取締役会
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取締役会(とりしまりやくかい)は、株式会社のうち取締役会設置会社における合議体の意思決定機関である。また、取締役らによって行われる会議それ自体をいう場合もある。しばしば役会(やくかい)と略される。旧商法の下では、株式会社に必置の機関(必要的機関)であったが、2006年(平成18年)5月施行の会社法によって取締役会を置かないことも可能となった。ただし、公開会社では設置が義務付けられている。なお発音上は「とりしまりやっかい」となる場合も多い。
以下では日本の取締役会制度を中心に記述する。取締役会の構成員である取締役については、取締役の項目を参照のこと。
- 会社法について以下では、条数のみ記載する。
目次 |
[編集] 日本の取締役会
取締役会が設置されている会社のことを取締役会設置会社という(2条7号)。取締役会は3名以上の取締役によって構成され(331条4号、362条1項)、通常そこでの決議は全会一致によってなされる(法律上は過半数で足りる、369条1項)。また、事実上会社経営の最高責任者となっている者(社長など)が取締役会の議長となることが多い。
具体的な権限や招集手続、決議要件などは362条~373条を参照。委員会設置会社の取締役会については、415条~417条。会社法上、取締役会は少なくとも3ヶ月に1回は開催しなければならない(363条2項)。
監査役設置会社においては監査役が、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない(383条)。
なお、委員会設置会社における取締役会と取締役は職務内容や責任、任期等が異なるため、以下は通常の株式会社における取締役会を念頭に記述する。
[編集] 沿革
日本の取締役会は昭和25年の商法改正によって授権資本制度とともにアメリカの会社におけるBoard of Directors制度を導入したものである。この改正がなされる前は取締役自体が会社の必要的機関とされていたが、改正後は取締役会が必要的機関とされ、取締役はその構成員となった。
その後、2005年(平成17年)に成立した会社法(2006年5月施行)において、取締役は必要的機関とされ、取締役会は任意設置機関となった(326条2項、設置義務があるケースにつき、327条1項)。
取締役会等の設置義務等(327条)
特例有限会社では、取締役会は設置できない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第17条)。
[編集] 職務
取締役会の職務は会社経営における業務意思決定および取締役(代表取締役を含む)の業務監査、それと代表取締役の選定・解職である(362条3項)。 それぞれ具体的に法定されており、それ以外でも重要な業務執行については取締役会が決するとされている(362条4項)。
具体的には、以下のような事項が取締役会の決議によることとされている。
- 譲渡制限株式の譲渡の承認及び指定買取人の指定(139条1項、140条5項)
- 自己株式の取得価格等の決定(157条)
- 子会社からの自己株式の取得の決定(163条)
- 取得条項付株式の取得の決定(168条1項、169条2項)
- 自己株式の消却(178条)
- 株式分割(183条2項)
- 株式無償割当てに関する事項の決定(186条)
- 単元株式数についての定款変更(195条1項)
- 所在不明株主の株式の競売もしくは売却または買取(197条)
- 公開会社における新株発行とその内容の決定(201条、202条)
- 譲渡制限株式の割当てを受ける者の決定(204条)
- 一株に満たない端数の買取り(234条5項)
- 公開会社における新株予約権の発行とその内容の決定(240条、241条)
- 譲渡制限株式を目的とする募集新株予約権または譲渡制限新株予約権の割当てを受ける者の決定(243条)
- 譲渡制限新株予約権の譲渡の承認(265条1項)
- 取得条項付新株予約権の取得の決定(273条1項、274条2項)
- 新株予約権の消却(276条)
- 新株予約権無償割当てに関する事項の決定(278条)
- 株主総会の招集(298条4項)
- 訴訟における代表者の選任(353条、364条)
- 取締役による競業取引および利益相反取引の承認(356条、365条1項)
- 業務執行の決定(362条2項1号)
- 取締役の職務の執行の監督(362条2項2号)
- 代表取締役の選任及び解職(362条2項3号)
- 重要な財産の処分及び譲受け(362条4項1号)
- 多額の借財(362条4項2号)
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任(362条4項3号)
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止(362条4項4号)
- 募集社債発行の決定(362条4項5号)
- 業務の適正を確保するための体制の整備(362条4項6号)
- 取締役の任務懈怠責任の免除の承認(362条4項7号)
- 業務執行取締役の選任(363条1項2号)
- 取締役会を招集する取締役の決定(366条1項ただし書)
- 特別取締役の設置(373条1項)
- 計算書類の承認(436条3項)
- 臨時計算書類の承認(441条3項)
- 連結計算書類の承認(444条5項)
- 一定の場合における資本金・準備金の減少(447条3項、448条3項)
- 中間配当の決定(454条5項)
[編集] 招集
- 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、招集権者を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。この場合、招集権者以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる(366条)。
- 招集する者は一週間を下回る期間を定款で定めた場合以外は、取締役会の日の一週間前までに、各取締役及び監査役設置会社にあっては、監査役に対してその通知を発しなければならない(368条1項)。
- 取締役会は、取締役及び監査役設置会社にあっては、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる(368条2項)。
- 監査役は、必要があると認めるときは、取締役に対し、取締役会の招集を請求することができ、招集の通知が発せられない場合は、取締役会を招集することができる(383条)。
[編集] 決議
- 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行うのが原則であるが、定款でこれを上回る割合を定めることができる(369条1項)。
- ただし、決議について特別の利害関係を有する取締役は取締役会の決議に参加できない(369条2項)。
- 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない(369条3項)。
- 取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる(370条)。
[編集] 議事録
- 取締役会の議事について、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない(369条3項)。
- 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、閲覧又は謄写の請求をすることができるが、監査役設置会社又は委員会設置会社においては裁判所の許可を得て出来る(371条2項)。
- 債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、閲覧又は謄写の請求をすることができる(371条4項)。
- 親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、、裁判所の許可を得て、閲覧又は謄写の請求することができる(371条5項)。
[編集] 形骸化の問題
取締役会は小規模会社と大規模会社の両方において形骸化が激しいといわれる。
- 小規模会社における問題
取締役会を設置しておくためには、取締役が最低3名必要となるため、小規模会社においては代表取締役(社長)が経営を独占し、他の取締役は家族親戚等から名目的に選ばれたのみで監督責任などは全く機能しないというケースが多い。しかも、そういった小規模な会社が日本の株式会社のほとんどを占めていることが問題となっている。会社法が施行された現在では、取締役会を廃止することで、名目的な取締役を置かないことも可能となった。
- 大規模会社における問題
一方、大規模な会社においても異なった意味で取締役会の形骸化が生じている。本来の取締役の必要性とは関係なく、内部昇進者の(年功的)処遇方法の一つとして取締役に選任するということが普通に行われてきたため、取締役会が大きくなりすぎ機動的な意思決定ができない、あるいは経営のチェック機能が働かないといわれる。具体的には、株主の利害代弁者としての意識よりも仲間意識、経営トップ(社長)に対する部下意識が強いために「なあなあ」でことが済まされるといわれる。
このため、1997年(平成9年)のソニー以降、意思決定の機動性を高めるために執行役員制度を導入して取締役会の規模縮小を行う、あるいは社外取締役を加える大企業が大幅に増えた(会社法においては、第2条15号において社外取締役の定義が明確化された)。従来の取締役の数を削減する代わりの処遇方法として執行役員を置くこともあれば、むしろ業務執行取締役や執行役員に業務執行を委ね、取締役会は経営のチェックに専念することで経営の機動性を高めるケースもある。また、従来から常務会または経営戦略会議といった会議体を設けて少数の業務に精通した取締役によって日常業務を処理し、重大案件については取締役会全体で承認を受けるといった形を採ることもあった。
これらの制度は法的な裏付けがないためにその権限が曖昧になることも多かった。そこで法は業務執行取締役(363条1項2号)や特別取締役(373条)、さらには委員会設置会社・執行役という制度を設けている。なお、特別取締役は旧商法下では重要財産委員会として導入された制度を引き継いだものである。また、上場企業であっても実際にはほとんど取締役会(会議)が開かれていない事例が最近明るみにでた。
[編集] アメリカの取締役会
アメリカの株式会社はdirector(取締役)によって組織されるBoard of Directors(取締役会)が株主の代表として経営する。しかし、日常業務はOfficer(執行役員)が取り仕切る。Officerはその与えられた役割に応じてChief Executive Officer(最高経営責任者 C.E.O.)やChief Financial Officer(CFO、最高財務責任者)、Chief Operating Officer(COO、最高執行責任者)、Chief Information Officer(CIO、最高情報責任者)、Chief Technical Officer(CTO、最高技術責任者)、Chief Editorial Officer(CEO、最高編集責任者)などの肩書が与えられる。オーナー会社の場合はCEOがPresident(取締役会議長)を兼ねる場合が多いが、普通の上場株式会社においては会社の私物化を防ぐ目的で、CEOが取締役会議長(Chairman of the Board of Directors)を兼任することは本来望ましくないとされているが、実際には少なからぬ上場有名企業でChairmanとCEOの兼任が見られる。また取締役会の過半数はOutside Director(社外取締役)である。イギリスでは経営責任者と取締役会議長は別人であること、取締役会の過半数はOutside Director(社外取締役)であることが法律で義務付けられている。
一般に、CxO(最高**責任者)職が置かれている場合はPresident職はない。
以上がアメリカにおける株式会社の最大公約数的な組織であるが、設置が必要とされる機関や組織構造は州法または証券取引所規則等によって規定されるため、一様ではない。なお、取締役が集まる会議そのもののことはDirectors Meetingといい、そこでの議事進行役をChairman of the Boardという。
[編集] ドイツの取締役会
ドイツの株式会社におけるVorstandは、日本語では取締役会と訳されるものの、日本のそれとはかなり異なった存在である。彼らは株主と労働者の双方の代表者からなるAufsichtsrat(監査役会、と訳されるがやはり日本の監査役とは全く異なる)によって任免・監督される。彼らの任務は業務の執行であり、むしろ執行役会に近い。監査役との兼任は認められない。この制度は普通ドイツ商法典(1861年制定)によって導入され、1870年に株式会社の必要的機関構成とされた。しかしドイツでは、上記のような経営適性化のための組織構造を強要される株式会社形態を敬遠して、GmbH(Gesellschaft mit beschränkter Haftungの略でゲー・エム・べー・ハーと読む。日本の旧有限会社相当)が多く用いられる。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年8月27日 (木) 14:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【取締役会】変更履歴

