心房細動
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| 心房細動 | |
| 分類及び外部参照情報 | |
心房細動が起きている間、P波は消失している |
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| ICD-10 | I48. |
|---|---|
| ICD-9 | 427.31 |
| DiseasesDB | 1065 |
| MedlinePlus | 000184 |
| eMedicine | med/184 emerg/46 |
| MeSH | D001281 |
心房細動(しんぼうさいどう、atrial fibrillation)は心房が細かく動く事。不整脈の一種。
目次 |
[編集] 病態
本症は心房が洞房結節(SA node)の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し、規則的な洞房結節の活動が伝わらず、心室の収縮が不規則な間隔で起こる状態。
Framingham studyによると、心房細動は発症直後は数ヶ月間の死亡率は高いが、その後、死亡率の傾きは洞調律の患者と変わらないとされている。このデータは診断時に心不全や脳梗塞の既往がある患者を含んでいるため、このデータはすべての心房細動の患者で急性期で予後が悪いという意味を示さない。心筋梗塞、脳梗塞の既往がなければまずは落ち着いて対処できる疾患であることを物語っている。心房細動の患者の長期予後は心房細動の病型などよりも心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症といったものに規定されている。生活習慣病のコントロールが不十分ならば、抗凝固療法などをおこなってもあまり生命予後は変わらないとされている。脳梗塞の予防という観点ではCHADS2スコアというものがよく知られている。CはCongestive Heart Failure(心不全)、HはHypertension、AはAdvanced Age>75(75歳以上の高齢者)、DはDiabetes Mellitus(糖尿病)、SはHistory of Stroke(脳梗塞、一過性脳虚血発作の既往)とされている。C,H,A,Dは該当すれば1点、Sは該当すれば2点でスコアリングする。2点以上ならば脳梗塞の予防となる治療が必要と考えられている(逆を言えば、若年者でリスクがない孤発性の心房細動ならば抗凝固療法は不要である)。但し前述の通り、収縮期血圧が140mmHgを超える、場合は抗凝固療法を行っても予後の改善効果は乏しいこと、また日本循環器学会のガイドラインと照合するとCHADS2で1点でも抗凝固療法の適応となることもあり異論も多い。初発の心房細動の場合は50%位の確率で生活習慣病の治療の過程で自然消失し、原因がアルコールによる脱水や睡眠不足、ストレスとなることも多い。あくまでも、治療の順序としては、まずは背景因子の治療、抗凝固療法、最後に心房細動自体の治療と考えるとわかりやすい。
[編集] 原因
心房細動を起こす基礎疾患には
等がある。
[編集] 症状
このために心室から送り出される血液の体積が減って心臓の効率が低下するだけでなく、心房の中の血液がよどみ、血栓ができやすくなる。心房細動は、めまいや動悸、疲れやすさだけでなく、脳梗塞(特に脳塞栓症)と心筋梗塞の原因となりがちである。老人に多い。
[編集] 検査
心電図検査では以下の所見が認められる。
- RR間隔の不整
- 心拍が周期性を失うのでRR間隔が不規則になる。
- P波消失
- 心房の活動が分散するため、心房の電位変化を示すP波が消失する。
- f波出現
- f波は基線の動揺の事。分散した心房の活動がf波として記録される。
[編集] 治療
本症の治療基準には
の3つがある。Affirm studyの結果、レートコントロールと抗凝固療法を行った場合とリズムコントロールを行った場合ではレートコントロールと抗凝固療法を行った場合の方が予後がよいことが明らかになった。症状がない心房細動の場合は、来院時の心電図検査とホルター心電図以外に心房細動があるのかを診断する方法がなく、治療が不完全になる可能性が高いということが示唆された。抗凝固療法ではなく抗血小板療法でもアスピリンを300mg程度の高用量で用いれば脳梗塞のリスクを20%ほど軽減できるという報告もあるが、日本循環器学会のガイドラインでは高齢者でも抗凝固療法施行推奨している。ワーファリンを適切にコントロールすれば最終的な予後が改善するが、ワーファリンの開始、維持は患者の治療に対する意欲がないと難しい。頻回の採血によるモニタリング、投与量の調節、納豆、クロレラの禁止、他の薬剤との相互作用、外科的処置を行う場合の休薬、不十分な管理での出血でのリスクを考慮すると治療の意欲が乏しい段階では実行は難しい。抗凝固療法は成功すれば約90%の脳梗塞防止効果があるがワーファリンの導入を急ぐあまり、他の生活習慣病の治療が不十分になると最終的予後は悪化するため難しいところである。
ワーファリンの導入は一日2mg(高齢者であれば1.5mg)位から行うのが無難とされている。2週間後のPT-INRで1.5mg未満であれば1mg増量、1.5~1.6の間であれば0.5mg増量し2週間後再検という操作を繰り返すことが多い。5mg以内で1.6~2.6のPT-INRで安定することが多い。その後はPT-INRが2.6以上ならば0.5mg減量、2回連続で1.6を下回れば0.5mg増量するといった微調整を行う。高齢者の場合、食欲不振などでコントロールが乱れることも多い。
[編集] 化学療法
発作時のレスキューや平常時のコントロールには対症療法として化学物質を用いた薬物療法を行う。まずはレートコントロールを行う目的でベラパミルやジギタリスを用いる。それで上手くいかなければリズムコントロールを行う目的でIa群の抗不整脈薬であるジソピラミドやプロカインアミドやキニジンを用いる。副作用が問題になることが多い。但しWPW症候群を合併している場合はベラパミルやジギタリスの使用は禁忌である。
- 迷走神経緊張型発作性心房細動に対しての治療
- ムスカリン受容体((M2))遮断作用を持つのはジソピラミドとシベンゾリンである。
[編集] 発作性心房細動(Paf)
定義上は治療しなくとも自然停止する心房細動である。疲労、ストレス、飲酒、脱水によって誘発されやすい。弁膜症や甲状腺機能亢進症といった基礎疾患に伴うものも多い。発作性心房細動の場合は患者が症状になれることが少なく、動悸を主訴に救急部に受診することも多い。発作性心房細動では頻脈ととなっていることが多いのでまずは心室レートのコントロールを行い、可能ならば洞調律化を目指す。血栓症の予防なども必要となるが、それらは循環器内科専門医のもとで行うべきである。f波がP波様にはっきりと確認できる場合は異所性興奮による期外収縮によるものであるため肺静脈離断のカテーテルアブレーションが効果的とされているが、ランダムリエントリーによるものも多い。行うべきことは器質性心疾患の確認、内分泌疾患の確認、心機能の評価とその他の不整脈の合併などである。これらの確認を行えば初期治療はある程度は行うことができる。
- 急性期治療
動悸などを主訴にERや一般内科に来院した場合である。真っ先に行うべきことは診断および、背景因子の確認である。心不全が認められればその治療を優先する。心電図で背景となる器質性心疾患が認められない場合はアミサリン®(100mg/1ml)400mgを生理食塩水で10mlとし1ml/minの速さで静注していく。頻回に血圧をモニタリングし400mg投与で血圧の低下が20mmHg以下で収縮期血圧が110mmHg以上であればさらに400mg同様の方法で静注する。これで効果が表れるのは30%1程度であるが、時間経過で発作が停止することも多い。そのご専門医の下で精査の後治療を行う。心エコーで問題がないとわかっている段階のlone afであればもちいることができる薬は増える。サンリズム®(50mg/A)100mg,タンボコール®(50mg/A)100mg,リスモダンP®(50mg/A)100mg,シベノール®140mg(70mg/A)あたりまで投与できる。いずれも生理食塩水か5%ブドウ糖液で10mlにて希釈し5分以上かけて投与する。また経口摂取可能であればサンリズム®100~150mgの単回投与を行うという方法もある。症状が落ち着けば、専門外来にて治療計画を立てることができる。
- 慢性期治療
発作性心房細動の慢性期治療の目的は多数ある。基礎疾患の確認、洞調律の維持、血栓症の予防などがあげられる。以下に発作の減少をさせる薬を纏める。
| 抗不整脈薬 | 説明 |
|---|---|
| Ⅰa群 | 心機能に問題がないことが確認できていればリスモダン®、確認が不十分であればアミサリン®がよく用いられる。 |
| Ⅰb群 | アスペノン®が心房細動に効果がある。Ⅰc群に比較して効果が劣るとされているが多剤無効例では効果があることがある。 |
| Ⅰc群 | 心臓超音波検査による器質性心疾患の除外と心機能低下の除外が投与に必須となる。タンボコール®、サンリズム®、プロノン®は心房細動の発作と停止と予防に優れた効果がある。 |
| Ⅱ群 | ベータブロッカーは発作の停止効果はないがレートコントロールに用いることがある。その他ワソラン®、ジゴキシン®もレートコントロールに用いる。 |
| Ⅲ群 | 血行動態の破綻を招く閉塞型肥大型心筋症にのみアンカロン®が適応がある。 |
| Ⅳ群 | 慢性心房細動にはワソラン®なども用いられるが発作性心房細動では用いない、べプリコール®は難治性発作性心房細動にも用いることがある。 |
発作性心房細動の治療にβブロッカーやワソランは単独では用いられないが併用はよくされる方法である。これは心室レートを抑制し自覚症状を改善させることが目的である。βブロッカーの場合は心房粗動が生じたときに1:1伝導を防止する効果もあり、交感神経賦活化による不整脈発生を抑制する効果がある。心房細動の治療でⅠ群抗不整脈薬を使用中に心房粗動が発生することはよくある。これはもともと心房粗動を合併していたのか催不整脈による心房粗動か区別が難しい。1:1心房粗動となると血行動態的にリスクが高いためβブロッカーやベラパミルを併用する。発作性心房細動では慢性心房細動に比べれば脳血管障害のリスクは低いと考えられているが、CHADsスコアで1点以上のリスクがある患者ではワーファリンによる抗凝固療法が必要と考えられている。かつては抗血小板療法も行われたが、それは欧米における高用量アスピリン投与によるエビデンスであるため2009年現在、心房細動の脳血管障害防止の目的ではワーファリンを用いる。
[編集] 慢性心房細動(Caf)
ARRIRM Studyにて慢性心房細動に対してレートコントロールを行っても、リズムコントロールを行っても患者の生命予後、心血管イベントに有意差を認めなかったため一般的には慢性心房細動ならばβブロッカー、ワソラン®、ジギタリスによるレートコントロールと抗凝固療法が用いられる。βブロッカー、ワソラン®、ジギタリスという順に心拍数を下げる効果が高い。心機能低下や器質性心疾患といった基礎疾患がなければβブロッカーを用いることが多い。心拍数が100bpm以下であれば心房細動による心機能低下は起こりにくい。βブロッカーとしてはテノーミンが用いられることが多い。テノーミン®25mgから開始し、50mgでもコントロールがつかなければジギタリスやCa拮抗薬を併用してシナジーに期待する。高齢者や心機能低下例ではハーフジゴキシン®からはじめて、場合によってテノーミン®25mgを追加するといった方法をとる。慢性心房細動か持続性心房細動かの判定に苦慮したら、年齢、左房径(40mm以上)、f波の消失などの所見を参考にする。
[編集] その他特殊な心房細動
- 徐脈頻脈症候群
洞不全症候群に発作性心房細動、心房粗動、心房頻拍、発作性上室性頻拍が合併したものである。頻脈性不整脈に対して抗不整脈薬を投与すると徐脈が重篤化する恐れがある。そのため治療を円滑に行うために心臓ペースメーカーの導入を行うこともある。
- 偽性心室頻拍
WPW症候群に合併する心房細動であり若年者にも認められる。RR不整を伴う心室頻拍のような心電図所見が特徴的である。非常に有名だがジギタリスやワソラン®は副伝導路の伝導性が高まり血行動態の破綻や心室細動に移行することがある。治療は副伝導路を抑制する抗不整脈薬でありⅠ群の薬物である。サンリズム®50mgやタンボコール®50mgを5分以上かけて静注する、心房細動は停止しないことが多いが、δ波が消失し心拍数も110bpm以下になり自覚症状が改善することが多い。根治的にはカテーテルアブレーションが必要であるため、後日専門医の受診を勧める。
[編集] 治療に用いる薬物
[編集] 手術療法
原発性心房細動には根本治療としては手術療法を行う。本症に対する手術療法にはカテーテル・アブレーションがある。これはフランス·ボルドーのMichel HaïssaguerreとPierre Jaïsらによってはじめられた方法で[1]、心房の筋肉を焼いておもに肺静脈を電気的に隔離する手術である。
2次性心房細動に対しては基礎疾患の治療を優先する。
[編集] 引用文献
[編集] 参考文献
- 心房細動に出会ったら ISBN 9784903843032
[編集] 関連項目
最終更新 2009年10月24日 (土) 21:43 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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