日本の救急車
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日本の救急車(にほんのきゅうきゅうしゃ)は、日本における救急車の事情などを紹介する。
日本において救急車は消防車やパトロールカーと同様に緊急自動車の一つで、サイレンを鳴らして緊急走行を行うことができる。消防法上の正式名称は救急自動車(きゅうきゅうじどうしゃ)。
目次 |
[編集] 概要
救急車には、消防本部およびごく一部の消防団が保有するものと、病院などが保有するものがあるが、119番通報により出動するものは前者であり、後者は主に病院間の転院搬送・災害対応などに用いられる。以上の他、日本赤十字社が運営する病院、自衛隊や大企業の工場・一部のテーマパークの自衛消防隊なども救急車を保有している[1]。
日本の消防の救急車においては、隊員3人以上及び傷病者2名以上を収容でき[2]、その他法令で構造や設備が定められている。
日本で救急業務が消防の任務とされた1963年(昭和38年)以降、救急車の出動件数はほぼ例外なく増加の一途をたどっている[3]。入院加療を要しない軽症が過半数を占めている[3]ことが大きな要因とされる(詳細は後述)。
[編集] 歴史
- 1931年(昭和6年) - 救急車を大阪府大阪市にある日本赤十字社大阪支部に配備。日本における最初の救急車となる。
- 1933年(昭和8年)3月13日 - 神奈川県警察部(現在の神奈川県警察本部)に属する横浜市山下町消防署(現在の横浜市安全管理局中消防署)に配備、消防機関においては初めての導入となった。
- 1963年(昭和38年) - 消防法が改正され、各自治体消防が救急業務を行うように義務化され普及が進んだ。
- 1970年(昭和45年) - 「ピーポー」音の電子サイレンの導入が始まる。
- 1991年(平成3年) - 救急救命士法が施行され、救急救命士が全国で数多く誕生することになった。
- 1992年(平成4年) - トヨタ自動車が日本初の高規格救急車「ハイメディック」を発表。
- 1992年(平成4年) - 札幌ボデー工業が札幌市消防局と共同開発した日本初の4WD高規格救急車「トライハート」を発表。
- 後に、他社が後を追いかけ数多くのモデルが登場。
[編集] 納入に至るまで
日本で救急車を納入する際には、基本的に競争入札(一般競争・指名競争)が行なわれる。納入までの主な手順は次の通り。
-
- 救急自動車を納入する際は更新および増隊の必要の有無に基づいて本部で決定され、消防本部を運営する地方公共団体の議会(以下、議会)で新年度の計画を発表される。
- その後、各消防本部が運営する地方公共団体の入札業者名簿に登録されている販売業者に対し、入札の公告を告示をする。販売業者は期間内に仕様や金額を書いた各種用紙一式をまとめた封筒を各消防本部の指定先に届ける。
- 開札が行われた後、入札額が一番低い販売業者が落札し、仮契約を結ぶ。その後、議会で可決されれば、契約は成立する。
- その後販売業者は、自動車メーカーに対し発注し、その後、自動車メーカーから指示を受けた艤装メーカーが車輌を生産する。なお、乗用車に比べて生産台数が少ない救急自動車は原則として受注生産車輌のため生産完了までは1~2ヶ月はかかる。
- 生産完了後、販売業者の元に救急自動車が届けられ、後付の装備を装着する。なお、救急自動車は型式を取得していても指定自動車でないため国土交通省直轄の運輸局にて持ち込み検査を行い、登録の完了後各本部に納入される。
- 救急自動車をはじめ物品各種は、公共工事とは異なり談合があまり見られない為、インターネットのウェブサイト上で公告を行なわない地方公共団体は多い。
- 入札業者名簿に登録されている業者が1社しかない場合や、指示内容や諸事情(生産中止など)により納入が不可能になったりした場合は1社間との随意契約で済まされることが多い。
- 入札で救急自動車が納入されるだけでなく、個人や民間企業や各種法人から寄贈されることもあり[4]、この場合は車体に寄贈者名や「助成車両」のネームが入る。類似したケースでは日本赤十字社の新潟県支部などが消防本部に救急車を貸与している。この車両には赤十字マークが付けられている[5]。
[編集] 搭載されている主な医療用資器材
- 観察用資器材 - 聴診器、血圧計(自動式・タイコス式)、検眼用ペンライト、患者監視装置 (心電図・脈波・血圧・血中酸素飽和度)等- 傷病者のバイタルサインなどを測定する。
- 人工呼吸器 - バックバルブマスク・デマンドバルブ・自動式人工呼吸器等
- 自動式体外除細除器 - 電気ショックを与える医療器具。VF(心室細動)やpulselessVT(無脈性心室頻拍)の、致死的不整脈を治療するために使用する。法改正により一般市民でも使用できるようになった自動体外除細動装置(AED)と救急車に積載されるものと異なる点は、隊員自らが心電図モニターにより除細動の適応を判断し解析を行い除細動適応であれば通電する[6]。
- 気道管理セット - 吸引器、喉頭鏡、マギル鉗子、開口器、経口経鼻エアウェイ等
- 搬送器材各種 - メインストレッチャー・サブストレッチャー・布担架・スクープストレッチャー等
- 毛布
- 感染予防用具 - プラスチックグローブ、マスク、防護衣類、ゴーグル等
- 脊柱固定用具 - バックボード、頸椎固定カラー、ストラップ。交通事故などの高エネルギー外傷で脊椎損傷の可能性がある患者に対し全身固定を目的として使用する。
- 外傷キット - 滅菌ガーゼ・タオル包帯・三角巾・空気膨張型副木等
- 分娩セット
- 救出用具 - サイドウィンドウを割る為のハンマー、シートベルトカッター、バール、ベンケイ[7]等。これで対応出来ない事案の場合は特別救助隊の出動を要請する事になる
- 医療用酸素 - 10リットルボンベ×2~3本
- 特定行為セット - ラリンゲアルマスク、食道閉鎖式エアウェイ、気管チューブ、静脈留置針、輸液セット、アドレナリン。医師の具体的指示を受けた「認定救急救命士」が使用できる。
[編集] 法令関係・デザインなど
車体の色は道路運送車両法に基づき白色のみと定められ、赤色または青色[8]の付いたテープ状の帯が入るのが一般的であるが、色帯のデザインや形状は本部ごとに異なる。例えば、札幌市消防局の場合は色帯を「Sapporo」の頭文字である「S」をモチーフに変形させたものや大阪市消防局のように全体に色帯が無いもの[9]や川崎市消防局のようにフロント部分のみ色帯がないケース[10]もある。
上部に赤色回転灯(前方側方以外には投光の必要がないため近年は高輝度LEDなどを用いたフラッシュ灯も採用されている)を備え、自動車の追突事故防止に後面、出会い頭衝突防止に前面に赤色の点滅または回転灯(前方集中型警光灯)、また後部に指示方向点滅灯(以上の灯器は一部装着していない車両もある)、スピーカー、消防無線機などを備えている。
救急車の「ピーポー」音の電子サイレンは、消防車のサイレンとの識別を容易にすることや、搬送中の傷病者や地域住民への負担軽減のため1970年(昭和45年)から導入が始まった[11][12]。電子サイレンに切り替える際、運輸省(現国土交通省)に道路運送車両の保安基準への適合について照会しており、法令上正式なサイレンである[11][13]。近年では補助警告音としてイエルプ音をアンプに装備している車両も増えてきている。イエルプ音については正式なサイレンと認められていないことから、イエルプ音吹鳴時には正規のサイレン音が消えないようになっている[14]。
また、最近では救急車のマーキングは本部名などを英語で表記したり、スター・オブ・ライフ(生命の星―アスクレピウスの杖を中に入れたものも)や消防本部または市町村章のマークを貼り付けたものや、火災予防や救命講習の呼びかけなどをはじめとした消防本部からの告知の目的としたものがある。上の名古屋市消防局の車両など前部の“救急”の表示を左右反転させた鏡文字にしているものがある。これは走行中の一般車両が、後方から接近する救急車をバックミラーで認識しやすいようにするためで、ヨーロッパなどでは一般的である[15]。
緊急自動車ではあるが、「速度超過取り締まりのための車両」ではないので、赤色灯を点けた状態でも法定速度を超えて走行することは出来ない。
[編集] 種別
- 2B型救急車 - 2(ツー)ベッド型の略で、高規格救急車に対して在来型救急車とも呼ばれる。1970年代まではステーションワゴンをベースにしたものが大半だったが車内が狭く患者側から見ると圧迫感があった為、1980年代からは商用ワンボックスカーをベースにした車両が主流となっている。最近では車両価格の安い2B型救急車に高規格救急車とほぼ同等の医療機器を積載した準高規格救急車と呼ばれる車両へ更新する消防本部が増えつつある。現状では準高規格救急車という名称・規格は総務省消防庁が正式に定めたものではないため、規格上は2B型救急車に属する。
- 3B型救急車- 3(スリー)ベッド型の略。日産・シビリアンなどマイクロバスをベースにした救急車で、車内の広さを売りに1980年代から1990年代にかけて北海道や九州など一部の消防で普及したが、準高規格救急車や高規格救急車の導入が進む現在ではほぼ需要のない規格になってしまっている。
- 高規格救急車 - 在来型や外国製をベースに開発、規格化。車両室内の寸法などが細かく法令で定められており、それら全てをクリアし認定を受けた車両が総務省消防庁認定高規格救急車として販売されている。
- 大型救急車 - 新生児の患者を搬送(医療機器と大型保育器を搭載)するための新生児用救急車(ドクターカー)と、多くのベッド(担架)を積載して航空機事故や大規模玉突き交通事故等、大勢の負傷者が発生した時に使用するための多数負傷者搬送用の救急車がある。主に日産・シビリアンやトヨタ・コースター等のマイクロバスがベースとして使用されており、新生児搬送用救急車は、総合周産期母子医療センターに指定されている総合病院等に、多数負傷者搬送用の救急車は成田国際空港や、泉佐野市消防本部(関西国際空港直近)等に配備されている。
- 軽救急車 - 高規格救急車や2B型救急車が進入できない狭隘道路に対応するため、また、規模の小さい離島などで、長距離搬送の必要がないなどの場合、軽ワゴン車を救急車仕様に改造し、軽救急車として運用することがある。車内はとても狭く、搭載される救急資器材は必要最低限の物のみに限定されている。例としては宮崎県高千穂町の役場救急隊[16]や鹿児島県三島村の診療所救急[17]がある。
- その他特殊な車両 - 京都市消防局では、市街地から遠く離れた一部の出張所に、患者搬送を目的とした「器材搬送車」を配備している。ベース車両としてはセレナやデリカスペースギア等のミニバンが用いられており、車内は前述の軽救急車と同様に狭く、搭載資器材は限られている。この車両は「救急車」ではなく「消防車」の扱いになるため、車体塗色は朱色に白帯が入ったものとなっている。
[編集] 車両
[編集] 外国製車両一覧
1991年(平成3年)の医師法改正によって救急救命士が誕生し「応急処置」の範囲を超える高度な処置が出来るようになった。しかし、当時の国産救急車規格では隊員の活動が制限されたり、新しく増える医療器具や処置器材を置くスペースがないなどの問題が発生する事がわかった。そこで救急救命士が車内で迅速に救命処置ができ、なおかつ医療器具などを無理なく搭載できる高規格な救急車、「高規格救急車」を規格化することになった。
[編集] フォード・モーター製
- F-250
- 架装はジェイカブ・インダストリーズ。
- 高規格救急車が導入される以前、オーストラリア仕様が東京消防庁や川崎市消防局などに導入された記録がある。この車両はディーラーの近鉄モータースがオーストラリア仕様を輸入したため、右ハンドル仕様だった[18]。
- E-350
- 架装はウィールドコーチ(WHEELEDCOACH )。
- 高規格救急車の導入に合わせ、東京消防庁、京都市消防局、名古屋市消防局など大都市圏に配備された。大都市以外には大垣地区消防組合がある。また数台が民間の病院や患者搬送サービス業者等にも納入された。
[編集] メルセデス・ベンツ/ダイムラー・ベンツ製
- 307D型救急車
- 架装はクリスチャン・ミーセン(C.Miesen )またはビンツ(BINZ )による。
- 1987年(昭和62年)頃に東京消防庁と横浜市消防局、名古屋市消防局に従来型の2B型救急車として配備された。
当時の自治省消防庁が、後に施行される救急救命士法の検討段階において、従来のキャブオーバー型救急車に代わる新しいタイプの救急車の検討・比較材料として輸入車ディーラーであるウエスタン自動車[19]を通じ東京消防庁に2台試験的に導入、運用させた。横浜市消防局にはウエスタン自動車が寄贈したという話である。
- 車体が大きいので資器材の収容能力も高く、また大きな車体の中で行う搬送患者の処置、それまでは担架を直に車内に収容するだけであった従来の救急車に対し、搬送時の患者に対する振動等の軽減を目的とした防振架台のテスト等、後の高規格救急車の標準仕様を検討する上で良い検討材料になった。しかし遅いと言われた後の310D型に比べてもエンジンの排気量/馬力共にさらに小さく、動力性能の点で明らかに国産車に劣ったことから、あまり積極的な運用はなされなかったようだ。しかし、この運用結果を踏まえ、後の高規格救急車につながるデータが築かれていった。
- 310D型高規格救急車
-
広島市消防局の310D型
- 架装はクリスチャン・ミーセン(C.Miesen )社またはビンツ(BINZ)社による。
- 救急救命士法施行に伴い全国に初めて配備された高規格救急車の中で忘れてはならないのがダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー)製の310D型高規格救急車である。投入当時は国産の高規格救急車はまだ初期段階にあり、本格的な高規格救急車として後の国産高規格救急車の手本となった点も多い車である。救急車として、高度医療機関のドクターカーとして、また外国製の救急車として話題にもなったことから配備された数が多く、全国各地でその姿を見ることが出来た。この車両は1991年(平成3年)頃より導入され始め、1995年(平成7年)まで大都市やその周辺都市に配備された。主要な大都市以外では都留市消防本部がある。配備された車両の大部分は既に退役したが、未だに使用している自治体や医療機関も少ないながらも存在する。
- 当時メルセデス・ベンツの商用車両を販売していた三菱ふそう系列のSTBが、ドイツでミーセン社によってぎ装されたモデルを輸入後、同じく三菱自動車系列の三菱自動車テクノサービスで日本の仕様に追加ぎ装したものを「メルセデス・ベンツ救急車」として多数販売した。国内の310D救急車のほとんどはミーセン社のぎ装によるものである。なお、一部ではあるが、帝国繊維もビンツ社でぎ装された車両を輸入し、帝国繊維鹿沼工場で日本仕様に追加ぎ装し、「テイセン F-5型」として販売していた。
ベンツ救急車が高規格救急車として配備され始めた当時は、規格や装備が煮詰まっていない模索段階であり、この後しばらく高規格救急車は、大きさを求めるかの如く主にトラックベースで製作された(初代ハイメディックやパラメディック-Ⅱを除く)。
[編集] 国産車両一覧
[編集] 現行モデル
- ハイメディック
- HIMEDIC、トヨタ自動車製。トヨタ・ハイエースをベースに架装。
詳細は「トヨタ・ハイメディック」を参照
- パラメディック
- PARAMEDIC、日産自動車製。日産・エルグランドをベースに架装。
詳細は「日産・パラメディック」を参照
- トライハート
- Tri-Heart、札幌ボデー工業製。三菱ふそう・キャンター、いすゞ・エルフをベースに架装。
詳細は「札幌ボデー・トライハート」を参照
[編集] 製造中止モデル
- スーパーメディック
- SUPERMEDIC、いすゞ自動車製。いすゞ・エルフベース。
- 救急車で初めてエアーサスペンションを設定し、傾斜した坂道にも対応した防振架台が搭載された。初代はエルフをベースとしていたが、2代目は商用車の相互OEM関係のある日産自動車より日産・パラメディックが供給され、いすゞ・スーパーメディックとして販売されていた。2002年(平成14年)に製造終了。2008年(平成20年)8月9日にシエナ・テクノ・クラフツが新型の開発を発表したが、発売前に倒産してしまったため詳細は不明。
- スーパーメディックⅡ
- SUPERMEDICⅡ、いすゞ自動車製。いすゞ・ファーゴベース。
- 日産パラメディックⅡの供給で販売された。全国に10数台のみ配備となった。
- ディアメディック
- DIAMEDIC、三菱自動車工業(現・三菱ふそうトラック・バス)製。三菱ふそう・キャンターベース。
- 1997年(平成9年)7月7日に発売された。ボディサイズが小型で最小回転半径が4.9mというのが特徴である。前期後期の2種が存在。2002年(平成14年)のキャンターフルモデルチェンジに伴い製造終了。
- オプティマ
-
OPTIMA、架装は帝国繊維。三菱ふそう・キャンターベース。広島市消防局の後期オプティマ
- ワイドキャブと標準キャブの2ボディで構成されていた。前期・中期・後期の3種が存在した。西日本の消防機関で多く導入されていたようである。
この他には日野自動車の中型トラック日野・レンジャーベースの高規格救急車が北海道網走郡大空町東藻琴にある網走地区消防組合東藻琴分署と千葉県の市川市消防局に導入されていたが、既に廃車となっている。
[編集] 中型・大型トラックベースなど
東京消防庁に配備されている京成自動車工業の「スーパーアンビュランス」に代表される救急車のことである。このほかにも日本赤十字社岡山県支部は多目的救急車(仕様は日野・レンジャー)を、熊本県支部は片側だけが拡張するタイプ(仕様はいすゞ・ギガ)を保有している。“救急車”ではなく、移動医務・処置室として使用する。
[編集] 東京消防庁の特殊救急車
- スーパーアンビュランス
- 1台目
- 1994年(平成6年)10月、三菱ふそう・ザ・グレートをベースにしたモデルが千代田区丸の内消防署に配備される。
- 1996年(平成8年)12月、東京消防庁第二消防方面本部消防救助機動部隊(大田区)発足のため、同隊に配転となる。
- 2004年(平成16年)、第二消防方面本部消防救助機動部隊のスーパーアンビュランス更新に伴い東京消防庁第八消防方面本部消防救助機動部隊(立川市)に配転となる。
- 2006年(平成18年)、引退。この間、地下鉄サリン事件等に出動した。
- 2台目
- 2004年(平成16年)、三菱ふそう・スーパーグレートをベースにしたモデルが第二消防方面本部消防救助機動部隊に配備される。1台目に比べ、患者室のドアやドアステップの構造が改善されている。最近では秋葉原通り魔事件等に出動した他にTBS系金曜ドラマオルトロスの犬の劇中にも登場した。
- 3台目
- 2006年(平成18年)、いすゞ・ギガをベースにしたモデルが第八消防方面本部消防救助機動部隊に配備される。渋谷温泉施設爆発事故等で出動している。
3B型を思わせるマイクロバス型の特殊救急車をNBC災害対応部隊である東京消防庁第三消防方面本部消防救助機動部隊(渋谷区)に配備されている。現在の車両はトヨタ・コースターをベースにしたモデルで、感染症患者搬送用カプセル型ストレッチャー(アイソレータ)が積載できる。
[編集] 自衛隊の救急車
自衛隊の車両は陸上自衛隊と海上自衛隊が緑、航空自衛隊は紺色だが、航空自衛隊では白色の車両も導入されている[20]。前面・側面に白地の赤十字マークを貼り付けてあり、サイレンと赤色灯も装備している。ワンボックス車がベースの車両は全国各地の駐屯地や基地に配備されている。また、陸上自衛隊の衛生隊は野外用にトラックをベースとした車両も保有している。
救急車ではないが、陸自・衛生科部隊では手術車・手術準備車・滅菌車・衛生補給車の4台で構成される野外手術システムを保有している。
詳細は「救急車 (陸上自衛隊駐屯地用)」、「1トン半救急車」をそれぞれ参照
[編集] ワークステーション
病院などと連携し、医師の救急車への乗り込みが行われている地域もあり、そのような救急車はドクターズカー(ドクターカー)と呼ばれ、このシステムをドクターカーシステムという。このシステムを効率的に利用するために、消防機関の救急車を総合病院や救急医療機関に配置していて、「ワークステーション」と呼ばれる。
[編集] 消救車等
消救車(しょうきゅうしゃ、正式名称:消防救急自動車)は、消防車の出動頻度に比べて、よく駆り出される救急車の運用効率化を図り、消火と救急の両方の機能を持つ車を配備することを目指して作られた車である。2台買うよりは若干安いが、両方の機能を持つ車両は法令上も想定外だったこともあり、効率的に運用できるかどうかはこれからの課題である。配備されている消防機関はまだ少なく、2004年(平成16年)12月にモリタが開発・製造した日野・デュトロベースの車両が、千葉県松戸市消防局六実消防署に第1号として導入された。2007年(平成19年)4月には京都市消防局北消防署中川消防出張所に全国第2号として消救車が導入されたが、京都市消防局特注モデルのためポンプは小型動力ポンプしか搭載しておらず、患者搬送ベッドや生体情報モニターなどを備えるが最新の救急車に比べれば設備は劣る。 2008年(平成20年)4月には青森県むつ市大畑町の大畑消防団本部付分団に全国3号目の消救車が配備された。同分団の消防団がポンプ車として使い救急車としては、同分団に隣接する下北地域広域行政事務組合消防本部大畑消防署が運用する。
患者収容スペースを活かした指揮車仕様のタイプが2007年(平成19年)4月現在福岡市消防局、北九州市消防局に配備されている。
救急出動に救急隊員の資格を持ったポンプ隊員が乗車している消防車を先行で出場させ、現場整理と先行処置に当たらせている消防機関も増えている。PA連携などと呼ばれる(Pump and Amburanceの意)。
[編集] 車内での救命処置
人工呼吸、心臓マッサージなどの他に、現在では救急救命士の免許取得後一定の講習を修了した「気管挿管(きかんそうかん)認定救急救命士」によって、気管挿管で呼吸の確保が行えるようになっている、また自動体外式除細動器(AED)の発達により電気的除細動を医師の指示なしに行うことも可能になっている。2006年(平成18年)4月からはやはり講習修了済みの「薬剤投与認定救急救命士」によって、アドレナリンの投与が可能になった。
心肺停止の時間をできるだけ短くするため、救急車の現場到着の時点で、救命処置が開始されることが望ましい。このため、医師が現場へ臨場したり、医師の指示の元で救命処置が行われるのが理想である。
[編集] 要員
多くの場合、救急隊長、運転担当の機関員、救急隊員の3名で構成され、午前9時から翌日午前9時までの24時間勤務である。従って、1台の救急車を維持するためには3交代とする必要上3個隊9名が必要であり[21]、救急の専属でなく、消防隊(ポンプ・梯子)・救助隊との兼任で隊員資格を取得させ要員を確保している救急隊もある。
[編集] 運用状況
消防庁によると近年救急車の出場回数は増え続けており、2007年(平成19年)には529万件にも及んだ[3]。要請の過半数が入院加療を必要としない軽症であり[3]、「虫歯が痛む」「深爪した」「病院まで歩くのが苦痛」などの、救急車を出動させる必要のない不適切な要件(いわゆるタクシーのような利用)を含む軽症事案を事実上拒否できないことが大きな要因とされる。そのために本当に救急車が必要な症状のケガ人や病人を搬送するための救急車が足りない、サイレンが騒音公害になる(詳細は後述)など多くの問題が発生している。そのため、消防庁では救急車出動を有料化する検討をしており、これについて国民の間では40%が有料化に賛成、50%が反対している[22][23]。また一定の条件の下で民間の患者搬送車に緊急自動車認定をおろすことも検討されている。また、自治体によっては使用の基準の広報活動や緊急性の薄い患者は民間患者搬送車への紹介等を行っている。また、悪質な患者と判断できるケースの場合偽計業務妨害罪が成立することもあり過料他罰則を設定する自治体もある。
ドヤ街などではホームレスなど特殊な患者の救急車利用に当たって警察官の同意を要する場合がある。但しこれは伝統的な官吏の貧困層への差別意識[要出典]から来るものではなく、特に搬送後死亡し「無縁仏」となるような事態を防ぐのが主目的で警察官の裁量による利用禁止は過去に何度にも渡り悪戯利用、救急隊員への暴行などを繰り返したといった「常習犯」でもない限りまず無いといって良い。山谷、釜ヶ崎といったドヤ街ではこれら搬送の際にストレッチャー(担架)に乗せられ救急搬送を待つそれら患者に警察官が間近に顔を近付け氏名、出身地など必要事項を聞いた後消防側に「利用同意」を出し搬送する風景が普通に見られる。また、同様の警察官の「同意権」に代えて病気がちで救急搬送も含め長期的な医療を要しなおかつ犯罪、悪戯などを行う恐れの無い利用患者への「ホワイトリスト」指定も模索されつつある[要出典]。
[編集] サイレンの騒音公害としての側面
救急車の出動回数が増えているのは前述の通りで、本来非常時にのみ運用されるべきはずであった緊急走行が現在では慢性的に行われ、サイレンが市民生活に与える影響もそれに伴い増大している。サイレンが人々に負担を与えるものであることは住民意識調査などにより明らかである[24]。しかし消防庁は新たに騒音対策を検討する予定はないとし[25]、騒音対策の要望に対しては消極的な対応に留まっている[26]。救急車のサイレン音は、G音とH音の長三度音程が一定間隔で繰り返され、和声感覚とリズム感覚に訴えかける内容となっている。また、音程が不正確な上にドップラー効果により絶えず上下し、際限のない同じ音型の繰り返しや音圧の高さと相まって聴く者に大きなショックを与える。(救急車のサイレンを含む騒音問題一般については騒音を参照)
[編集] 表記について
消防法施行令第44条によると救急車は「救急自動車」と表記されており、特種用途自動車の緊急自動車の形状例示では「救急車」と表記されている。また、道路交通法施行令第13条では緊急自動車の指定を受けることができる自動車として「国、都道府県、市町村、関西国際空港株式会社、成田国際空港株式会社又は医療機関が傷病者の緊急搬送のために使用する救急用自動車のうち、傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有するもの」を挙げている。
[編集] 関連項目
- 日本の消防
- 消防本部
- 緊急消防援助隊
- 救急医療
- 救急救命士
- 救急隊
- 特種用途自動車
- 消防車
- 緊急自動車
- 騒音公害
- 救急車 (陸上自衛隊駐屯地用) - 車体色やナンバープレート以外一般の救急車とほぼ同じ
- 1トン半救急車 - 野戦用
[編集] 脚注
- ^ 患者搬送を行うことを目的とした、医療機関以外の民間の車両は救急自動車ではなく緊急自動車の指定は受けられないため寝台車両・患者搬送車と呼ばれることが多い。
- ^ 「救急業務実施基準(昭和39年3月3日自消甲教発第6号)」 消防庁、1964年(昭和39年)3月3日
- ^ い ろ は に 「[ 平成20年版救急・救助の現状]」 消防庁
- ^ 非営利法人では日本損害保険協会や日本自動車工業会や日本宝くじ協会など、民間企業では安田生命(現明治安田生命)や山之内製薬(現アステラス製薬)などが有名である。
- ^ 日本において赤十字マークは日本赤十字社と自衛隊所属車両のみに許されるマークである。
- ^ 一般市民仕様のAEDを救急隊装備として使用するケースもある。
- ^ 消防士の使用する物と同じ。
- ^ 沿岸部の消防本部に多い。海あるいは水の色をイメージしている。また、清潔感の協調のために青帯にしているところも多い。
- ^ 赤帯がない理由として、「あかん(助からない)」に繋がり、縁起が良くないと忌まれていたが、認識性の向上を目的に2004年(平成16年)から配備された高規格救急車のリアのテールゲートのハンドル付近に赤帯が入った。
- ^ 2005年(平成17年)度更新車両からはフロント部分にも色帯がある。
- ^ い ろ 「救急自動車に備えるサイレンについて(照会)(昭和45年3月17日消防防第187号)」 消防庁
- ^ 「救急自動車に備えるサイレンの音色の変更について(昭和45年6月10日消防防第337号)」 消防庁
- ^ 「緊急自動車に備えるサイレンについて(昭和45年3月24日自車第323号)」 運輸省
- ^ 「サイレンの適正な運用について(平成19年3月13日消防消第36号)」 消防庁
- ^ “AMBULANCE”を左右反転させてある。
- ^ 「軽救急車」 高千穂町役場消防防災課
- ^ 「三島村巡回診療」 鹿児島県地域医学研究会
- ^ 外務省がODA物資として海外に輸出しようと購入したが、納入先が右ハンドル車が使用不可の地域だったため、止むを得ず納入を取りやめ、余剰分を国内に割り当てたとする説もある。
- ^ のちにヤナセに吸収された。
- ^ 「SUPECIAL FEATURE 013 4300人の命は預かる!」 航空自衛隊入間基地
- ^ 本部により1分署に2個隊6名の場合もあり、このような分署では隔日2交代勤務となる。
- ^ 「消防・救急に関する世論調査」 内閣府、2003年(平成15年)8月
- ^ 国政モニター お答えします・救急車の有料化について
- ^ 「救急車の警告音に関する住民の意識調査」 社団法人日本音響学会
- ^ 消防庁の見解によると、出動増加は利用者側に責任があるとし、サイレン騒音が市民生活に弊害をもたらしている事実については具体性に欠けるとして認めておらず、消防庁側には責任がないとしている。
- ^ 消防庁広報によると、既に行われている救急車の適正な利用のPRが騒音対策であるとしている。ただしPRの中で騒音に触れられてはいない。また、緊急走行時はサイレン吹鳴が法令で義務づけられているとしている。ただし緊急走行自体は義務づけられているわけではない。
[編集] 外部リンク
- 特殊救急車(京成自動車工業株式会社)- スーパーアンビュランスについての解説。
最終更新 2009年11月21日 (土) 22:03 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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