人名用漢字

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人名用漢字(じんめいようかんじ)は、日本における戸籍に子の名として記載できる漢字のうち、常用漢字に含まれないものを言う。法務省により戸籍法施行規則別表第二(「人名用漢字別表」)として指定されている。

日本の戸籍に子の名として記載できる文字は原則として常用漢字と人名用漢字、片仮名及び平仮名変体仮名を除く。)のみである。(戸籍法施行規則)

また、何かの事情があって改名する場合、外国人が帰化する場合もこの文字の制限が適用され、特に後者の場合、苗字も新たに作るが、その苗字にも制限が適用され、「澤尻」や「藪」といった常用漢字や人名用漢字にない漢字を含む苗字にすることはできず(2004年9月27日[1]に苗字としての使用例が多い漢字は使用可能になったが、それまでは「岡」を含む苗字などよくある苗字にも使えないが多数あった。)、中国韓国などの他の漢字圏の人が帰化前の名前で日本に帰化する場合、帰化前の名前が常用漢字や人名用漢字にない字を含む(「崔」という苗字など)ために、そのままでは帰化できない場合がある。

1946年11月16日に、漢字制限するため内閣によって告示された当用漢字には、人名に頻繁に用いられる漢字の一部が含まれていなかった。当初は当用漢字の範囲に含まれない漢字は新生児の名前に用いるべきでないとされていたものの、1951年5月25日、内閣は92字を人名用漢字として新たに指定。(人名用漢字別表)。使用したい漢字が使用できないことから裁判を行って追加することで、人名漢字を追加していった[2]結果人名用漢字別表は次第に数を増やし、2004年7月12日時点で290の漢字が人名に用いることができるものとして指定されていたが、それでも「苺(いちご)」や「雫(しずく)」といった漢字が使えないなど、命名に対する不満の声があった。こうした声を受けて、同年9月27日には488字の大幅な追加がなされた。

2004年9月27日の追加では、沼尻・田尻・野尻などの名字で使われている「尻」や飛騨の「騨」、さらに「焔」「錨」「鮪」「燐」「仍」「崔」「悧」「懍」「檸」「檬」「欅」「浚」「煕」「瞑」「碼」「茗」「萃」「藺」「逍」「釐」「霖」「璋」などの追加を望む声もあったが追加には至らなかった。

目次

[編集] 変遷

  • 1951年5月25日、92字を人名用漢字として新たに指定
  • 1976年7月30日、28字を追加し、120字となる
  • 1981年10月1日、常用漢字に採り入れられた8字を削除し、54字を追加して166字となる
  • 1990年4月1日、118字を追加し284字となる
  • 1997年12月3日、1字(「琉」)を追加し、285字となる
  • 2004年2月23日、1字(「曽」)を追加し、286字となる
  • 同6月7日、1字(「獅」)を追加し、287字となる
  • 同7月12日、3字(「毘」「瀧」「駕」)を追加し、290字となる
  • 同9月27日、許容字体からの205字と追加された488字を加え、全部で983字となる
  • 2009年4月30日、「祷」「穹」の2字を追加し、985字となる

[編集] 2004年9月の人名用漢字追加

2004年6月11日、人名用漢字を一度に578字増やす見直し案が公表された。法相の諮問機関「法制審議会」の人名用漢字部会がまとめたもの。 親から要望の強かった「雫」「苺」「遙」「煌」」などが使用可能になるが、案は人名にふさわしいかどうかの基準で判断せず、漢字の使用頻度や平易さで選んだため、「糞」「呪」「屍」「癌」などの字も多数含まれた。 同部会は、見直し案に対する意見を7月9日まで法務省のホームページなどで募集した。

同23日、審議会は先に募集した意見の中で反対の多かった、「糞」「屍」「呪」「癌」「姦」「」「怨」「痔」「妾」の9字を追加案から削除することを決めた。また、削除の要望のあった漢字489字のうち480字についても、さらに検討し削除するかを判断することとした。逆に追加するよう要望のあった「掬」を新たに加えることも決定した。

8月13日、審議会は7月23日に削除を決めた9字のほかに、「蔑」「膿」「腫」「娼」「尻」」など79字を削除し、これを最終案として9月8日に法務大臣へ答申した。また、7月12日に訴訟の起こされていた3字が一足先に追加されたため、最終的に追加される漢字は488字となった。法務省はこの答申を受けて9月27日に法務省令(戸籍法施行規則)を改正した。これまで人名用漢字の許容字体とされていた異体字205字(「龍」「彌」など)も人名用漢字となり、許容字体表は廃止された。これで人名用漢字の総数は983字となった。

[編集] 人名に使える漢字の数(2009年4月30日以降)

  1. 常用漢字1945字種1945字体
  2. 漢字の表(一)(常用漢字の異体字でないもの)756字種776字体
  3. 漢字の表(二)(常用漢字の異体字であるもの)209字種209字体

字種としては、1.の1945字種と2.の756字種を合わせて2701字種になる。3. は、すべてが常用漢字の異体字である。また、字体としては、1.の1945字体と2.の776字体、3.の209字体で合わせて2930字体になる。

[編集] 人名用漢字の一覧

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この一覧と人名用漢字許容字体表の一覧の表示には文字化け等を防止するため画像を使用している箇所がある。画像を使用していない一覧については人名用漢字の一覧を参照されたい。

文字コード上のどの漢字とマッピングされているかと、正式な文字の字形は、法務省 戸籍統一文字情報で確認できる。

常用漢字以外の文字とその異体字

侃侑俄俣俐侶倭俺倖偲允兎兜冥冴冶凄凌凜‐凛凧凪凰凱函刹劉劫勁勃勾匂勿匡卯卿厨厩叉叡叢吻呂哉哨啄唄哩喬喧喰喋嘩嘉嘗噌噂圃圭坐尭‐堯坦埼埴堆堰堺堵塙塞塡壕夷奄奈奎套妖娃姪姥娩媛嬉孟宏宋宛宕宥寅寓寵尖尤屑岡峨峻崖崚嵐嵯嵩嶺巌‐巖巷巽帖幌幡庄庇庚庵廟廻弘弛弥‐彌彗彦彪彬徠忽怜恢恰恕悌惟惚悉惇惹惺惣慧憧憐戊或戚戟戴托按拶拭挨拳捉挺挽掬捲捷捺捻捧掠揃摑摺撒撰撞播撫擢孜敦斑斐斡斧斯於旦旭旺昂昊昏昌昧昴晏晃‐晄晒晋晟晦晨智暉暢曖曙曝曳曽‐曾朋朔杏杖杜李杭杵枕杷枇柑柴柵柿柘柊栃柏柾柚桧‐檜栞桔桂桁栖桐栗梧梗梓梢梛梯桶梶椛梨梁椅棲椎椋椀楯楚楕椿楠楓椰楢楊榎樺榊榛槙‐槇槍槌樫槻樟樋橘樽橙檎檀櫂櫛櫓欣欽歎毅毘毬汀汝汐汎汲沙汰沌沓沫洸洲洵洛浩浬淵淳渚‐渚淀淋渥湘湊湛湧溢滉溜漱漕漣澪濡瀕灘灸灼烏焰焚煌煎煤煉熙熊燕燎燦燭燿爪爽爾牒牟牡牽犀狼猪‐猪獅玖玩珂珈珊珀玲琢‐琢琉瑛琥琶琵琳瑚瑞瑶瑳瑠璃瓜瓢瓦甥甫畏畠畢畿疋疏瘦皐皓眉眸睦瞳瞥瞭矩砦砥砧硯碓碗碩碧磐磯祇祢‐禰祐‐祐祷‐禱禄‐祿禎‐禎禽禾秦秤稀稔稟稜稽穣‐穰穹穿窄窟窪窺竣竪竺竿笈笹笙笠筈筑箕箔箸篇篠簞簾籾粥粟糊紘紗紐絃紬絆絢綺綜綴緋綾綸縞徽繫繡纂纏羚羨翔翠耀而耶耽聡肇肋肘肴胤胡脇脩腔腎膏膳臆臥臼舜舷舵艶芥芹芯芭芙芦苑茄苔苺茅茉茨茸茜莞荻莫莉菅菫菖萄菩萌‐萠萊菱葦葛葵萱葺萩董葡蓋蓑蒔蒐蒼蒲蒙蓉蓮蔭蔣蔦蓬蔓蕎蕨蕉蕃蕪蔽薙蕾蕗藁薩藤藍蘇蘭虎虹蜂蜜蝦蝶螺蟬蟹蠟衿袖袈袴裡裾裟裳襖訊訣註詣詢詮詫誼諏諄誰諒謂諺諦謎讃豹貌貰貼賑赳跨蹄蹟蹴輔輯輿轟辰辻迂迄辿迪迦這逞逗逢遥‐遙遁遡遜遼邑那祁郁鄭酉酎醇醐醒醍醬采釉釘釜釧鋒鋸錦錐錆錫鍋鍵鍬鎧鎌閃閏閤闇阜阪阿陀隈隙隼雀雁雛雫霞靖鞄鞍鞘鞠鞭韓頁頃須頌頓頗頰顚颯餅饗馨馴馳駕駒駿驍魁魯鮎鯉鯛鰯鱒鱗鳩鳶鳳鴨鴻鵜鵬鶴鷗鷲鷺鷹鹿麒麓麟麿黎黛鼎亀

注「‐」は、相互の漢字が同一の字種であることを示している。

常用漢字異体字

爲(為) 榮(栄) 衞(衛) 謁(謁)圓(円) 薗(園) 應(応) 櫻(桜) 奧(奥) 橫(横) 溫(温) 價(価) 禍(禍) 悔(悔) 海(海) 壞(壊) 懷(懐) 樂(楽) 渴(渇) 卷(巻)陷(陥) 寬(寛) 漢(漢) 氣(気) 祈(祈) 器(器) 僞(偽) 戲(戯) 峽(峡)狹(狭) 響(響) 曉(暁) 勤(勤) 謹(謹) 駈(駆) 勳(勲) 薰(薫) 惠(恵) 揭(掲) 鷄(鶏) 藝(芸) 擊(撃) 縣(県)儉(倹) 劍(剣) 險(険) 圈(圏) 檢(検) 顯(顕) 驗(験) 嚴(厳) 廣(広) 恆(恒) 國(国) 黑(黒) 穀(穀) 碎(砕) 雜(雑) 祉(祉) 視(視) 兒(児) 濕(湿) 實(実) 社(社) 者(者) 煮(煮) 壽(寿) 收(収) 臭(臭) 從(従) 澁(渋) 獸(獣) 縱(縦) 祝(祝) 暑(暑) 署(署) 緖(緒) 諸(諸) 敍(叙) 將(将) 祥(祥) 涉(渉) 燒(焼) 奬(奨)條(条) 狀(状) 乘(乗) 淨(浄) 剩(剰) 疊(畳) 孃(嬢) 讓(譲) 釀(醸) 神(神)眞(真) 寢(寝) 愼(慎) 盡(尽) 粹(粋) 醉(酔) 穗(穂) 瀨(瀬)齊靜(静) 攝(摂) 節(節) 專(専) 戰(戦)纖(繊) 禪(禅) 祖(祖) 壯(壮) 爭(争) 莊(荘) 搜(捜) 巢(巣) 裝(装) 僧(僧) 層(層) 騷(騒) 增(増) 憎(憎)藏(蔵) 贈(贈) 臟(臓) (即) 帶(帯) 滯(滞)瀧(滝) 單(単) 嘆(嘆) 團(団) 彈(弾) 晝(昼) 鑄(鋳) 著(著) 廳(庁) 徵(徴) 聽(聴) 懲(懲) 鎭(鎮) 轉(転) 傳(伝) 都(都)嶋(島) 燈(灯) 盜(盗) 稻(稲) 德(徳) 突(突) 難(難) 拜(拝) 盃(杯) 賣(売) 梅(梅) 髮(髪) 拔(抜) 繫(繁) 晚(晩) 卑(卑) 祕(秘) 碑(碑) 賓(賓) 敏(敏)冨(富) 侮(侮) 福(福) 勉(勉) 峯(峰) 墨(墨) 飜(翻) 每(毎) 萬(万) 默(黙) 埜(野) 藥(薬)與搖(揺) 樣(様) 謠(謡) 來(来) 賴(頼)覽(覧) 欄(欄) 龍(竜) 虜(虜) 凉(涼) 綠(緑) 淚(涙) 壘(塁) 類(類) 禮(礼) 練(練) 鍊(錬) 郞(郎) 朗(朗) 廊(廊) 錄(録)

注:括弧内の漢字は、常用漢字表での字体を示している。

[編集] 人名用漢字許容字体表

爲衞應櫻奧價壞懷樂渴卷陷氣僞戲峽狹曉勳惠揭鷄藝縣儉劍險圈檢顯驗嚴廣恆國碎雜兒濕壽收從澁獸縱敍將燒奬條乘淨剩疊孃讓釀眞寢愼盡粹醉穗齊靜攝專戰纖禪壯爭莊搜裝騷增藏臟帶滯單團彈晝鑄廳聽鎭轉傳燈盜稻拜賣髮拔祕拂佛飜默藥與搖樣謠來覽龍壘巖彌祿穰

[編集] 読みをめぐる議論

人名に用いる読みの規定、制限はない。しかし、難読の人名によって問題が起こることがあり、人名に使用してよい読みを規定すべきだという主張もある。[3]

安土桃山時代ヨーロッパと交流が始まって以降、外国語に漢字を当てた名前が使用されるようになり、読みを意訳して漢字にするケースが存在するようになっていった。そのため、無理に漢字を当てず仮名のほうがよいと指摘する専門家もいる。

[編集] 日本以外における人名用漢字

日本以外にも漢字を使っている国はあり、命名も漢字を用いてなされ戸籍に登録される国もあるが、日本同様に制限されている場合もある。

[編集] 韓国

韓国では、新生児の命名に漢字またはハングルを使用することができ(漢字とハングルの混合は認められておらず、漢字のみあるいはハングルのみに統一しなければならない)、漢字を使用する場合、日本同様に使用できる漢字は制限されており、命名に使用できる漢字を「인명용 한자(人名用漢字)」と呼んでいる。これは1991年に制定された。韓国の人名用漢字もこれまでに何度か改訂され文字が追加されていて、最近では2007年初頭に113字追加され、現在全部で5151字ある。また韓国では、万が一人名用漢字にない漢字を使用した命名が役人の手違いにより受理された場合、後で役人が職権によりハングルに直すことがある[4]

[編集] 中国

中国ではこれまで名付けに使える漢字に制限がなかった。そのため、これまでの命名では文字コードにないような珍しい漢字が使用されることもあり、こういう漢字が使われるたびに文字コードに追加していかなくてはならないため、IT社会においては問題となる。そこで、中国でも将来的には命名に使える漢字を制限する方針であり、2004年から数年がかりで規範漢字表を制作しており、命名にはこれに含まれる漢字のみに制限する予定である。

[編集] 参考文献

[編集] 関連書籍

  • 「最新 子の名に使える漢字字典」(日本加除出版、2004年11月)ISBN 4-8178-1291-5
  • 「新版 わかりやすい一表式 誤字俗字・正字一覧―戸籍の氏又は名の記載・記録に用いる文字―」(日本加除出版、2004年11月)ISBN 4-8178-3724-1
  • 「最新人名用漢字と誤字俗字関係通達の解説」(日本加除出版、2005年6月) ISBN 978-4817812964
  • 「人名用漢字の変遷 ― 子の名に使える漢字の全履歴」(日本加除出版、2007年10月)ISBN 978-4-8178-1338-1

[編集] 関連項目

[編集] リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 平成一六年九月二七日法務省令第六六号
  2. ^ プロ野球選手の中村隼人の「隼」の字は上記裁判の結果つけられた例である
  3. ^ いわゆる「消えた年金問題」を引き起こした国民年金加入者のデータ入力ミスの原因のひとつに名前の読みから漢字に直接変換できなかったこともあげられる。その上、問題解決の際に漢字から読みへの変換を行ったとき、日本語をよく知らない外国人に作業を行わせ、正しい読みにすらできないケースが発生して問題をさらに大きくさせた事象もある。
  4. ^韓国で子供に名前を付ける際の注意点とは?」朝鮮日報日本語版、2007年3月5日。

最終更新 2009年10月19日 (月) 12:04 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【人名用漢字】変更履歴

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