椅子
椅子の最新ニュースをまとめて検索!
椅子(いす)とは、人が座る際に使う道具あるいは家具の一種である。
目次 |
[編集] 概要
構造的には全ての椅子は座面を持つ。典型的な椅子は4本の脚と背もたれを持ち、しばしば、ひじ掛けがつく。
直に床に座るよりも立位へ移行しやすく活動しやすい。
また芸術や人間工学の対象ともされ、さまざまなデザインが考案されている。(→#種類、#デザイン)
椅子はある特定の人物の座席として用いられることから地位の象徴でもある[1]。
[編集] 種類
椅子の用途は作業するためと休息するための2つに分けられる。椅子は目的に応じて座る姿勢が異なることから、一般的には複数の用途にまたがって利用することができない家具として位置付けられており、用途に応じて複数の種類が存在する。
[編集] 一般的な椅子
- 安楽椅子
- ロッキング機能に加えて、背当て部分が倒れるなどのリクライニング(reclining)機能が加わった椅子の総称。ときにロッキングチェアと同義で扱われる場合がある。
- カウチ(couch)
- ソファーが正式な接客目的で使われるのに対して、ソファーより小型でプライベート目的で用いられる位置付けの長椅子。簡易的なベッドとして休息するために寝そべることができる。寝そべってポテトチップスを食べる怠惰な生活を指すカウチポテト族で知られるようになった。
- 事務用椅子
- 執務作業で用いる椅子の総称。支柱が一本で、複数に分かれた脚部の先に車輪がついていることが多い。ガス圧式と油圧式が一般的、少数ながらネジ式がある。
- パイプ椅子
- 鉄製のパイプとクッション材を組み合わせた、安価で大量生産を可能とした椅子。一般的に「パイプ椅子」という場合、折りたたんで平坦に出来るタイプのものを指すことが多い。
- アームチェア、肘掛椅子
- 肘掛けのある椅子。
- スツール(ストール、ストゥール:stool)
- 背もたれやひじ掛けのない椅子。英語では"Chair"と区別される。参考:英語版のStool
- ソファ(sofa)
- 接客目的で用いる弾力のある素材で作られている背もたれの付いた長椅子。表装はファブリックと呼ばれる布製や皮革製品がある。
- ベンチ
- 形状は横長だけでなく、樹木の周りに沿わせた円形のものもあり、複数の人が腰掛けることができるようにした長椅子全般を指す。野外に置かれることが多く、木・プラスチック・金属などでできている。一般に耐候性に優れた材質や表面加工をしたものが多い。
[編集] 特別な機能を持った椅子
- ロッキングチェア(rocker, rocking chair)
- 一般には椅子の脚の接地面側に橇状の湾曲した部材が取り付いており、重心を動かすことで前後に揺れる機能を有した椅子。
- 座椅子
- 日本の和室だけで用いられる脚のない特殊な椅子。背もたれの角度が調節できるものと座椅子を構成する合板などの素材による弾力性を生かしたものがある。肘掛けとして脇息(きょうそく)と共に用いられることが多い。
- 車椅子
- 歩行が困難な人が用い、進行するために両側に手押し車が付いた椅子。大抵の場合、折りたたむことができ、軽量化を図るために金属製が多い。
- 寝椅子
- 身体を横にすることができる椅子の総称。病院の診察室などで用いられることが多く、座った時の高さが通常の椅子と同じ高さになっていることから就寝用の家具であるベッドと区別する。
- マッサージチェア
- マッサージ機能がついた椅子の総称。電動モーターにより指圧球が上下し、筋肉のこった部分を揉みほぐす機能がある。近年では背筋を揉み解すだけでなく立ち作業による足のむくみをほぐすための機能なども加わり、プログラム化されたマッサージメニューが選択できる。家電メーカーによっては心臓の心拍に合わせて制御する機能を備えたものもある。
- ミルクスツール (milking stool)
- ヒモを付け壁に掛けることができる脚が3本の小さな椅子で牛の乳絞りの際に用いる。搾乳用腰掛とも言う。他の椅子が日本人向けでは座る高さが40cm程度に対して25cmと低い。
[編集] 番外
- 空気椅子
- 実際の椅子ではなく、大腿筋を強化する目的で背中を壁につけ仮想の椅子に座る姿勢を維持させるアイソメトリック運動(Isometric exercise)のひとつ。大腿筋の強化よりも膝関節に負担が掛かることが知られるようになり、用いられることがなくなった。無理な姿勢を強要することからシゴキとして用いられることがあった。
- 電気椅子
- 死刑執行に際して用いられる椅子で拘束具と各種電極が備わっている。日本では用いられていない。
- 玉座
- 王や貴族などの君主が公的な場所で用いる椅子。椅子であること以上に権威の象徴として用いられる。そのために豪奢な装飾が施されている場合がほとんどであるが、機能的には一般的に通常の四つ脚の椅子で、しばしば肘掛けが付く。また逆に「玉座」と言った場合に、それに座るであろう者の権威を暗喩している事もある。
[編集] デザイン
中世では王侯貴族などが権威を誇示するための椅子のデザインが発達した。中世キリスト教装飾に影響を受けた様式となっている。ゴシック、ルネサンス、バロック、ロココ、ディレクトワールなど、近世に入るまで続く。[要出典]
近代では実用性と芸術性を追求した機能的なデザインが発達する。伝統的には北欧やイタリアが有名であり、戦後ではイームズなどのアメリカ・モダンも有名である。
[編集] 有名なデザイン
- アアルト: フィンランドのアルヴァ・アールトによるデザイン。20世紀前半の北欧モダン。木製で曲線をいかしたシンプルなデザイン。
- イームズ (Eames): チャールズ・イームズによるデザイン。1940年代から80年代のアメリカ・モダンの代表。ハーマンミラー社が生産。
- ウェグナー
- ケアホルム
- ル・コルビュジエ
- マッキントッシュ
- 松村勝男: 藤肘掛け椅子(QA-90)、安楽椅子(T-5110)、ローコストチェア(T-0635B)
- ミース・ファン・デル・ローエ
- アルネ・ヤコブセン: セブンチェア(フリッツハンセン)
- 柳宗理: バタフライスツール(天童木工)
- リートフェルト
- Plastic Side Chair
|
アアルト。テーブルと椅子 |
チャールズ・イームズ。ラウンジチェア&オットマン |
アルネ・ヤコブセン。アント・チェア(1952年) |
|
|
アルネ・ヤコブセン。セブン・チェア(1955年) |
[編集] 人間工学からの視点
椅子は長時間使用することが多く、人間工学的な視点から構造設計されている。(→インダストリアルデザイン)
座面の高さは姿勢と作業性に最も大きな影響を及ぼす。座面が低いほど体全体は安定し、手先に力を入れやすい。例えば浴室の椅子がそれである。ただし、立位への移行が難しく、背中が丸まってしまうため長時間の使用は体に負担がかかる。一方座面が高い場合、上体の姿勢は良くなる。しかし下肢への負担は多くなる。作業性は高く、ほぼ立位であるため、歩行への移行もスムーズである。また座面の角度や柔らかさ、奥行きも重要な要因である。
事務作業など長時間にわたる利用の場合は背もたれが必須である。背もたれの角度や高さ、背もたれと座面の間の角度が考慮される。
バランスチェアーは、立位と正座の中間姿勢を実現した椅子である。その奇妙な外観にもかかわらず、腰への負担が劇的に改善される。事務作業向きの椅子といえる。
[編集] アジアのイス文化
西欧同様に中国は「イス文化」の歴史を持つ。中国では北方騎馬民族の北魏の風俗から椅子の普及が始まり、宋の時代に一般階層までいきわたった。 一方、日本や韓国では椅子をあまり用いない生活様式をしてきた歴史がある[2]。
[編集] 日本
日本では平安時代に身分によって、椅子、床子などが用いられることがあったが、広く継続・普及しなかった。屋外においては、戦場などで折りたたみ椅子(「床几(しょうぎ)」)や、また露天の茶店などでベンチに相当する椅子(「縁台(えんだい)」)は用いられた。ただしこれらは一時的に腰を掛けるものであり、普段は畳に直接座る生活習慣を持っていた。また、仏教寺院では曲彔が用いられる事もあった。江戸時代以前でも西洋と交流・交易のあった場所や、教会や洋館などでは用いられていた。
ロシアの使節プチャーチンの秘書ゴンチャロフは、1853年(嘉永6年)12月8日、長崎を訪れた際に見た日本人がいかに椅子に不慣れであるかを彼の著書『日本渡航記』(1857年)に書き記している。これによると、ロシアの使節団と幕府の要人との間でまず両代表による会見時の座り方をどのようにするかが話し合われたが、ロシア人が畳の上に5分も座っていられなかったのと同様、日本人も椅子の上に座ることができなかったという。日本人は椅子に座ることに「慣れないために足が痺れるのである」と書かれている[3]。このように、江戸時代までは椅子は一般には普及しておらず、そのため椅子に座るという生活習慣もなかった。
明治時代に入り文明開化を経ると学校や役場などでは椅子が用いられるようになったが、しかし一般家庭に普及するにはまだ時間がかかった。和室・畳文化の生活習慣の中では座布団などが椅子の役目を担っており、椅子を用いる必然性が低かったためである。その後、西洋文化の影響で洋間が取り入れられるようになると、一般家庭でも椅子が用いられるようになった。現代では学校や一般家庭をはじめ多くの場所で用いられている。
|
日本の昭和時代の学校の椅子(二十四の瞳映画村) |
[編集] 椅子に関連した小説など
- 人間椅子: 江戸川乱歩の小説
- 銀のいす: ナルニア国ものがたりの第4巻
- ぼくらの
- されど罪人は竜と踊る ヒルルカという椅子のヒロインが登場する。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
|
||||||||||||||

















