四輪操舵
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四輪操舵 (よんりんそうだ・4WS〈4WheelSteering〉)とは、自動車の操舵方法の一種。四輪自動車の全車輪に対して能動的に舵角を与えることにより、方向転換時の安定性を向上させる方法である。
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[編集] 概要
一般的な自動車では、ハンドル操作によって前輪に舵角を与えて方向転換を行うのが一般的である。この際、後輪は進行方向を向いたままであるため、大きな内輪差や横滑りなどの問題がある。四輪操舵方式ではハンドルによる操舵情報を後輪に対しても与えることにより、方向転換時のこうした問題を解消することを目的としている。
[編集] 採用
1971年から1972年にかけて、アポロ計画のJミッションで使われた月面車に採用された。 一方の系統が故障した場合でも、もう一方系統で操舵できるように冗長性をもたせるためのものであった。→フォールトトレラント設計
2008年4月現在においては、大型のバス・トラック・特殊車両で採用されているが、新たに製造される乗用車においては日産・スカイライン、日産・フーガのみが採用している。また、F1など一部のモータースポーツ種目においては、四輪操舵装置が規定で禁止されているものもある。F1では1993年のベネトンB193Bで採用されていた。
1980年代終盤、日本の国産乗用車においては四輪操舵を採用した車種がいくつか発売されたが、雑誌などのメディアが強く注目したものの販売は伸び悩み、それらの次期モデルからは次にあげる理由にて四輪操舵の採用が減少していった。その理由のひとつは、機構の複雑化・重量増加と新規技術ゆえの価格上昇である。もうひとつの理由は、自ら運転免許を取得して運転するようになる前から誰もが二輪操舵の挙動に慣れきっているため、四輪操舵がもたらす「理想的な」挙動に対して違和感を覚えてしまい、その良さが「クセの強さ」と認識されてしまったことである。具体的には、右左折時に運転者の予想よりも車体後部が外側に振り出すことや、車庫入れ後退時に狙った通りに車が動かないと感じることなどが挙げられる。
さらにはチューニングカーの世界においては重量や挙動に対する不満から4WSを取り外してしまうケースも珍しくない。(主に日産車向けに、「ハイキャスキャンセラー」なるパーツも発売されている。)
このことは、技術的に優れているものが必ずしも普及には直結しないという、技術面とマーケティング面の不一致を明示する事例として記憶されるようになった。
[編集] 制御方式
四輪操舵は、機械式と電気制御式に大別される。
- 機械式
- ステアリングと前後輪とをギアやシャフトなどの機構で接続し制御するもので、ホンダが1987年にプレリュードに搭載した。ステアリングの切れ角に応じて、後輪があらかじめ機構にプリセットされた切れ角(同位相・逆位相両方)で切れる。電気制御が介入しないため信頼性が高い。
- 電気制御式
- ステアリングの切れ角に応じて、後輪を電気制御されたアクチュエータで動かすもので、代表例は日産HICAS/HICAS-II/SuperHICAS。1985年~1988年に採用されたHICASは油圧による後輪の同位相制御のみを行っていたが、1989年5月発表のスカイライン(R32型系)に採用されたSuperHICASからは逆位相制御が組み込まれ、ステアリングの切り始めの一瞬のみ逆位相になりヨーモーメントを発生させたのち、同位相制御へと移行する機構を持っている。機械式と比べ、比較的容易にその動作を殺すことができた。
- その他
- 乗用車において「ナチュラル4WS」と呼称されたものがある。能動的に後輪角度を制御するものではなく、受動的に後輪角度を変化させるものであり、リアサスペンションに装備されたゴムブッシュが旋回角度に応じて撓む事で後輪のトーが逆位相方向に変化し、旋回半径が小さくなる機構である。いすゞがニシボリック・サスペンションとして3代目ジェミニに搭載した他、マツダがRX-7やユーノス・ロードスターなどに「トーコントロールシステム」として採用していた。簡単な構造で4WS機構を作る事が出来る反面、高度な制御を行う事は全く不可能であった。また、ゴムブッシュの経年劣化により動作が変動していく点も弱点であった。ナチュラル4WSは撓みを発生させるゴムブッシュを硬質な物質で作られたブッシュに交換する事で動作を止める事が出来る為、サーキット走行などにおいては「トーコンキャンセラー」「ニシボリ殺し」などといったパーツで機構をキャンセルする事が一般的であった。なお、マツダは現在でもRX-8や現行ロードスターにトーコントロールシステムを採用し続けているが、かつて程大々的に宣伝する事は無くなっている。
[編集] 同位相と逆位相
四輪操舵は、同位相方式と逆位相方式に大別される。
- 同位相方式
- 舵角を前輪と同じ方向にする方式。車体の向きを変えずに車線変更等が可能になるため、特に高速走行時の安定性が高まる。
- 逆位相方式
- 舵角を前輪と逆の方向にする方式。回転半径を小さくすることが可能になる。ただし、後輪の軌跡が外側に膨らむデメリットがある。
乗用車では、走行速度やハンドルの操舵角度により同位相と逆位相を連続的に制御しているものが多い。
大型・特殊車両(消防車やラフテレーンクレーンなど)では、特に内輪差の低減と小回り性能の向上を目的として、逆位相方式の四輪操舵機能が採用される。また、2階建てバスや三軸観光バスでは後後軸の逆位相方式のセルフステア機能がある。全長15メートルの2階建てバスメガライナーは四軸中、三軸の操舵が行われている。
[編集] 量産乗用車への採用例
- ホンダ・プレリュード(3代目~5代目)
- ホンダ・アコード(4代目)/アスコット(初代)/アスコットイノーバ
- トヨタ・セリカ/カリーナED/コロナEXiV/カレン
- トヨタ・カムリ/ビスタ
- トヨタ・ライトエーストラック(1991年10月-1999年6月までの3代目モデル)
- 日産・フェアレディZ
- 日産・スカイライン
- 日産・フーガ
- 三菱・ギャラン/エテルナ
- 三菱・GTO
- 三菱・ディアマンテ/シグマ
- マツダ・RX-7(FC3S/FD3S)
- マツダ・RX-8
- マツダ・ロードスター(NA/NB/NC各型)
- マツダ・カペラ/フォード・テルスター
- マツダ・センティア/アンフィニMS-9
- ユーノス・800/マツダ・ミレーニア
- スバル・アルシオーネSVX
- ダイハツ・ミラ
- いすゞ・ジェミニ
- いすゞ・ピアッツァ
[編集] 関連項目
- HICAS
- 4輪アクティブステア
- ニシボリック・サスペンション
- en:Quadrasteer:GMの四輪操舵システム
- 高機動車
最終更新 2009年8月22日 (土) 03:35 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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