熱帯魚
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熱帯魚(ねったいぎょ)とは、観賞魚の形態の一つである。元来は熱帯地域に生息し、鑑賞目的に飼育する魚類を指す。そしてそれらの魚類を鑑賞目的で飼育する行為を単に熱帯魚と称する場合もある。その範囲の拡大から、熱帯域以外の地域に生息する魚類をこう呼ぶ例もある。熱帯地域の魚類の飼育であることから温帯である日本では屋外で飼育することは稀で、ほとんどが屋内での飼育となる。
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[編集] 概説
熱帯魚とは、本来は南米や東南アジア、アフリカなど熱帯地域の淡水域に生息する美麗な魚類や奇特な魚類を飼育する趣味、およびその対象となる魚類を指す言葉であった。しかし、技術の進歩やそれによる普及などを通じ、次第にその対象が広まった結果、本来の意味を逸脱する例が増えている。今日では屋内鑑賞用の魚類のうち金魚、メダカなど一定のジャンルに属する魚類を除くもの全てを指すことも少なくない。すなわち熱帯魚とは、いわゆる屋内観賞魚一般を表す慣用語であり、すべてが熱帯原産というわけではない。極端な場合、チョウザメなど低水温に生息するものも「熱帯魚」と呼ばれることもある。
海水魚の飼育は、古くは淡水魚の飼育に比べて格段に敷居が高く、元来は全く異なるジャンルと認知されていたが、これも技術革新による普及の結果、いつしか名称的には熱帯魚に飲み込まれた形である。現在の熱帯魚は、生息地の水質により分類すれば、海水魚、淡水魚及び河口などの汽水魚に分かれる。もっとも、汽水魚は淡水魚として扱われることが多い。
さらに、「熱帯魚をしている」という場合、飼育の対象は必ずしも魚類のみとは限らず、カメなどの爬虫類、アホロートル(ウーパールーパー)やツメガエルなどの両生類といった水棲小型~中型脊椎動物、エビやカニなどの甲殻類、イソギンチャクやサンゴ、クラゲなどの刺胞動物、ウミウシなどの軟体動物、その他様々な分類群の水棲無脊椎動物を含み、また、単に水草栽培のみを行っている場合も、第三者からは「あの人は熱帯魚をしている」というように言われる。
[編集] 歴史
[編集] 主な熱帯魚の分類
ウィキペディアに項目のある熱帯魚の一覧。目分類ごとに示してある。
- エイ目 Rajiformes
- チョウザメ目 Acipenseriformes
- ケラトドゥス目 Ceratodontiformes
- プロトプテルス目 Lepidosireniformes
- ポリプテルス目 Polypteridae
- セミオノートゥス目(ガー目) Semionotiformes
- ガー(ガーパイク)
- アミア目 Amiiformes
- オステオグロッスム目(アロワナ目) Osteoglossiformes
- コイ目 Cypriniformes
- カラシン目 Characiformes
- ナマズ目 Siluriformes
- スズキ目 Perciformes
- ベラ亜目 Labroidei
- キノボリウオ亜目 Anabantoidei
- ハゼ亜目 Gobioidei
- カダヤシ目 Cyprinodontiformes
- ダツ目 Beloniformes
- トウゴロウイワシ目 Atheriniformes
- タウナギ目 Synbranchiformes
- フグ目 Tetraodontiformes
[編集] 熱帯魚の飼育方法
[編集] 器具・設備
- 水槽
- ガラス製が一般的であるが、小型のものではプラスチックの一体成型のもの、大型のものはアクリル板を貼り合わせたものも多い。大きさは様々であるが、いわゆる60cm水槽がほぼ標準的な大きさとされる。これより小さいものは扱いやすいが水質管理等に難点がある。より大きいものは扱いや設置が困難になる。ガラス製の長所としては、透明度を長期間保つことができる点があり、短所としては大きくなると重量が大きくなり過ぎることと、強い衝撃により破損の恐れがある点が挙げられる。これに対しアクリル製では、素材となるアクリル板は比較的軽く加工が容易である反面、ガラスよりも経年劣化が起きやすく、比較的柔らかい為に傷が付き易くプレコなど固い歯で物の表面についたコケをこそぎ取る性質のある魚種を長期間飼育すると表面に細かい傷が多数発生し『曇る』場合もある。また、アクリルの強度が十分でない場合、水圧で変形し数年で細かい「す」が入ることがある。
- 濾過器
- 水中内のゴミを漉し取ったり(物理濾過)、バクテリアの力により魚類の排出する有害物質(主にアンモニア)を硝酸塩などの比較的無害な物質に変化させる(生物濾過)する装置。
- 上部フィルター方式
- 水槽の上部に設置した濾過装置にポンプでくみ上げた水を通過させ、重力を用いて濾過し水槽に落下する。現在の日本では中型の水槽では最も一般的な方式である。
- 外部フィルター方式
- 水槽の外部に濾過装置を置く。濾過された水は、ポンプの力で水槽内に還流させる。パワーフィルタとも呼ぶことが多い[誰?]。
- 内部フィルター方式
- 濾過槽と一体化したポンプを水槽内部に設置する。後述の投げ込み式フィルターとは区別される。
- 底面フィルター方式
- 水槽の底面に敷き詰めた底床(砂利)に、エアポンプなどで循環させる構造。安価で手軽だが、濾過能力は高いと言われている。ただし底砂に溜まるゴミを取り除くことが難しく、掃除が難しい。
- オーバーフロー方式
- 水槽を2階建てにし、1階の濾過槽からポンプで強制的に2階へ汲み上げる。2階であふれた水は1階の濾過槽に落ちてくる仕組み。やや高価で場所をとるが、濾過能力は高い。
- 外掛けフィルター方式
- 水槽の布置に取り付けて簡易・小型のオーバーフローを実現するろ過装置。安価・手軽であり小型水槽に良く用いられるが、濾過能力は低い。
- 投げ込みフィルター方式
- ろ材を入れたケースを水槽内部に設置し、エアポンプから送られてくる空気で循環させる。設置が簡単で、初心者向けの小型水槽セットに付属することも多い。
- 上部底面併用フィルター方式
- 上部フィルターと底面フィルターを組み合わせた方式。双方の能力を用いることとなり、濾過能力はとても高い。物理濾過と生物濾過とを上部と底面のどちらで行うかで2通りの方法がある。物理濾過を上部で行う方が手入れの面で楽である。
- 濾過材
- バクテリアの住処として濾過器に入れる。大磯砂からセラミックス製までさまざま。
- 照明器具
- 魚類が美しく見えるように工夫されたライト。また、水草の生育にも不可欠。蛍光灯が一般的。また、水草を多く入れた水槽ではより多くの光量を確保する為水銀灯やメタルハライドランプを用いる事もある。
- ヒーター
- 保温装置で、冬季に水温を一定に保つために使用する。魚が触れて火傷をしないように、特に物に張り付く習性のある魚を飼育している場合はカバーを付ける事がある。また、ヒーターやセンサーを噛み砕いたりして破壊してしまうような大型魚の飼育では水槽の角に通水性のある囲いを作りそこに設置する場合もある。濾過をオーバーフローで行う場合は濾過槽内に設置できる。またかつては外部フィルターのホースに接続出来るヒーターも存在した。
- サーモスタット、ヒーター分離型
- サーモスタットとヒーターがそれぞれ別売りになっており、ヒーターをサーモスタットに接続して使用する。ヒーターが故障してもヒーターのみの交換で済むメリットがある。ヒーターは専用の物を使用し、またこれはサーモスタットに接続しないで通電すると際限なく水槽内の水を加熱してしまう。水槽内にヒーター本体とサーモスタットの温度センサーの両方を設置するため、小型水槽では一般的ではない。
- サーモスタット、ヒーター一体型
- サーモスタットとヒーターが一体となっており、そのままコンセントに差し込むだけで使用可能。温度を指定するダイヤル付きのボックスが付いている物と完全にヒーター内にサーモスタットを内蔵した物がある。後者は温度の指定が自分で出来ない(大抵25℃前後に保つようになっている)。小型水槽ではこちらがよく用いられる。ヒーターが故障した場合は例えサーモスタットに異常が無くとも交換となる。
- パネルヒーター
- 水槽の下にひいて使う。爬虫類の飼育等でも用いられている。主に通常のヒーターが入らないような小型水槽で飼育している場合(ベタの飼育等)に用いられる。
- クーラー
- 夏場に水温が上がり過ぎないようにする装置。専門店等でしか取り扱っていない場合が多い。同じく水温上昇を防ぐものとして、小型のファンで気化熱を利用して冷却するものがある。こちらを使用する場合は水槽の設置場所の湿度を下げる工夫をしないと効果が発揮されなくなる。
- 温度計
- 水温管理に使用。サーモスタットの誤動作や夏場の水温上昇等もあるので、時折見る必要がある。アナログ式(アルコール式)とデジタル式がある。以前は水槽の外側に貼り付ける物も存在した。
- カルキ抜き
- 水道水に含まれる魚類にとって有害な塩素を中和させる薬品。
この他、以下のものも重要である。
- 水草
- 鑑賞の際の視覚効果だけでなく、水槽内の窒素、リン酸等を吸収をするために水質の安定をもたらし、また魚の隠れ家になったり、卵床になる等の効果がある。一方、枯れた水草は、水質を悪化させる。中には、水草を食べてしまったり、砂をかき混ぜ、囓ってしまう等水草と共存できない魚もある。
- 砂
- 底床(ていしょう)材とも呼ばれる。これも老廃物等をその中に抱え込む等、水質安定に大きな意味がある[要出典]。底面式濾過装置の場合、濾過装置の一部をなす。サンゴ砂等、ペーハーを変化させるものもあり、選定には外観だけでなく特性も十分考慮すべきである[1]。
- 大磯砂
- 一般的な砂であり、ろ材としても用いられる。かつては神奈川県の大磯海岸で採取されていたためこの名がある。現在は大磯での採取が禁じられたため他の場所から採取している。
- 川砂
- 大磯砂よりも粒が細かい。白っぽい物が多い。白色に近い砂を敷いて長期間飼育していると魚の色が薄くなる「色飛び」が起こる恐れがあるので注意。
- ソイル
- 土を低温で焼き固めた粒状のもの。主に水草育成のために用いられるが、大抵の商品が水質を弱酸性に保つ作用があることからこの水質が好ましい魚種を飼育する場合にも用いられる。元が土である為に時間の経過により団粒構造が失われ泥状になっていく。このためある程度の期間が経過すると交換を行う必要がある。
[編集] えさ
- 人工餌(フレーク)
- エビ、魚肉、穀類などを魚油などで練って乾燥させたもの。日常的にはほとんどこれがあれば飼育に事足りる。魚の遊泳域は、その性質により上層・中層・下層に固まりやすいので、これらに対応して人工餌も浮上性のものと沈下性のものがある。また食性に合わせ肉食魚や草食魚用飼料、形状も顆粒状、フレーク状、タブレット状等の種類がある
- クリル
- オキアミを乾燥させたもの。エビの殻に含まれる色素により、魚の色を良くし観賞価値を高める(色揚げ)に効果があるとされる。
- アカムシ
- ユスリカの幼虫。非常に食い付きは良いが、消化不良を起こしやすい。
- イトミミズ
- 泥中に住む環形動物の一種。こちらも食いが良い。その代わり外部から有害物質を持ち込んでしまう場合もある。
- ブラインシュリンプ
- ソルトレイクなどの塩湖に住むプランクトンの一種。幼魚のエサなどに用いられることが多い。普通は乾燥卵の状態で販売され、それを塩水に入れて孵化させ魚に与える。塩湖に住む為淡水水槽内では生存することが出来ず、食べ残しは死骸となり、量によっては水質に影響を及ぼす恐れがある(特に小さいケース内で稚魚を育成する時)。すでに孵化した状態のブラインシュリンプを冷凍させたものも販売されている。
- 生き餌
- メダカ、小赤(小型の和金)、コオロギなど。ガーパイクやピラニアなど、肉食の魚に用いる。人工飼料よりも食い付きが良いことが多いが、生き餌をストックしておく容器や手間が必要となる。
[編集] 熱帯魚の負の側面
- 闇放流
- 大型魚の稚魚を購入し、その後成長して魚の大きさに合った設備が整えられずに飼育しきれなくなったり、繁殖が極めて容易な種(グッピー等)が増えすぎて持て余したり、単に飼育に飽きた飼い主(アクアリスト)が自分では始末できずに河川や湖沼にこれを放流すること。条件によってはそのまま定着し勢力を拡大することもある。日本におけるブラックバス・ブルーギル問題などと同じく、これにより生態系に悪影響を与え、固有種の絶滅を招くこともある。
- ハイブリッド
- ハイブリッドとはそれぞれ異なった種同士による掛け合わせで生まれた魚のこと。自然界ではありえない掛け合わせが行われ、これが新種として流通する場合がある。しかしこれはブリードとしての新種として流通にのる為、今の所大きな問題ではない。しかし自然界に存在しない種を自然界に放流したり、闇放流の結果に野生種との間に生まれるハイブリッドは大きな問題となっている。
- 乱獲
- 特定の魚種が人気上昇により業者等による乱獲の対象となることがある。希少種が対象になると、それが原因で絶滅を招く恐れもある。また、希少種となった一因が乱獲にあると考えられるケースもある。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 月刊アクアライフ




