている。
自動変速を行うため、H型シフトレバーは採用されず、乗用車に於けるスポーツモードATのようなセレクタをもっている。
セレクタは6ポジション、R-N-Dで、Dレンジの上部に「+」、下部に「-」が付随し、Dレンジの右側にはAレンジ(マニュアル変速→自動変速への切替レンジ)がある。トルコン式ATの様なパーキングレンジは採用されていない(停止中にDレンジに入れておくと2速ギアが、Rレンジに入れておくと後退ギアがそれぞれ入った状態になる)。
シフトレバー右側には「ECONO」スイッチ(省燃費モード切替スイッチ)と「1ST START」スイッチ(1速発進スイッチ)がある。

  • 緊急時に使用する、強制的に前進1速ギアまたは後退ギアで走行するためのスイッチが、セレクタ前部の蓋の中に設けられている。前進1速ギアか後退ギアを選ぶスイッチも同様に収められている。

[編集] スムーサーEx

英語表記:Smoother-Ex
2006年12月に発表された6代目エルフに採用された、ゲート式セレクターレバーを持つ、全自動変速が可能なタイプの機械式オートマチックトランスミッション
上記のスムーサーE オートシフトをベースに、シフトパターンやメカニズムの変更、軽量化を行った改良型で、スムーサーE/スムーサーE オートシフトと同様、クラッチペダルのみ取り外されたような形状の2ペダル式である。
MT車に於ける半クラッチ状態を調整する為のスイッチも同様に設けられている。
スムーサーE オートシフトと同様に自動変速を行うため、H型シフトレバーは採用されず、乗用車に於けるスポーツモードATのようなセレクタをもっている。 セレクタは6ポジション、R-N-Dで、Dレンジの右側にMレンジ(シーケンシャルマニュアルモード)があり、Mレンジの上部に「+」、下部に「-」が付随している。トルコン式ATの様なパーキングレンジは採用されていない。(スムーサーE オートシフトと同様の状態になる)
シフトレバー右側にはECONOスイッチ(省燃費モード切替スイッチ)が、シフトレバー下側には「1ST START」スイッチが設置されている。

  • スムーサーE オートシフトと同様、緊急時に使用する、強制的に前進1速ギアまたは後退ギアで走行するためのスイッチが、セレクタ前部の蓋の中に設けられている。前進1速ギアか後退ギアを選ぶスイッチも同様に収められている。

[編集] スムーサーF

積載量4トン~クラスの中型トラック、フォワードに採用されているシリーズ名称である。採用はエルフのスムーサーEシリーズよりも早く、2002年の一部改良から採用された。

スムーサーEと同様、フルードカップリング+湿式多板クラッチによる断続機構を採用していて、スムーサーEとはエルフよりも排気量の大きいエンジンに対応してフルードカップリングの容量がUPされているなどの違い位で、機能的には同一である。 フォワードには(エルフのデュアルモードMTのような)切り替え可能なMTは存在しない。

[編集] スムーサーF (無印)

英語表記:Smoother-F
2002年の4代目フォワードの一部改良で採用された、通常のMT車と同様にH型のシフトレバー、変速パターンをもつ、運転者による手動変速が必要なタイプのセミオートマチックトランスミッション
機能的にはスムーサーEと同一。

[編集] スムーサーF オートシフト

英語表記:Smoother-F Autoshift
エルフにスムーサーE・オートシフトがオプション設定されたと同時期の2005年5月から4代目フォワードにオプション設定された、ゲート式セレクターレバーを持つ、全自動変速が可能なタイプの機械式オートマチックトランスミッション
機能的にはスムーサーE オートシフトと同一。

[編集] スムーサーFx

英語表記:Smoother-Fx
2007年5月に登場した5代目フォワードに設定された、ゲート式セレクターレバーを持つ、全自動変速が可能なタイプの機械式オートマチックトランスミッション
機能的にはスムーサーExと同一。

[編集] スムーサーG

積載量10トンクラス以上の大型トラック、ギガに採用されている。
スムーサーE/Fシリーズとは異なり、断接機構はマニュアルトランスミッション車と同様の乾式クラッチ(車型により単板/複板の2種がある)である。現在市販されているのは、全自動12段/16段変速タイプのもので、シンクロメッシュ機構を廃し、湿式多板クラッチを用いたカウンターシャフトブレーキや自動制御によるダブルクラッチ操作によって変速時にギヤの回転数を合わせている。また、荷役時の位置合わせなど微速走行の際に用いるクラッチペダルを備えている。

[編集] デュアルモードMT

※シーケンシャルMTシリーズではないが、クラッチペダルを操作せずに変速操作が可能な機構であるため、本稿で紹介する。

通常のMT車と同様クラッチペダルを持ち、H型シフトパターンを採用した変速機構である。 ギアを選択するときにシフトレバーを握るとレバーの中に組み込まれたセンサーが変速を感知して自動的にクラッチを切ってくれるシステムなので走行中に「クラッチフリー」状態でうかつに握ると意図しない状態でクラッチが切れること があるので要注意。 インパネに「クラッチフリー」のスイッチボタンがあり、それをONにすることでクラッチペダルを操作しなくとも通常の変速操作が可能となる。 クラッチフリーボタンをOFFにすれば通常のMTと同様にクラッチ操作を必要とする変速操作に切り替えることができ、 プラットホーム着けなど、微妙な位置合わせが必要な際は、従来どおりのクラッチ操作が可能で、通常の運転はクラッチフリーで運転することができる。

  • クラッチペダルを有する車両であることから、日本国内の公道においてオートマチック限定免許により運転することはできない。
  • クラッチフリーがONの時の半クラッチ時間は、スムーサーのそれと同様調整が可能であるが、坂道発進補助機構(いすゞ内での呼称はHSAことヒル・スタート・エイド)に関する時間調整とリンクしている。
  • 断続機構に、通常のMTと同様の乾式単板クラッチ+ダイヤフラムカバーを用いている。
  • クラッチフリーがON、車両が停止状態でセレクトレバーを3速より高いギアポジションに入れると警告音を発する。
  • クラッチフリーをONにしたまま、うっかりクラッチペダルに足を乗せただけでも警告音を発するくらい敏感なシステム


[編集] 他メーカーの同様の技術の名称

[編集] 関連項目

最終更新 2009年10月4日 (日) 01:39 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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