マジコン
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マジコンとは、テレビゲームのROMイメージをコピーしたり、またそのコピーをゲーム機で起動させるための機械の総称である。
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[編集] 概要
名称の由来は、スーパーファミコン用のコピーツール「スーパーマジコン(フロントファーイースト社製)」。これはフロッピーディスクにデータを移すもので、パソコンによってセーブデータのコピーを管理したり、同人ゲームのベースに流用したりなどもされた。 なお、SFC以前にもFCカセットのデータを書き換え可能な非公式カートリッジにコピーする機器や、ディスクシステムのゲームをクイックディスクや、正規ディスクに類似した形状のクイックディスクにコピーするツールも存在していた。
- 主な機能
- ゲームソフトのコピー及び起動
- 自作プログラムの起動
- 画像表示及び文書表示、音楽・動画の再生
[編集] 著作権との問題
著作権の目的となっている著作物について、自身が個人的に、または家庭内およびこれに準ずる目的で複製する行為は、日本国内では著作権法30条1項(私的使用のための複製、以下「私的複製」と記述)により認められている(ただし、同条同項1号および2号に該当する場合は除く。代表的な例は"技術的保護手段の回避"がある)。私的複製の要件として、複製元の著作物の所有を求める規定はなく、所有の継続を求める規定も存在しない[1]。また、送信可能化権や複製権を侵害した著作物の私的複製を妨げる規定も存在しない[1]。ゲームソフトもこの著作権の目的となっている著作物に該当し、そして私的複製も認められる。著作権者の許諾なき複製物の売買や無償配布など、この私的複製の範囲を超えた目的での複製は違法となる。
マジコンはコピーツールの一種であり、前述の通り限られた範囲内でのコピー(私的複製)を目的としてマジコンを売買・所持・使用することについては著作権法違反には当たらない。このため、マジコンそのものには違法性は無いともいえる。
しかし、マジコンは、上記の私的複製の範囲を超えた使用の態様となる国も存在する[2]。インターネット上ではゲームソフトのイメージファイルが違法に配布されており、オリジナル(市販されているゲームソフト)を持たずともイメージファイルを入手できる。マジコンはオリジナル(市販されているゲームソフト)と何ら変わりないプレイ環境でコピーを動作させることができるため、違法に配布されている他人の作成したゲームソフトのイメージファイルをダウンロードし、それをマジコンに入れて起動すれば、市販ソフトを購入せずにプレイできる。
こうした行為が多発するため、ゲームソフト制作会社はマジコンの流通規制を要望している。
[編集] 直接侵害と寄与侵害
違法配布されているイメージファイルを入手し、マジコンで起動させる行為を著作権法の立場からいうと、違法な公衆送信を助長して侵害に寄与するという意味で、寄与侵害と呼ばれる。侵害行為には直接侵害、間接侵害、寄与侵害などがあるが、日本では過去の判例に著作権法の寄与侵害が認定された例は一例もない[3]。このため、著作権法的な立場からマジコンを規制するという法文・判例解釈を行うのは難しいと見られている。あくまで著作権の直接侵害を行うのは、本来個人用としてコピーされたデータを公衆に頒布できるようにアップロードした者である。
[編集] 不正競争防止法の対象
任天堂などのゲーム会社54社は、不正競争防止法を根拠に提訴した[4](後述)。
一般的にMODチップと呼ばれるコピープロテクション解除ICチップ等、ゲームにかけられているプロテクトを意図的に解除する装置や道具の販売は、1999年10月の不正競争防止法の改正により違法となっている。このためマジコン内部にゲーム機、あるいはゲームソフトのコピープロテクションを解除する機能「のみ」が備わっていると解釈される場合にはマジコンの売買は日本国内では違法となるため、本訴訟では、マジコンがゲームソフトのコピープロテクションを解除する機能「のみ」が備わったものであるかどうかが争点になった[5]。また、マジコンが解除するというプロテクションの対象が著作権法や特許法などで守られる目的のものであるかどうかも大きな争点になった。
2009年2月27日、東京地裁からマジコン販売業者に対して、マジコンの輸入販売禁止と在庫廃棄を命じる判決を言い渡したことが明らかになった[4]。判決は、任天堂などのゲームソフトメーカーの主張を全面的に認めたもので、任天堂は「マジコンに対して、今後も継続して断固たる法的措置を講じる所存です」とのコメントをした[6]。これで日本国内での発売禁止がほぼ確定となった。
判決文では争点となった「のみ」要件について、必要最小限の規制という観点から、別の目的で製造提供されている装置が偶然プロテクション回避の機能を有している場合は除外していると解釈したうえで、争点となった被告装置は「のみ」要件を満たし、パソコンのような汎用機器、およびプロテクションに反応しない機器は「のみ」要件を満たさないとした。
楽天は上記訴訟が提起された段階で楽天オークションへのマジコンの出品を禁止していた[7]が、Yahoo! JAPANも東京地裁判決を受けてYahoo!オークションへのマジコンの出品を禁止した[8]。
しかし、不正競争防止法では判決の根拠となった2条1項11号に対する刑事罰が規定されておらず、個別の民事差止請求・損害賠償請求によらなければならないため、上記訴訟の判決確定後も、マジコンは東京・秋葉原や名古屋・大須、大阪・日本橋(でんでんタウン)などでの販売が止まない状態である[9]。
また、上記訴訟とは別に、任天堂やスクウェア・エニックスなど55社が、マジコンの輸入販売会社・『ブルウィル』など4社を相手取り、不正競争防止法に基づき、マジコンの販売の差止めと約4億円の損害賠償などを求め、東京地裁に訴訟を起こした[10][11]。
[編集] ゲーム機毎の特徴
[編集] ゲームボーイアドバンス
GBAのROMカートリッジは任天堂が意匠権を取得しているため、カートリッジと同様の形状をしたマジコンはそのほとんどが部分意匠に抵触するとされ、販売できなくなった。よって現在は意匠権に抵触しないマジコンが発売されている。
なお、部分意匠の嵌合形状(即ち規格に該当)そのものは意匠権の対象とはなっておらず、意匠法が守る対象ではないとされる。意匠登録によって保護を受けるためには視覚を通じて美感を起こさせる(意匠法2条)ものである必要がある。
[編集] ニンテンドーDS
従来のGBAカートリッジ型マジコンからDSソフトを起動するには、別売のDSカード型の起動カードやDSのファームウェアを特殊な方法で入れ替えることが必要だった。ファームウェアの改造は任天堂の保証外になり、修理などのサポートが受けられなくなる。このようにマジコンを使うにあたっては、複雑な準備が要求されたが、現在はDSカード型の筐体にカードリーダーあるいはフラッシュメモリーを内蔵したマジコンの出現により、特に改造も必要なく、普通のゲームソフトと同じように起動が可能となっている。
多くの製品はminiSDやmicroSDに対応しており、プレーヤーやエミュレータをパソコンからインストールしてDSで動画や音楽の視聴をしたり、ファミコン等のゲームをプレイしたりできるようになる。また、製品によっては「吸出し機能」がついていて、ゲームデータやセーブデータをコピーすることができる。なお、コピーしたゲームデータをインターネット等で「配布」する行為は違法である。
この「吸出し機能」により、ゲームの不正コピーが横行している。しかし、ソフトウェア側での対策も進められており、ドラゴンクエストVや大合奏!バンドブラザーズDXなど数々の作品で対策が取られている。これらのソフトをマジコンから起動しようとするとゲームが起動しない、ゲーム中フリーズする、ゲームが進行不可能になる、セーブデータが破損するなどの現象が起きる[12]。このように対策を講じても、ファームウェアを更新してそれらのゲームを起動できるようにしている場合もある。
さらに、検索で簡単に見つかる掲示板やブログなどでチートやパッチ、逆アセンブラなどが配布されており、誰でもプログラムの改竄、通常プレイが可能な状況になってしまっている。また、最近発売されたソフトのパッケージには正常に動作しない可能性があるという警告文が書かれ、この事がマジコンや不法に広まっているソフトの存在を暗に示している。
2008年7月29日、任天堂とソフトメーカー54社は、マジコンを輸入・販売する業者5社に対し輸入販売の差止めを求めて東京地裁に提訴し[13]、2009年2月27日、東京地裁は輸入・販売の差止めと、機器の廃棄を命じた。提訴後、マジコン販売業者が次々と閉鎖していった。また、2008年11月1日発売のニンテンドーDSiには、マジコン対策が施された。
これらの違法データによる被害は、2008年8月に発表されたコンピュータソフトウエア著作権協会の調査結果によれば、Winnyにより流出したDSソフトは、185万7988本、2008年12月までに海外サイトでダウンロードされた違法データの数は、累計約1億1200万本件にのぼり被害額3000億円以上と計算される[12][14]。2008年7月29日、東京地裁への提訴を受け楽天オークション[7]が出品を禁止し、2009年2月27日、東京地裁の判決を受け[15]、ヤフーオークション[8]は出品を禁止する。
さらに、任天堂はファームウェア側で対策を施すことで、DSiでマジコンが動作しないようにする対策に乗り出したが、すぐに回避されてしまった。[16]。
[編集] その他
「スーパーマジコン」の流通後、任天堂をはじめとするゲームソフトメーカーはスーパーファミコンのカセットに不正コピー対策のプロテクトを何種類か施している。このプロテクトは、不正コピーされたゲームデータをマジコンを介したプレイしていると検知すると、ゲームが正常に動作しないというものである。しかし稀に正規ゲームであってもこのプロテクトが誤作動することがあり、これが原因で回収騒ぎに発展したソフトもあり、メーカー側はいまいち対策に踏み切れていない。
[編集] 脚注
- ^ い ろ 「私的録音録画小委員会、「私的複製」の範囲見直しを議論」 INTERNET Watch、2007年4月17日。
- ^ 「違法複製物・違法サイトからの複製の違法化に関する諸外国の状況について」(著作権分科会 法制問題小委員会(第8回)議事録・配付資料 > 資料4) 文部科学省、2007年9月21日。
- ^ Winny事件については継続中であり、詳細はWinny参照。またカラオケ店を巡るクラブ・キャッツアイ事件では寄与侵害ではなくカラオケ店が著作権の利用主体であると認定された(間接侵害)。また著作権侵害を行う店へのカラオケ機器のリースを差し止めた判例がある(ヒットワン事件:大阪地裁平成15年2月13日:著作権侵害幇助)。しかしいずれもカラオケ機器の製造・販売そのものの差し止めを請求した事例ではない(寄与侵害)。米国では寄与侵害に関わる複数の判例がある。参照[1][2]
- ^ い ろ 「DSソフト 不正ダウンロード――違法認定 機器差し止め」『朝日新聞』2009年2月28日付朝刊、第13版、第37面。
- ^ 不正競争防止法第2条1項10号(不正競争の行為):営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
- ^ 東京地方裁判所がマジコンの輸入、販売の差し止めと在庫の廃棄を命じるファミ通.com、2009年2月27日。
- ^ い ろ 【お知らせ】いわゆる「マジコン」の出品取り扱いについて(楽天オークション、2008年8月27日)
- ^ い ろ 「マジコン」出品禁止のお知らせ(Yahoo!オークション、2009年02月27日)
- ^ 売買に罰則なく「マジコン」流通 産経新聞 2009年10月5日
- ^ 任天堂:「マジコン」販売4社を損賠提訴 4億円請求 毎日新聞 2009年10月6日
- ^ 任天堂などソフトメーカーが「マジコン」の禁止求め提訴 産経新聞 2009年10月5日
- ^ い ろ このようなプロテクトを施しても、発売後わずか6時間足らずで破られた。産経新聞 - 2009年2月27日配信
- ^ ニュースリリース:2008年7月29日(ニンテンドーDS用機器に対する法的措置について)
- ^ 産経ニュース - 2009年2月27日
- ^ ついにYahoo!オークションがマジコンの出品禁止 - GIGAZINE 2009年3月2日
- ^ ニンテンドーDSi、新ファーム導入でマジコン動作不可に - ITmedia、2009年7月31日
[編集] 文献情報
- 平成20年(ワ)第20886号不正競争行為差止請求事件(判決文)[3](財団法人ソフトウェア情報センター)
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月19日 (木) 08:43 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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