左利き

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左利き(ひだりきき)とは、一般的に人間の手の内の利き手が左であること、またはそのような人のことを指す。ただし広義には手だけでなく腕、脚、目、耳のいずれかが左優位の場合にも用いられる。

目次

[編集] 概要

左利きの人は一般的に右手に比べてより左手を多く使う。例えば、文字を書く、料理をする、を使うなどである。左利きの人々は多くの動作で左手を使うことを好む。左利きは全ての動作を左手で行うと思われがちだが、実際には完全な左利きは少ない。文字を書く、を使うのは右だがボールを投げたりするのは左を使うなど動作によって使う手が決まっている場合もある。また特にどちらの手と決まっていない動作も多い。文字を書く手が利き手とされることが多いが、これは必ずしも利き手の判断基準にはならない。文字を書く、箸を使うのが右手で、それ以外全て左ならその人物は左利きであると言える。

インドイスラム諸国では排泄行為後は(トイレットペーパーで拭くのではなく)手桶の水を流しながら左手で肛門周囲の汚れを洗い落とすのが習慣だったため、今日ではトイレ備え付けのシャワーホースを使って肛門周囲を水洗浄することが通常になったとはいえ、かつての習慣から左手は衛生面で不潔(不浄)な手とされており、食事の際には左手を隠し、右手でつかんで食べる文化がある。公の食事の席では左手を出すのは無礼な行為であるとされている。ただしインドやイスラムでも左利きの人はいる。この場合食事は右でその他の動作は左で行う(ただしインドでこの食事文化が厳格なのは右手の指先だけで食べる習慣があるインド南部であり、インド北部ではほとんど意識されていない)。

左利きの人を指す言葉として「サウスポー」などがある。サウスポーは、1892年にシカゴヘラルド紙の記者の作った造語である。野球の本塁が北西にあるのが原則であるため、左投げ投手の手(ポー:paw)は南(サウス:South)からくり出されることから名づけられた。広辞苑では「アメリカ南部出身の大リーグ所属投手に左利きが多かったことから」としている(これらの説には異論もある)。

[編集] なぜ左利きは少数なのか

1977年の統計では成人人口の8%から15%が左利きである[1]。また、わずかながら女性よりも男性の方が左利きが多いという統計結果も存在する[2]。この割合は古今東西を問わずほぼ一定である。古代の壁画や石像を見ても右利きの方が圧倒的に多かった。そのため左利きが生まれるのは文化教育食事など後天的要因によるものではないことが分かっている。しかし、なぜ左利きが少数なのか、なぜ10%前後で変動がないのかについては未だにはっきりとした理由が分かっていない。一卵性双生児には特に左利きが多く、その頻出は一卵性双生児の76%に及ぶ。

以下に左利きが発生する要因についてよく語られている意見を列挙する。正しい説を列挙したわけではないので注意。

[編集] 自然選択説

心臓は左半身にあり、右利きの戦士は右手にを左手にを持って戦う、左利きの戦士は左手に剣を持ち右手に盾を持って戦う。この結果左利きの戦士の方が心臓を危険にさらし致命傷を負う確率が高くなる。従って右利きの人間が多く生き残るという自然選択説による説である。

これは非常によく言われる説であるが、かなり疑わしいとされている。まず、心臓の位置が左半身という前提になっているが、心臓は身体のほぼ中央にある。よって、盾を持つ手で影響が出るとは考えにくい。また、利き腕が遺伝することを前提としているが、利き腕は遺伝しないことが分かっている(後述)。さらには、盾を使ったとされる年代や地域は限定される。や両手剣を使い、盾を使わない文化圏でも左利きが出ることや盾が存在しない石器時代から左利きが少数であること、盾が廃れた近代になっても左利きが増えないことなどを説明しきれていない。

[編集] 突然変異説

DNAや染色体異常などの突然変異により左利きが生まれるとする説。しかし、右利きと左利きでDNAや染色体に変化がないことは証明されている。学術的な説ではなく民間で生まれた都市伝説に近い。だが科学知識のない時代にはかなり信じる人も多く左手に対するマイナスイメージを生むことになった。

[編集] 種の自己防衛説

生物は多様化することによって未知の伝染病や急激な環境変化に遭遇しても全滅することを防ごうとする。左利きが生まれるのもこの多様化の一種であるとする説。しかし、利き腕の差がその意味で効果があるかと言えばかなり疑わしいと言わざるを得ない。

[編集] 脳の半球説

言語と手仕事の両面において、より良い運動神経を必要とする場合、の片側の半球で両方の判断をした方が、左右両方のを使うよりも効率的であるという理論である。脳の左側は言語を制御しているので、脳の左側が制御する右半身の方が発達する、左利きの人は逆になっている。他の霊長類は人間のような話し言葉を使うものは無い。他の霊長類には利き腕の偏りが見られない。このようにこの理論では予測する。この理論にも反論があり、90%前後の右利きの人は言語を制御するのに脳の左半球を使っているが、左利きの人は左半球の場合と右半球の場合があり可変であるという主張である(詳細については脳機能局在論参照)。

右利きの脳と左利きの脳の基本的な違いを脳スキャンで確認するいくつかの研究が行われた。通常、脳の特定部位が各作業に使われている状態で、右利きの人の脳は非常に集中される。この集中化は左利きの脳では一般的に無い。左利きの人が脳卒中の発作に見舞われた場合、右利きの脳卒中患者よりも復帰が早い。これにより左利きの人の脳は、脳の各所に機能を分散する度合いが高く、集中させる度合いが低いとされる。

利き腕と脳についてよく言われる説で右利きは理論に優れ、左利きは芸術など感性に優れると言うことがあるがこれは間違いである。確かに人間の左脳は言語野など理論的なものがあり、右脳には感性を司る部位がある。そして、利き腕と脳はクロスした繋がりが太いことも確かである。しかし、腕の動きが活発であるかどうかと脳の活動はほとんど関係がない。

[編集] 遺伝によるとする説

イギリス王室の王族の多くは左利きである。女王エリザベス2世をはじめ、チャールズ皇太子ウィリアム王子も左利きである。そのため利き手が遺伝する説の説明によく用いられる。しかし、統計としては分母が少なすぎて参考にならない。また利き手の決定は後天的な環境も少なからず影響してくる。子供は親を真似るので親が左利きならそれを真似た結果無意識に右から左への矯正が起きているのかもしれない。その意味では左利きは後天的に遺伝しやすいとも言える。しかし左利き遺伝子のようなものは存在しない。

[編集] 矯正されたためとする説

左利きの多くは親などの周りの大人に右利きに矯正されることが多い為、本来は左利きだった人でも現在は右利きのことがある。 ただし下記にある通り左利きから右利きへの矯正は過度なストレスをかける為、吃音などになってしまうことがある。[3]

[編集] 利き手は子宮の中で決まるという説

2004年、英ベルファストのクイーンズ大学ピーター・ホッパー博士によって行われた研究によると、人間が右利きになるか左利きになるかは妊娠10週間目の頃に決定しているという新発見がなされたとのこと。 今回の研究に当たって妊娠中の女性1000人に超音波走査を実施した結果、例えば10週間目から12週間目の頃に胎児が右手の親指を左手よりもより頻繁に吸っていた場合、子供はほぼ確実に右利きとして生まれてくるという関係性が明らかになったと話している。 これまで一般に信じられている説では、子供が3歳から4歳の頃に利き手が決定されるものであるとされていたが、今回の博士らの報告が事実であった場合、それらの学説を大きく覆すものとなる。 また博士らはそれ以外にも10週間目の頃の胎内での手の動きと利き手の関連性についてのいくつかの発見があったとしているが、現在のところ胎内において脳が手に対してそれらの命令を出しているという証拠はなく、また脳の命令よりは脊髄反射によるものである可能性が高いと話している。[4]

[編集] 右利きへの『矯正』の是非

大人になるほど利き手の変更は困難を極めることになる。そのため、日本を初めとする世界の多くの国で、幼少時に周囲の人物が『矯正』という名目で箸や鉛筆の『利き手の変更』を行わせようとすることが多い。

しかしこの変更は本人が望んだものではなく親の勝手な押しつけであること、うまく腕を動かせないストレスに加え、親が激しく叱ることが多いため悪影響が大きい。

洋の東西を問わず、かつては左利きを身体障害者と考える人・地域は多く、さらには知的障害の一種のように扱う人もいた。そのため利き手の変更はかなり高い比率でかなり厳しく、時には厳しい体罰を伴ってでも強制されていた。近年になって左利きは障害者ではないことが広く知れ渡ると共に、利き腕も個性のひとつとして考えられるようになったため、利き手を変更する親の割合は減ってきたが、後述の筆記上の不便さから学校受験などで不利になると考え、また単に生活上の不便(後述)を考えて矯正を強制する親が多々見られる。過去においては変更が盛んに行われたため、本来左利きであるのに右利きの生活をさせられた者も多い。イギリス国王ジョージ6世は幼少期から少年時代に、父ジョージ5世により左手に長いひもを結び付けられ、左手を使った時には父から乱暴に引っ張られ、この虐待によりジョージ6世は重度の吃音になってしまった。また水森亜土王貞治ルイス・キャロルネルソン・ロックフェラーウィンストン・チャーチルも左利きであったが、同様もしくは類似の虐待を受け、水森とキャロルに至っては前述のジョージ6世と同様、吃音に悩まされることとなってしまい、チャーチルも生涯後遺症に苦しめられた。

日本においても未だに強制的な利き手の「矯正」のもたらす悪影響が認知されていないことと、左利きに対する偏見を持つ者がいまだ多いため、強引な変更が行われることがある。さらに悪いケースでは、無理な矯正のストレスが原因で吃音になってしまっても、その原因が無理な矯正にあることを理解できずに、吃音への偏見を嫌がってさらに根性論を振りかざして子供の吃音を矯正しようとする親も存在し、いたずらに症状を悪化させ、子供を苦しめることもある。一部には我が子をクリエイティブな能力のある子供に育てようと、右利きの子供を左利きにしようとする変更の例もあるが、同様に悪影響があるため全く薦められない。


また、左利きを「矯正」しようとするのは親や祖父母といった肉親だけではない。教育関係者の中にも「左利きの児童の利き手矯正ができる教師である」ことが教育者としての自身の実績や高評価(これは同僚や上司からの評価も含まれる)に繋がると考えている者がいまだに存在しており、実際、幼稚園小学校の教諭などが保護者の意向なども無視して左利きの子供に無理矢理かつ強引に矯正を行おうとすることは、現在でも幾らでも見られるものである。当然ながら子供は担任教諭を選ぶことはできないわけで、これらによるストレスから教師との関係が悪化するのみならず、最悪の場合には登校拒否非行いじめ(これには教師からのいじめも含まれる)などの要因ともなり得る。

そもそも根本的な問題として、小さいときなら利き腕の変更が容易と言うが科学的に検証されている説ではない。これは幼少時はまだ利き腕が定まっていないとの前提であるが、変更しようとする=既に左を多用しているわけで、この段階で利き手は明確に定まっている。利き手は箸や筆の持ち方とは全く異なることを理解しなければならない。幼少期の変更が多いのは適切な時期だからではなく、親の影響力が強い時期であるからにすぎない。また大人になると変更が不可能になるということもない。大人になってから変更した例は多数ある。時期を問わず変更は可能である。ただし、前述の通り変更には諸々の悪影響が出るとされるため、事故によって負傷し利き手に重い後遺症が残ったなど、よほどにやむを得ない事情が発生しない限りは全く勧められるものではない。

[編集] 左利きの不便

世の中の構造物(機械やコントローラなど)は、利き手が右でなおかつ指が5本ある人間が利用することを前提に設計されているものが多い。このことは左利きにとって不便なだけでなく、危険性が高い場合がある。

  • 機械の操作ボタンの多くは右側に配置されている。
    • エレベーターのボタン、パソコンテンキーやエンターキー、カメラシャッターボタンなど、ほとんどのものが右利きを前提にしている。
    • 自動販売機は硬貨投入口が右側にある(右手で投入しやすい)。
    • テレビ受像機の主電源スイッチや、ノートパソコンマウスの差し込み口(USBジャック)が右側についているものがやや多い。
    • マウスでの操作を説明する際、右利き用に設定されていることを暗黙の前提としており、メインでクリックする方を左のボタンとしており、コンテキストメニューを開く際のボタンを右クリックと呼んでいる。
    • 電話機の受話器は左手で持つように配置・配線がなされている。この方が右手でダイアル・またはプッシュボタンを操作したり、メモを取ったりしやすいため。
  • 日本の自動改札機は右側に投入口がある。
  • 机に引き出しが付く場合はおおむね右側にある(最近の学習机では、引き出し部分が机の左右どちらにも置けるよう配慮されている)。
  • 公衆電話ボックスの折れ戸式の扉は、左手では非常に開けにくい構造になっている。
    • 特殊な例として、電子レンジコインロッカーの扉は前面右側にあるボタンを右手で操作し左手で空けるため、左開きである(右手を先に出すことになる)。
  • 文字の留め・跳ねなどは右手で描くことを前提としている。
    • 文字の多くは右肩あがりの字体だが、これは左手で書くには非常に困難である。これは習字や英語の筆記体で、特に顕著である。そのため鏡文字を書く左利きもいる。
    • 横書きなど左から右へ文字を書く場合、前に書いた文字に左手が接し乾いていないインクが伸びてしまうことがある。逆に縦書きではその心配はない。
    • 万年筆や水性ボールペンなどは左手で使うとインクがかすれてしまう。
      • 以上の点から、左手で文字を書く人には悪筆が多いと言われる(無論、達筆な者もいる)。文字の筆記だけは右手に矯正する左利きの人も多い。
  • はさみのかみ合わせは、右利き用になっており、左利きの場合は扱いづらくなっている。これを受けて、近年では左利き用や両利き用のはさみも販売されている。
  • 日本刀かみそり包丁などの刃の付き方も右利き用である。日本刀は左側に下げ、右手で鯉口を切るが、左利きの場合、うまく鞘から刀を抜くのに失敗することが多い。
  • ボール盤の卓上のものはドリルを下におろすハンドルが右側に付いており、左手での操作は非常に困難である。
  • 電動丸ノコではモーターの右側に刃があり、右利きが操作する場合は自身の体と刃の間にモーターが存在するが、左利きが操作する場合は刃が体に接近しており、危険性が高い。
  • そろばんは基本的に右手でそろばんを弾く、文字を書くことを前提で作られている。大抵のそろばん塾では左利きでも右利きの者同様の指導を受け、文字を書く手を右手に矯正されることもある。ただ、これは「豆粒にも似た小さな珠を、指先で細かく動かす動作」に有利なのは当然利き手であり、その多数派が右手である…という理由に過ぎない。職業的に計算業務を行う者、特に銀行員は必須スキルとして、そろばんの時代から卓上計算機は筆記具と同時使用できなければ仕事にならないゆえ、むしろ左手で弾く(キーを叩く)訓練を就職後直ちに行うのが常である。
  • 急須は持ち手の左側に注ぎ口があるが、左手だと外側に傾けないと注げない。一応、左利き用も存在する。
  • ファミリーレストランに置いてあるスープ用おたまは右利き用なので、左利きの場合非常に注ぎにくい。
  • 定規の目盛りの多くは左から右に向って振られている。この方が右手で線を引くのに都合がよいため。
  • テストやアンケートなどはたいていが横書き(問題が左、回答欄が右)になっている。
    • 右利きの場合問題を見ながら書き込むことが出来るが、左利きだと問題文が自分の手で隠れてしまうためいちいち手を浮かせて確認しなければならない。
    • 逆に縦書き(問題が右、回答欄が左)の時は、左利きなら問題を見ながら書き込むことが出来る。しかし、一般的には横書きのケースが多いのでやはり不利である。
  • 缶詰を開ける為の缶切りも本来は右手で引く力を利用して開けるが、左手では押し込む形となり非常に開けにくい。
    • 近年ではプルトップ式が主流で、左利き用の缶切りを用意するケースも少なくなっている。
  • 日本食の正しい食器の並べ方は、はしの握る部分を右向きに置き、左側にご飯のお茶碗を置くようになっている。
  • 一般に左利き用の製品は、右利き用に対して生産数の少ないことから高価となるため、経済的負担を強いられる場合がある。
  • 上記の例としてギター、ゴルフクラブなどが挙げられる。これらを左利きで使う人は指導できる者や知り合いが少なく、また「(右利きの)人の物を借りて使えない」という事情から非常な不便を強いている。
  • マウスなど「人間工学」に基づいて設計され「手になじむ」と言われる製品群には右利き前提となっているものが多く、左利きには逆に使いにくい。
  • などは構造上、左利きに不向きだと言われる。理由はいくつかあるが、これは全て射手が右利きであることを前提にして設計しているからである。
    • まず挙げられるのが、多くのリボルバー拳銃ではシリンダーが左側に飛び出すということである。シリンダーは銃弾を装填する部分で、これが左側に出ると左利きでは非常に不便である。
    • ボルトアクション方式ライフルでは、銃の構え方に所以し、左利きでは排莢操作が行いにくい。
    • 自動火器などは、基本的に銃右側に排莢を行う構造になっている。拳銃の場合はさほど問題ではないが、自動小銃を使用する際、左手で銃把を握った場合は排莢口と顔が近くなるため、焼けた薬莢が顔にあたり怪我をする危険性がある。ブルパップ方式の小銃では排莢口が顔とほぼ同位置にくるためなお危険である。しかし、最近は、排莢口を左側に変更した「左利き用」の開発やFN P90のように排莢口を銃下部に設けるなどして、左利き射手にも対応している。


左利きの人は生活の多くの場面で右手を使わざるを得ないため、結果として右手もかなり使える両手使いになってくる。ただ、こうした不便からくるストレスや、器具の操作ミスによる事故を起こしやすいなどの理由から、左利きは右利きに比べて平均9年寿命が短いという説(スタンレー・コレンの報告)がある。しかし、今のところ科学的な精密調査による検証結果の事例は行われていない。

また、集団生活において、横に並んで食事をすると左利きと右利きの利き腕でぶつかるといった問題も少なからず挙げられる。建物設計でも座席同士の距離は、右利きの人が並んだことを想定している。これは古代・現代の軍隊でも顕著であり、主な例として古代ギリシアの槍部隊であるファランクスも全員右手に槍を持つことが前提となっている。左手で槍を持つことは許されない。現代の軍隊では、前述のように銃火器の構造上、左利きは不便だからである。日本の警察でも、警官の装備は拳銃が右・警棒が左の配置になっている。これは左利きであっても、変更は認められていない。

[編集] 左利きの便

世の中の構造物(機械やコントローラなど)の中には、歴史的経緯から多数派である右利きにとって不便で少数派である左利きにとって便利になっているものもある。

  • ビデオゲームのコントローラは、業務用ゲーム家庭用ゲームを問わず、方向キーあるいはジョイスティックを左手で操作するものが標準となっている。ゲームの種類にもよるが、多くの場合、複雑・微妙な操作を要求されるのは左手のほうである。ゲームダコが左手指にできることが多いことも、ビデオゲームのコントローラが左手偏重であることを示している。これは、初期の業務用ゲームからの慣習である。横井軍平は、本来方向キーは右で操作するのが自然であると述べている[1]
  • 右手の場合は右回転のねじり、左手の場合は左回転のねじりの方が力が入りやすい。水道の蛇口や電球、機械類を組み立てるボルトなどは、右回転にねじると締まるようにできている。これらのネジは締め込むときには必要以上に締め込んで破損しないようにすることが大切なのに対して、緩めるときには時間の経過による固着もあって力任せにならざるを得ないことも多いので、緩めるときに力が入りやすいほうが合理的ある。したがって、これらのネジの回転方向は左利きにとって有利である。ただ、一般にもっとも力を使うことの多い瓶の蓋を開ける場合には両手を使うため関係がない。
  • コンピュータのキーボード配列として一般的なQWERTY配列は、左手の使用頻度のほうがわずかながら右手より多い。多数派である右利きに便利なように右手の使用頻度を高めたDVORAK配列もあるが、普及していない。

[編集] 左利きの寿命

統計によれば、高年齢層ほど左利きの割合が減少する。1991年に発表された論文[5]は、この統計は左利きの人は右利きの人に比べて9年も短命であることを示すものであると主張し、その原因は左利きの人は右利き中心の世界に適しておらず、この世界で遭遇する「苦難」のために事故で死亡することが多いためであろうと示唆している。しかしその後の多くの研究[6][7][8][9][10]により、右利きの人に比べて左利きの人が短命であるという証拠は全くないことが明らかになっている。

[編集] 左利きに対するバリアフリー

近年ではユニバーサルデザインの視点から、右利き左利きどちらでも快適に暮らせる社会にしようとの動きも出始めている。

例えば、大手民鉄、JRが導入しているバーレススタイルの自動改札は、左手で使う場面も考え、券投入口が左に5度向いている。 又、左右両開きの冷蔵庫も商品化されている。

左利きの者に特化した商品も多い。左利き用の鋏は多くの文具店にみられる。左利き用品の専門店も存在する。京セラが発売していたカメラ「サムライ」は右利き用と左利き用の両方を用意していた。またロジテックでは左利き用のマウスを販売している(ロジテック社CEOのゲリーノ・デルーカが左利きである。ちなみにマイクロソフトビル・ゲイツも左利きである)。アーミーナイフの一部にも左利き用モデルが存在する。百ます計算でも、左にあった数字が、右に来ている場合がある(これにより、左手に隠れてしまう数字が見えるようになり、やりやすくなる)。

拳銃にも左利き用リボルバーや、安全装置やマガジンキャッチボタンを左利き用に変更できる自動拳銃が市販されている。拳銃に限らず、銃は排莢方向が右(薬莢が右に飛び出す)だが、これを左手で使うと、右に飛び出した薬莢が目の前を通過していく為、照準が乱れる上に、姿勢によっては顔面に当たるため非常に危険である。M16シリーズでは、薬莢を前方に飛ばすために、A2から「ケース・ディフレクタ」という突起を排莢口後方に設けている。
殊に、銃の後方(肩付け射撃の際に、頬が当たることになる部分)に機関部があるブルパップ方式の銃がそうだ。なお、ブルパップ方式の銃の一部は、排莢口が左右に備えられており、これを塞ぐカバーパーツの付け替えにより、排莢方向を変えることが出来るものも存在する。また、近年では、FN P90のように真下に排莢したり、FN F2000のようにチューブで銃の前方に空薬莢を飛ばしたりするという設計のブルパップ銃も開発されている。
左利きに対するバリアフリーを抜きにしても、このような対応は必要なものである。なぜなら、遮蔽物の陰から撃つ、利き手を負傷したなどの理由で、利き手でない手で射撃を行うことは、軍隊や法執行機関では想定されうるためである。

[編集] スポーツ

サウスポー」も参照

スポーツにおいては競技上の優位性確保のため、あえて利き手でない腕を用いる場合がある。

野球ボクシング相撲柔道など直接人と勝負するスポーツや一対一で必ず対戦するようなスポーツにおいては左利きであることが有利に働く。右利きと左利きの人口比から左利きが右利きと対戦する機会が多いのに対して右利きは左利きと対戦する機会が少ないからである。右利きにとっては慣れないフォームの相手と戦う不利に加え、左利きが逆方向・逆回転の攻撃をしてくる。この為、多くのスポーツのトップクラスに左利きを利点として戦う選手を見ることが出来る。一般的にサッカーアイスホッケーなど、相手側と対象のコートで行う球技の場合、右側には右利きの選手、左側には左利きの選手を配置するのが有利であるとされる。

野球においては右投げの投手に対して左打ちは有利とされている。左利き打者の場合は大半が左打ちだが、左手(利き手)をスイングの引き手にすることでバットが振り抜きやすくなるという理由などで、左利き打者が右打ちに矯正することも極稀にある。一方、左投げでは守備位置の制限が大きく、ほぼ投手一塁手外野手に限られる。これは捕球を右手、送球を左手で行うと一塁方向への送球の際右投げよりタイムラグが発生してしまうことが理由である(逆に進塁方向への送球は右投げより早く行うことが出来るが、こちらの守備機会は少ない)。ただ投手の場合左投げ投手の人口が少ないため対戦経験を積むことが難しく、アマチュアでは一般的には投手有利とされ、プロでも左で速球を投げる投手は右より速く感じられるという。さらにセットポジションでマウンドに立つとそのまま一塁を見ることができるので、一塁ランナーの牽制もしやすい。また、この優位性が広く認識されている為、リトルリーグ中学校の野球部などでは、左利きという理由だけで投手にされてしまうことも珍しくなく、場合によっては左利きの生徒などに対して勧誘を行う指導者も見られる。逆に右バッターが多い為、送球に不利になるということで左利きの捕手は特に少なく、左利き用のキャッチャーミットは都市部でも取り寄せでなければ入手困難であることも珍しくはない。

逆に、左利きであっても左腕で投球をせず、右腕で投球する投手も存在している。東北楽天岩隈久志東京ヤクルト由規が左利きの右投げ投手として知られている。

相撲では、古くは江戸時代に無敵を誇った大関雷電大正後期の土俵を支配した横綱栃木山、昭和の大横綱として知られる双葉山、柏鵬時代を作った大鵬柏戸、平成に入っても朝青龍など左利きの横綱が知られる。ことに双葉山の場合、左利きであるにもかかわらずあえて右四つで相撲を取っていた。これは一見すれば相手有利であるが、実際には強烈な左上手の締めつけが多くの相手力士の利き手たる右下手を殺してしまうのである。この為、相手は組んだがいいが逆に何もできなくなって左上手投げを食らってしまうという、これが双葉山を最強たらしめた取り口であったとされる。

アイスホッケーにおいてはリンクがフェンスで囲まれていて左ポジションはフェンス際でのプレイにおいて右利きではスティックが内向きとなりフェンスに沿わせたパックの処理が難しくシュートを打つ体勢にも不利だが左利きは外向きとなり前述の点で有利であるためゴールキーパー以外は半数近くを左利きの選手で占めるチームも存在する。

ハンドボールにおいて、右45度、右サイドに左利きを置くことによって、プレーの幅が広がる。稀にセンターに左利きを置くこともある。

テニスのダブルスでは、ラケットを握る手が外側にくるように2人が立つ、すなわち、右利きの人が右側、左利きの人が左側に立つことによって、利き手が同じペアよりもカバーできる範囲が広がり有利である。

卓球のダブルスでは、ラケットを振る手が中央にくるように2人が立つ、すなわち、右利きの人が左側、左利きの人は右側に立つことによって、利き手が同じペアよりも動きやすく有利である。

競馬では、左にササる(ヨレる)癖がある馬などで、左手でムチが巧みに扱えその癖を抑えられるのではないかという期待から、左利きの騎手が起用されることがある。実例としては、1954年の第21回東京優駿(日本ダービー)で、左回りの東京競馬場では内(左側)にササる癖が出るゴールデンウエーブが、左利きの岩下密政を鞍上に迎えて、見事に優勝したことが知られている。

バレーボールでは、左利きの選手はセッター対角のポジションに置かれ、主にライトプレーヤーとして起用されることが多い。大林素子が得意としたコート右端から左端までのブロード(移動)攻撃は、右利きのプレイヤーが行う場合よりもさらに外側からスパイクを打つことが出来、「モトコスペシャル」と呼ばれた。また、セッターが左利きの場合、右利きには難しいとされるツーアタックを比較的容易にこなせるため、攻撃の幅が広がるといった利点がある。中田久美などが得意としていた。

[編集] 腕以外の左利き

単に左利きと言えば利き腕を指すことが多いが足、眼球、耳なども左右片方を重点的に使っている。サッカーなどでは左のポジションで左利きが非常に有利である。なお利き腕と利き足は必ずしも一致するわけではなく、利き腕は右手で利き足は左足の人も多数いる(例ではサッカーの中村俊輔、野球の岩村明憲など)。 利き目と利き腕が異なる者が銃を構える際、利き目でない目で照準を行うか、利き腕でない手で銃を持つこととなるため、そうでない者より難しくなる。拳銃ではこのような状態でも柔軟に対応可能だが、ブルース・ウィリスのように独特の構え方となる。

腕以外の左利きの不便も多々ある。

  • カメラのファインダーは本体の中央よりも左側にあり、右目で覗いている場合には左目の視界が開けているが、左目で覗くとカメラ本体が顔に被さって視界を遮られる。
  • ビデオカメラでファインダーが横に付いている形状の場合、ファインダーは本体の左側にあり右目で覗くようになっているため、左目で覗くことができない。
  • オートバイは右利きによる動作が前提の設計である。アクセル操作が右手である以外にも、大半の車種で左側から乗降車し、右足で操作しなければ駐輪用スタンドの上げ下ろしができない(スタンド右側には足を引っかける部分が無い)。

[編集] 「左利き」という言葉の表現の転用

酒飲みの人を「左利き」と呼ぶ。これは、石細工を行う職人では左手にのみを持つため「のみを使う手」=「呑み手」という言葉遊びからである。左党とも呼ばれるようになった。

また、建築家の左甚五郎は左利きであったことから命名されたという説もある。

スペインでは「左利きの人」と言うと、悪意から犯罪を犯した人や泥棒を示すことがある。

[編集] 出典

  1. ^ Hardyck, C., & Petrinovich, L. F. (1977). "Left-handedness," Psychological Bulletin, 84, 385–404.
  2. ^ 前原勝矢「『右利き・左利きの科学』利き手・利き足・利き眼・利き耳」 講談社 1989年
  3. ^ 『整形外科のお医者さんに聞きたい「痛み」の話』(p.20 青木治人監修 2005年)
  4. ^ http://x51.org/x/04/07/2252.php
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[編集] 関連項目

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最終更新 2009年11月15日 (日) 17:06 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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