教育実習

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教育実習(きょういくじっしゅう)とは、教員免許状の授与を受けるために修得する科目のこと、または、その科目の内容として各学校で行われる実習のことである。

教育実習は、各学校の教諭養護教諭を除く)の免許状をはじめて取得する際には原則として行われる。教育職員免許法第5条・別表第1、教育職員免許法施行規則第6条などの規定により定められている(ただし、高等学校教諭・工業は特例により教育実習不要)。教職課程(教員養成課程)を設けている大学短期大学教員養成機関などにおいては、教育実習引き受け校での2週間から8週間の実習ならびに事前事後の講義演習・指導を含めて「教育実習」科目として開講している。

なお、養護教諭の免許状に授与にかかわる科目は、教育実習ではなく養護実習である。

目次

[編集] 目的

教員は新規採用など、初めて勤務する日から現場で幼児児童生徒に直接接し、一般企業におけるいわゆる研修期間が実質設定されていないに等しい。そのため、教育実習はこの研修期間の意味合いもある。
(新採用の教諭には1年目に「初任者研修」が課されるが、これは採用後実務と並行して行われるものである)

[編集] 実習校

教育実習の受け入れ校(実習校)については、通常、実習を受ける本人が受け入れ依頼をして内諾を得ることとなっている。多くは母校や居住地近くの学校に依頼することになるが、学校には教育実習生を受け入れる義務はない。学校行事等との兼ね合いやその他の理由により、実習受け入れを断ったり、特定の時期や期間でのみ受け入れが可能であるなど、様々である。これは、あくまでも学校における正規の教育活動が優先であるためである。学校によっては、教育実習生に学校行事での対応を体験させることもあるが、従来は現地の職員により運営されるものであり、教育実習は学校からの「ご厚意」によって実現しているといえる。

実習校の確保は、基本的には学生個人で交渉するが、自治体によっては希望者を一括して取りまとめて実習校を指定したり、職業高校などで大学から依頼を直接受けるケースもある。教員養成系大学にあっては、教育実習は必修科目となっており、大学が指定した附属学校等で実習を行う。

実習校の校種は、取得しようとする免許状の校種ないしは年齢的に隣接する校種でなければならない。例えば、高等学校の免許を取得するのならば高等学校または中学校で実習することになる。隣接校種での実習が可能なため、場合によっては複数の校種の免許状を同時に取得することができる。一方、中等教育の免許状を取得する場合であっても、法令上は取得しようとする免許状の教科について実習を行う必要はない。ただし、免許状を取得しようとする教科以外の教科の授業をあえて担当することは指導教諭・実習生とも負担になるだけであり益がないため、通常は行われない。

なお、公立校・私立校を問わず、一部では実習生が実習校に謝金を払うことが習慣になっている場合があるが、法的根拠はない。大学によっては、実習生が謝金を要求された際には大学が立て替えることもある。

[編集] 実習の実際

教育実習生は、実習期間中実習校の校長および指導教諭の指導を受け、教育活動のほぼすべての領域に参加する。中等教育においては実習生が希望する教科・科目の教諭が指導教諭となる。

[編集] 説明、講話

校長、生徒指導進路指導教務などの担当者から学校の教育活動の実際について説明、講話を受ける。

[編集] 学級活動・ホームルーム活動

実習校より所属学級が指定される。指導教諭が担任する学級を指定され、その学級の教科指導・ホームルーム指導の両方を担当することもあるが、異なる教諭の担任する学級を指定されることもある。学級・ホームルームにおける児童・生徒への連絡報告指導を担当する。具体的には、学級担任とともに朝、帰りの学級活動・ホームルーム活動や給食清掃などの指導を行う。

[編集] 授業参観

指導教諭の指示のもとに授業を見学する。初等教育にあっては所属学級の授業を、中等教育にあっては専門教科の授業を見学することが多くなりがちだが、所属学級以外・専門教科以外の授業を見学することも重要である。

[編集] 教材研究

指導教諭の指示のもと、実習で担当する授業の教材研究学習指導案の作成、その他必要な授業の準備などを行う。

[編集] 教科指導

指導教諭の指示のもとに実際の授業や、宿題・提出物等の点検・添削を行う。

[編集] 研究授業

学校が指定したスケジュールのもとに実習生の授業を公開する。他の教職員、実習生や大学の担当教員が見学する場合もある。実習期間中に必ず実施することになっており、実施前に学習指導案を全ての教員に配布する。実施後、合評会(次項)を行う。

[編集] 合評会

研究授業等の総括・反省を行い、研究協議する。研究授業の事後フォローには校長・教頭・指導教諭ならびに、研究授業を見学した教員が参加し、各自感想や今後への提案などを述べる。

[編集] 校務

指導教諭の指示のもとに、学校運営で必要な事務や作業等を行うこともある。教育実習生の、専門分野に応じた作業が来ることが多い。

[編集] その他

課外活動や部活動学校行事等における児童・生徒の指導を行うこともある。休み時間や放課後に教室や廊下、校庭等に出て児童・生徒と一緒に遊ぶことは、教育実習において(特に初等教育の場においては)実は大変重要なことである。

[編集] 問題点

実習期間が2週間から8週間程度と比較的短く、そのためにどうしても教科指導が中心となってしまい、それ以外の校務を十分実習できない(あるいは実習校の判断で校務を実習させない)こと、また実際に採用されて教員として現場に就くまでのブランクが少なからず存在することなどから、研修期間としてその意味が十分果たせているのかどうか疑問の声もある。ちなみに、ソ連の教育実習は1年間(学校9ヶ月、ピオネール3ヶ月)だった。

また取得に向けての負担は大きいものの「取っておいて無駄ではない」との考えから、教員免許状を取得するためだけ、あるいは単位を稼ぐためだけに教育実習に臨む実習生も少数ながら存在する。
実習校にとって教育実習は、実習生が将来教員として共に勤務することを期待し、後輩育成の機会として「厚意」で受け入れる側面が大きい。したがって、教員として勤務する意志のない学生が教育実習を依頼することは、現場の教職員に対して不謹慎と取られ、せっかく自らの教材研究の時間等の合間を縫って指導しても後輩育成につながらない。このような腹立たしさを覚える教員も少なくなく、実習受け入れ拒否の理由にも挙げられている。 これらを指して一部では「実習公害」という言い方もされている(このことは、学校が民間企業に職場体験を依頼してくるのも同様である)。しかし、教育実習は、教育現場を体験することで学生のうちに教職に対する適性や意欲を見極めることも可能にする制度であり意義も大きい。

なお、教員採用試験は狭き門であり、教職課程を完遂し教員免許状を受けても、正規の教員として勤務できる保証は無く、臨時的任用(非正規)でも機会を得ることは容易ではないため、教員として働くことを希望してもそれが実現しないケースも多い。だが実習生に対し、採用されることを目標に職務に携わって欲しいという現場の期待は大きい。 (学校も一般の企業で行われている職業体験の範囲で教育実習の場の提供を行うことはもちろん必要であるという意見もある)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年8月27日 (木) 16:18 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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