木材

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木材(もくざい)とは、様々な用途の材料として用いる、樹木の幹の部分の呼称。

木材店の店頭に並ぶ各種木材

は生き物であるため同じ種類の木でも一本ずつ性質が異なり同じものは存在せず、扱いにも特殊な工夫を必要とする場合がある。季節では、雨性の温帯気候に属する日本においては木の新陳代謝の低下するからにかけての時期が伐採の最適期とされており、この時期に伐採したものは腐れや害虫に強い木材になる。

目次

[編集] 性質

木材は、樹木の幹を素材として捉えたものである。これは、植物としては樹木の幹の木部にあたり、主として道管と繊維細胞からなっている。これらはその形成の段階で非常に細長く、かつ厚壁になったもので、それらはほとんどが幹の縦方向に平衡して並んでいる。また、内部が空洞化することによって作られ、道管はそれ以降は途中から吸い上げた水の通路となる。それらは切断して乾燥させることで内部に空気が入るから、非常に多孔質の素材となる。

このようなことから、材木はその繊維が縦方向に強く並んでおり、これがその強度の性質を決める。また、多孔質であることはその軽量と断熱性の元となる。

これらの成分は多糖類であるセルロースリグニンが主成分である。これらは自然界では分解の難しい成分として知られるが、実際には菌類シロアリなど一部の動物がこれを強力に攻撃するので、それらは材木の重要な敵となる。また、可燃性であり、は木材にとってもっとも危険なものである。

[編集] 乾燥

<乾燥方法> 木材の乾燥方法には大きく分けて「人工乾燥」と「天然乾燥」の2通りの乾燥方法がある。 人工乾燥とは大まかに木材を釜に入れて、温度を上げ(40℃~80℃ほど)乾燥させる方法。 天然乾燥とは木を桟積みにして、自然の力(太陽、風、雨)だけで乾燥させる方法。 人工乾燥のメリットは短期間で出荷できることや、均一な木材に仕上がる点で、一方のデメリットは乾燥に際しCO2の排出を伴う点が挙げられる。 天然乾燥のメリットはCO2の排出が無い点や昔ながらの乾燥方法であること、デメリットは乾燥に最低でも1年以上(材質によって要する時間は異なる)かかる点である。

伐採直後の原木含水率は、樹種にもよるが、40 - 300%以上の広きにわたる。十分に乾燥されていない木材は重く、腐りやすく、収縮・変形し強度も乾燥材に劣る。生木を乾燥させていくと含水率30%前後(繊維飽和点)で収縮が始まり、変形となって現れる。 たとえば、木材を一定の温度・湿度に調節された環境に放置すると、ある含水率に達した時点で木材の吸湿と放湿が同じスピードになり、見かけ上木材が吸湿も放湿もしなくなる時が来る。こうなると木材は収縮しなくなり変形も収まる。このように、外気からの木材への吸湿と木材から外気への放湿が見かけ上、平衡に達する含水率は温度と湿度によって一意に定まり、この含水率を平衡含水率という。 日本の場合、外気の平衡含水率は季節や地域によって異なるが、おおむね12 - 16%程度であり、建築用材であれば20%まで乾燥してから用いるのがよいとされている。また、冷暖房設備の整った屋内での使用が基本となる家具用材などでは8%、場合によってはそれ以下の含水率まで乾燥した材が用いられる。 これは、木材が一定以下の含水率になった後、湿気を吸いにくくなるという性質を利用するためである。 なお、木材の表面だけが乾燥して内部の含水率が高いと出荷後に製品に狂いが生じるので、乾燥工程の終了時には十分な養生期間を設けて、木材内の含水率をできるだけ均一にすることが望ましい。

木造建築には木材の収縮に伴う寸法の狂いが当然のように思われているが、適切に製材し適切に乾燥させた木材を利用すれば建物の狂いはほとんど生じない。 含水率の公式:含水率(%)=(木材の重量-完全乾燥材の重量)÷完全乾燥材の重量×100

[編集] 製材

から伐り出した原木を丸太の状態で利用する事は少ないので、通常は皮を剥がし角材や板材を切り出す作業を行う。古くは木挽き職人と呼ばれる技能者が個々の原木の性質を見極めながら製材をしていた。同じ原木を製材しても職人の腕一つで材木の品質や歩留まりなどが大きく左右されたので、木挽き職人は高度な技術が必要とされる仕事であった。現在は機械的な大量生産になっているので、職人による高度な製材技術は期待できなくなったが、製材機械の改良により高度な製材加工がなされる。

[編集] 心材と辺材

年輪が 27 本あるイチイの幹の断面。外側の色が薄い辺材、内側の色が濃い心材、中心部の細い髄が観察できる。

木材の中心に近い部分を心材(しんざい)または赤身(あかみ)、樹皮に近い外側の部分を辺材(へんざい)または白太(しらた)という。赤身、白太という呼び名は中心部が赤っぽい色をしており、外辺部が白っぽい色をしているためである。ただし、木の種類によっては中心部と外辺部で色の違いがなく、心材と辺材の区別がほとんど出来ないものもある。また、木材の中心部のごく細い軟らかい部分を(ずい)または樹心(じゅしん)という。

木は生き物であるため新陳代謝を繰り返し成長を続けている。生物としての木が活発な新陳代謝をしている部分が外辺の辺材部分(厳密には表皮と隣接する数層、形成層と呼ばれる)で、細胞が死んで新陳代謝を終えた部分が中心に近い心材となる。辺材は生命活動を行う必要性から栄養分や水分が多いので腐りやすくシロアリなどの害虫にも弱い。心材は辺材に比べると強度的には劣るが、フェノール類などの抽出成分を含んでいるため耐朽性にも優れているので、外構用部材などにはよく用いられている。建物の構造材としては心材を含んだ角材が利用されるが、変形が大きいので、十分に乾燥した材を用いることが求められている。


[編集] 年輪と木目

[編集] 早材と晩材

早材とは一年輪のうち春の成長が盛んな頃に形成される細胞で春材とも呼ばれる。細胞壁は薄く、細胞の直径は大きく密度は小さい。晩材とは夏頃に形成される細胞で夏材とも呼ばれる。細胞壁は厚く、細胞の直径は小さく密度は早材に比べて大きい。肉眼で見た場合、濃く見えるのが晩材部である。

[編集] 板取り

柾目と板目。Aが柾目、Bが板目となる。
カエデの杢

原木から板を切り出す場合、年輪の目に対してどのような角度で切り出すかによって、板表面の木目が異なってくる。また、切り出しの角度は木目のみならず、板の強度などにも影響を与える。

柾目(まさめ、正目)
年輪の目を断ち切るように年輪に対し直角に近い角度で切り出した板の表面に現れる木目を柾目と呼ぶ。冬目と夏目が交互にほぼ平行に現れ、きれいに揃った縞模様となる。収縮や変形が少ないが、水分を透過させやすい。柾目の板は原木から20 - 30%程度しかとれず歩留まりが悪いので高価である。
板目(いため)
年輪の目に沿うように接線方向に切り出した板の表面に現れる木目を板目と呼ぶ。木目は柾目のように整った縞模様とはならず、不規則な曲線模様となる。板目の板には裏表があり、切り出しの際に外辺部側に面していた方が表面、中心部側に面いていた方が裏面となる。木材の切断面を指す意味の「木口」の年輪の模様を見るとカタカナの「ハ」の字状に目が走っているが、ハの字の狭い方が表、広い方が裏となる。板目の板では水分の吸い込み易さの指標である吸水率が表側と裏側で異なり、長い年月を経ると必ず収縮・変形し易い性質があり、木材には反りが生じる。年輪の目が詰まった冬目が板の厚さ方向に複数重なっているため水を透過させづらい性質を持つ。この性質を利用して液体を貯蔵する樽などには必ず板目の板が利用される。
杢(もく)
原木の瘤の部分などを切り出したときに稀に現れる柾目とも板目とも異なる特殊な模様の木目。希少価値があり珍重される。
英語版による解説

[編集] 無垢材と木質材料

一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したものを無垢材と呼び、小さな木の破片や薄い板を集め接着剤で貼りつけて大きな寸法の部材としたものを木質材料と呼ぶ。主な種類として、集成材、LVL(単板積層材)、合板、パーティクルボード(PB)、ファイバーボードがある。集成材の接合法は大きく分けてスカーフジョイント・フィンガージョイント・パットジョイントの3種類に大分類され垂直形ミニフィンガージョイントによる接合が多い。構造用集成材の種類としては米松(ダグラスファー)・欧州赤松(レッドウッド)・SPF(スプルース・パイン(松類)・ファー(樅))・米ヒバ・米栂・スギ・カラマツなどがある。

[編集] 合板

合板の製造方法の概念図

詳細は「合板」を参照

単板(木材を薄くスライスした板。多くはロータリーレースといわれる機械によって、かつらむきのように薄くスライスされる)を複数枚、接着剤で張り合わせ一枚の板に加工したもの。強度と寸法安定性能を高めるために、木目が交互に交差するように張り合わせている場合が多い。ベニヤ板とも呼ばれる。

大面積の板材を無垢材から得るためには巨木が必要となるのに対して、合板は無垢材に比べて安価に大面積が得られる点、工場加工ゆえに品質が安定している点から、様々な用途に広範に利用されている。

[編集] シックハウス症候群

かつて合板の多くは、ホルムアルデヒド系接着剤が使用されており、気化した成分が人体に悪影響を与えることがあった。そのため、1980-1990年代頃よりシックハウス症候群の原因として問題視されるようになってきた。また、湿気に弱いため、屋外や水回りで使用するものには、耐水性の高い接着剤を使用するなどの工夫が必要とされる。

[編集] 規格

日本農林規格のJASでは耐水性の有無や使用用途によって特類、一類、二類といった等級がある。さらに、上記のホルムアルデヒド放散量によっても等級があり、F☆ - F☆☆☆☆という表記がされている。 F☆☆☆☆以外は、住宅で使用する際に使用量が制限されるため、ほとんどの製品がF☆☆☆☆に対応するようになった。

ラワン合板
ラワン (lauan) は東南アジアなどに分布する樹種で高さ40m、胸高で直径が2m程度に成長する広葉樹高木。ラワン合板はこの広葉樹材を張り合わせた合板。表面がざらざらしており木目はハッキリしないのが特徴である。一般にベニヤ板という場合はラワン合板をさす。本来のラワン材は乱伐によってかなり減ってしまったため、現在は南洋系の広葉樹材を使用する合板をラワン合板と称している。
針葉樹合板
主に類から作られる合板で、ラワン合板と比べると木目による凹凸が大きく、大きな節穴がある。強度的にはラワン合板と比較すると一般に劣るが、生産技術や接着剤性能の向上によって十分な強度を持ち、構造用など意匠に関係のない部分の合板として広く用いられている。

[編集] 木質ボード

広い意味では、木材を砕いたり削ったりして作ったエレメントを接着剤やプラスチックで固めた製品はすべて木質ボードである。代表的なものとしては以下に上げるような種類があるが、エレメントの大きさや形、並べ方によって製品の性質はさまざまであり、製造過程が類似しているため中間的な製品も存在する。パーティクルボード、OSB、MDFでは、エレメントのその大きさや形は確率的なものであり、製造工程において分級(ふるい分け)などによって品質管理される。

パーティクルボード
木材の砕片に接着剤を混ぜ圧縮成形したボード。断熱性、遮音性に優れる、耐水性には欠けるので主に家具、内装下地として使用される。学習机やホームセンターなどで販売されているカラー合板の芯材として多く用いられている。国内のメーカーでは建築廃材などで材料を100%まかなうメーカーもある。表面はざらざらしているが、内側には長め広めのエレメントを使って強度を確保し、一方、表層には細かいものを使って滑らかにするという製品もある。
OSB
Oriented Strand Board(配向性ストランドボード)の略で、接着前に木片の向きをそろえることで一定方向への強度を高めたものである。低質の広葉樹(アメリカ・カナダではアスペン)を用いており、以前は規格外のため構造用に用いることが出来なかったが、JASにより規格化されたため、近年普及が進んでいる。日本では合板が構造用パネルとして広く使用されているが、ここ数年の価格高騰がOSBへの転化を後押しする結果となった。
MDF
Medium Density Fiberboard(中密度繊維板)の略で、パーティクルボードよりも更に細かい木材の繊維に接着剤を混ぜて圧縮成形した木質ボードでの1つである。比重によってハードボード、MDF,インシュレーションボードの3種があり、MDFが最も代表的なものである。用途はパーティクルボードとほぼ同様だが、表面がなめらかで化粧板を貼っても凹凸が出ずきれいな仕上がりとなる。パーティクルボード以上に耐水性は無く、MDF単体で用いられることはほとんど無い。扉や家具のコア材、変わったところではトラックのドアの芯材にも用いられている。
ランバーコアボード (Lumber core plywood)
無垢の小さな棒材を複数並べたものを芯材とし、表面に薄い板を張って一枚の板に加工したもの。木質ボードというよりはむしろ表面に化粧板を貼った集成材に近いものであり、釘の保持力が強いという特長を持つ。
単板積層材, LVL
単板積層材(LVL, Laminated Veneer Lumber)は、以前は平行合板とも言われた。製造工程は合板とよく似ているが、おもに柱など棒状の形で使われることを前提として、長さ方向に用度を持たせることを優先して作られるものである。一般的な合板とは異なり各層の繊維の向きを直交させるのではなく原則として同じ向きにそろえて作られる(幅方向のそりを防ぐため、若干の直交層を含めることもあるが、ほとんどの層で繊維は同じ向きである)。強くて長い木質の棒を作ることができるので、比較的大きな建物を木造で作るときなどによく利用される。

[編集] 主な成分

セルロースリグニン、ヘミセルロース

[編集] 機械的強度

木材は比重が小さいので、強度を比重でわった比強度(同じ強さを発揮するのに必要な材料の重さの逆数、飛行機の材料などでは重要な特性)は金属に比べても小さくない。繊維の方向によって強度特性が異なる。下表はいくつかの木材の機械的性質である。

材種 比重 圧縮強度
[MPa]
剪断強度
[MPa]
ヤング率
[GPa]
アカガシ 0.92 64 13 15.5
カラマツ 0.53 45 10 11.5
ヒノキ 0.41 40 8 9.0
スギ 0.38 34 7 8.0
キリ 0.29 22 6 5.0

データには誤記の可能性があります。

[編集] 用途

風のハルカ朝ドラ)のスタジオで使われる木材のエイジング効果の説明パネル(2005年11月 NHK大阪施設見学会で写す)

木材はその入手の容易さから、旧石器時代から住居や道具の材料および燃料として利用されてきた。 また、製紙原料としても古くから用いられている。

なお、何かの素材として使用する際、乾燥期間を長くすることで長持ちするため、伐採後、長い間乾燥させた木材が珍重される。しかし、それ以外にも、独特の風合いを求め、敢えて伐採後長い年月が経過した、いわゆる古材を使用することもある。

[編集] 住居

  • 吸湿性
  • 吸音性
  • 断熱性
  • 加工の容易さ
  • 組積造の材料に比べ、軸組工法の得失

[編集] 道具

  • 武器として
  • 玩具 - 手触り、肌触りがよく、暖かみがある。幼児向けのものに多い。
  • 日常の道具
  • 家具
    • タンス - 吸湿性のよいキリがよく用いられる。
  • 楽器 - 木材の比ヤング率は高い。そのため、大きな力を必要とせずに、安定した振動を得ることができる。また木材は、適度な粘性を持っており、かつ表面反発係数は金属のそれより低いため、瞬間的な外力による加振、及び継続的な外力による励振のいずれによって振動させた場合にも、発生した音は、いわゆる金属音とは異なる高周波成分の少ない“柔らかな”になる。加えて木材は、力学的な異方性を有する。また、樹種、生育環境等により力学的特性にばらつきがある。そのため、同一の形状であっても、木取り(板取り)の仕方や材の選定によって固有振動数及び音の減衰率が様々に変えることができ、多様な音色の楽器を作ることができる。木材は、他の材料に類を見ないこれらの特徴を持つため、現在も広く楽器用材として利用されている。
    • バイオリン属 - 胴体部分の表側(弦が張ってある側)にはスプルースが、裏側にはメイプルが好んで用いられる。なお、弓も木製である。
    • 木管楽器 - オーボエ、及びクラリネットにはグラナディラが好んで用いられる。ファゴットには、メイプルが好んで用いられる。現代のフルート及びピッコロには、洋銀、銀、金などが多く用いられているが、木製のものもあり、その多くには、グラナディラが好んで用いられる。
    • ピアノ - 音域の拡大に伴い、木材では強度が足りず、弦を張るフレームには鋳鉄が用いられるようになった。しかし、共鳴板部分にはスプルースが好んで用いられるし、他にも多くの部分に木材が用いられている。なお、チェンバロなど、俗にピアノの先祖とも言われる楽器にも、木材が多く用いられる。
    • 大正琴 - 詳しくは、大正琴に使用される木材を参照のこと。
    • ギター - 共鳴箱などに用いられる。

[編集] 彫刻素材

  • 木彫り
  • チェーンソーアートを施す素材

[編集] 船舶

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[編集] 航空機

木製の高性能軍用機としては第二次世界大戦で活躍したデハビランド・モスキートが有名である。また、現在でも世界最大の航空機として知られるスプルース・グースも主構造に木材が使用されている。軍用機以外にもグライダーにも木材は使用されており、木製モノコック構造のKa6シリーズが有名である。鋼管羽布張りの機体でも主翼の構造部は木材である。最近ではFRPモノコックの機体が主流になったが、機体の主翼桁は木材が使用されている。

[編集] その他

木材を加工した際に出た削りカスなどを固めて、木質ペレットのような燃料にすることもある。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月29日 (日) 06:14 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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