優先席
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優先席(ゆうせんせき)とは、日本などの鉄道車両やバスなどに設置されている、高齢者や身体障害者などの着席を優先させる座席。優先座席(ゆうせんざせき)やシルバーシートの呼称を使う事業者もある。ただし、札幌市交通局では「専用席」、京王電鉄では愛称として「おもいやりぞーん」、伊予鉄道では「おもいやりゾーン」を使用している。
優先席は、他の席と座席表地の色を変えたり、座席部の壁や窓に優先席を示す表示のステッカーを貼付したりする。また、席自体が乗降扉の近くになるように設置されるのが一般的である。英称はCourtesy SeatとPriority Seatの2通がある。(事業者によって異なる)
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[編集] 概要
最初に優先席を導入したのは東京都交通局(都営地下鉄)であった。その後、旧・日本国有鉄道(国鉄)で設定した当初、高齢者や身体障害者を対象にし、他の座席と区別するため、新幹線0系電車の座席に使うシルバーグレー色の予備布地を利用[1]してシートを設定したことから、シルバーシートの名前を付与した。私鉄など他の事業者については座席表地の色については必ずしも踏襲していないが、識別マークはシルバーシートを引き継いだ。呼称は「シルバーシート」「(お年寄りや体の不自由な方の)優先席」とまちまちであった。
しかし、1990年代後半からは利用対象を高齢者や身体障害者以外にも怪我人、妊婦、乳幼児連れなど一時的に何らかのハンディキャップを持つ人に拡大するため、高齢者専用を思わせる「シルバーシート」という名称から各鉄道・バス事業者とも「優先席」もしくは「優先座席」への変更が進んでいる。
関東・近畿両地方の主な鉄道事業者(後述する一部の事業者を除く)やJRグループ各社では、心臓ペースメーカーなどを装着した人への配慮のため、この優先席付近では携帯電話の電源をオフにするように呼び掛けている。これは、ペースメーカーに携帯電話からの電波を当て続けると作動が不安定になる可能性があることが実験で確かめられた[2][3]事によるが、最新の研究では密着させるような距離でないと影響が無い事がわかっており、[4] 反論も少なからずある。[5]
また、携帯電話のマナー啓発のために、大手私鉄などで優先席付近のつり革を一般に使われる白色から、オレンジ色のものに変更する事業者も増えて来ている。このほか、東日本旅客鉄道(JR東日本)埼京線・川越線用の205系は黄緑色、東京臨海高速鉄道りんかい線の70-000系は水色にそれぞれ変更している。JR東日本の中央線快速などに2006年から導入され始めたE233系は黄色のつり革や手すりが使われ、床の模様も変えている。そのE233系で使われているつり革は、後にJR東日本の首都圏の路線の車両にも採用が拡大していった[6]。
札幌市交通局(札幌市営地下鉄)では優先席にあたる座席を「専用席」としている。ラッシュ時間帯でも若者や健常者が座ることはまれである。車内での携帯電話は専用席付近は電源オフを呼び掛けている。
[編集] 優先座席の是非
阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の阪急電鉄および能勢電鉄・神戸電鉄では、1999年(平成11年)4月1日より優先座席を廃止し、全車両の全座席が優先座席と同様に扱われるよう乗客のモラル向上を呼び掛けた(実質的には区分のみを廃し、全座席を優先座席化するものであった)。これは、優先座席を利用すべき対象者(高齢者・身体障害者・怪我人・妊婦・乳幼児連れなど)が事業者により設定された場所に追いやられる形は好ましくなく、本当に必要な人が間近の席でも利用できるように、との性善説にそった思考への転換によるものであった。
- バス事業者では京阪宇治交通(現在会社解散)がこれより早い1980年代に全席優先席を実施していた。
- 阪急電鉄と能勢電鉄ではこれに加えて、2003年(平成15年)6月10日よりペースメーカーなどを装着する人への配慮のため、携帯電話の電源オフをルール付けた車両を全列車に1~4両ずつ設けている(携帯電話電源オフ車両で詳述)。
横浜市交通局(横浜市営地下鉄)も、阪急電鉄に職員を派遣・研修[7]させるなどして、同様の全座席の優先座席化を2003年12月1日から実施した[8]。電車接近の案内放送でも最後に「横浜市営地下鉄はすべての座席が優先席です。お年寄りやお身体の不自由なお客様に席をお譲り下さい。」という呼びかけが流れる。携帯電話については阪急電鉄などとは違い、全車両での電源オフをルール付けしている。
2007年に阪急電鉄は株主総会で「座席を譲ってもらえない」との意見が出たことをきっかけに再検討し、同年10月29日から再び優先座席の区分を用いる方針へと転換した[9]。これは能勢電鉄・神戸電鉄および大阪市営地下鉄堺筋線も追従した。全席優先座席の制度が採用されていることは主に車内放送でPRされていたものの、実際の車内環境においては車内のドア上部に座席の譲り合いを啓発する小さなステッカーを貼付するだけと、具体的な明示は最小限のものであった。メディアによって制度の終了が報じられたことをきっかけにこの制度を知ったとする利用者が存在するなど、PR不足も指摘された。一方で乗客の着席志向が強いこともあり、優先座席が車両の全席であるか一部であるかを問わず、最終的には乗客次第であるとする見方もある。
[編集] 携帯電話電源オフ車両
携帯電話電源オフ車両(けいたいでんわでんげんオフしゃりょう)とは、鉄道列車内において、その車両内は優先席などとは関係なく携帯電話の電源を切るよう求められる車両のこと。
[編集] 概要
阪急電鉄で2003年6月10日より採用されている。最初はあくまでも試験的な導入であったが、同社と能勢電鉄は同年7月11日より本格導入することを発表した。翌2004年2月16日からは、阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の神戸電鉄と、阪急電鉄と相互直通運転を行う大阪市交通局(大阪市営地下鉄)堺筋線でも導入がなされた。特に堺筋線では、他の路線とは異なり、乗り入れ先の阪急電鉄に合わせて8両編成の先頭と最後部車両を終日携帯電話電源オフ車両とした。2007年10月29日には阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄が優先座席を再設定したことにあわせて見直しが行われ、携帯電話電源オフ車両は1両のみに設定された。
- 2004年2月16日より近畿地方の鉄道事業者は「優先席付近では携帯電話の電源をOFFにする」という統一ルールを設定し実施することとなっていたが、阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄および大阪市営地下鉄堺筋線では、車両に優先席がなく[10]、本節のとおり先行して携帯電話の電源オフをルール付けた車両を運行していたことから、実際の状況には即さないとして、現在に至るまで同ルールの適用対象外事業者となっている。
また、横浜市営地下鉄では2003年12月1日からすべての座席を優先席としていることから全車両が携帯電話電源オフ車両となっているほか、横浜新都市交通が2008年4月1日から編成中の偶数号車(2・4号車)を「優先車両」としたことから当該車両を携帯電話電源オフ車両としている。
なお、東京急行電鉄では2000年(平成12年)10月16日から携帯電話のマナー策定にあたって編成中の偶数号車(2・4・6・8・10号車)を携帯電話電源オフ車両としていたが、地下鉄との相互直通運転を行う路線があり、乗り入れ相手先で電源オフ車両を設定していないことから、2003年9月15日に首都圏鉄道各社局(横浜市営地下鉄を除く)の携帯電話マナーを京王電鉄で採用していた[11]現行の「優先席の周りは電源オフ」に統一した際に廃止された。
現在多くの地域の鉄道・バス事業者では前述のように携帯電話マナーを統一したため、多くが以下のようなほぼ統一された内容の放送で案内を行っている他、ポスターなどでも呼びかけている。現在のところ横浜市営地下鉄を除き携帯電話オフ車両の導入はない。
- 「車内での通話はお止めください。また優先席付近では、携帯電話の電源をお切り下さい。」
一方、前述の阪急電鉄(大阪市営地下鉄堺筋線を含む)では携帯電話のルールが違うため、以下のように案内される。
- 「車内での携帯電話のご使用はご遠慮下さい。また、三宮寄り(宝塚線は宝塚寄り・京都線は河原町寄り)の1両では電源をお切り下さい」
[編集] 歴史
- 1970年代前後 - 東京都交通局が優先席を日本で初めて設置。
- 1973年(昭和48年)9月15日 - 国鉄中央線快速の快速、特別快速にシルバーシートが設置された(9月15日は敬老の日)。
- 1980年代前後 - 京阪宇治交通が全席優先席を実施。[12]
- 1993年(平成5年)頃 - 京王帝都電鉄(現・京王電鉄)がシルバーシートを「優先席」に改称。
- 1997年(平成9年)5月 - JR東日本がシルバーシートを「優先席」に改称。その後、関東地方の大手私鉄も順次シルバーシートを「優先席」に改称。
- 1999年(平成11年)4月1日 - 阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄が「優先座席」の区分を廃止し、全席を優先座席に。
- 1999年(平成11年)8月1日 - JR西日本が「優先座席」に名称変更し、各車両に設置。
- 2003年(平成15年)9月15日 - 関東地方の鉄道事業者で優先席を1両あたり2か所に増設、優先席付近での携帯電話の電源オフなどの統一ルールを実施。ただし、京王電鉄と小田急電鉄は先行して実施していた。また、東京急行電鉄は携帯電話の電源オフのルールを上記の阪急電鉄と同様に車両ごと(東急では偶数号車が電源オフ)としていたが、この頃に優先席付近へと変更した。
- 2003年(平成15年)9月22日 - 京阪電気鉄道が首都圏以外では初めて上記の京王方式を採用。
- 2003年(平成15年)12月1日 - 横浜市営地下鉄がすべての座席を「優先座席」とし、全車両を携帯電話電源オフとした。
- 2004年(平成16年)2月16日 - 近畿地方の鉄道事業者でも優先座席付近では携帯電話の電源オフ統一ルール[13]を実施。ただし、京阪電気鉄道は先行して実施していた。
- なお、この頃から関東地方の主に以下のバス事業者でも優先席付近で携帯電話の電源をオフにするよう呼び掛けを始めている。
- 2005年(平成17年)2月3日 - 東海地方及び北海道地方及び四国地方及び九州地方の鉄道事業者でも統一ルールを実施。優先座席付近では携帯電話の電源オフ、それ以外の場所ではマナーモードに設定の上通話は自粛。ただし、九州旅客鉄道(JR九州)は先行して実施していた。(JR九州は2004年9月頃にシルバーシートを「優先席」に改称すると同時に実施)
- 2007年(平成19年)10月29日 - 阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄が「優先座席」を再設定。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 脚注
- ^ この布地以外では量が足りず、実施日に間に合わないという事情もあった。
- ^ 総務省:電波の医用機器への影響に関する調査結果 平成17年8月11日
- ^ 電波環境協議会:医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針
- ^ 総務省:電波の医療機器への影響に関する調査結果 平成18年5月30日
- ^ 心臓ペースメーカー 電磁波による影響
- ^ 埼京線・川越線用の205系も黄緑色から黄色に交換された。
- ^ 実際は南区からの要請であった。
- ^ 関連する外部リンク
- 横浜市:市長臨時記者会見質疑要旨(平成15年10月31日)
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2003/031031.html
- 横浜市:市長臨時記者会見質疑要旨(平成15年10月31日)
- ^ 関連する外部リンク
- 阪急電鉄・能勢電鉄ニュースリリース:2007年10月29日(月)より、『優先座席』を設定します。また、『携帯電話電源オフ車両』の設定車両を変更します。
http://holdings.hankyu-hanshin.co.jp/ir/data/ER200710171N2.pdf - 神戸電鉄ニュースリリース:「優先座席」を設定いたします
http://www.shintetsu.co.jp/release/2007/0710/priority_seat.html
- 阪急電鉄・能勢電鉄ニュースリリース:2007年10月29日(月)より、『優先座席』を設定します。また、『携帯電話電源オフ車両』の設定車両を変更します。
- ^ 堺筋線は阪急所有車両に限定されていた。
- ^ 統一以前より小田急電鉄も京王に追従して採用していた。
- ^ ただしこれが全席優先席の初の事例であるのかは特定できないため不明である。
- ^ 阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄および大阪市営地下鉄堺筋線を除く。




