番号ポータビリティ

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番号ポータビリティ(ばんごうポータビリティ)は、携帯電話固定電話等の電話の利用に際して、契約している電話会社(電気通信事業者)を変更しても、電話番号は変更しないまま、継続して利用できる仕組みである。番号持ち運び制度とも言われる。また、携帯電話については、MNPMobile Number Portability)とも呼ばれる。

利用者の電話番号による囲い込みの防止により、サービスの向上・料金の低減を目指すために行われる。

目次

[編集] 共通事項

[編集] 運用

運用を行うために、次のことを定める必要がある。

  • 費用の回収方法 : 利用者と事業者相互間分担のあり方。前事業者の未収料金の回収など。
  • 接続料金の精算方法 : 経由する電話交換機電話回線・電話番号データベースの利用料金など。
  • 運用ルール : 利用者の意思確認・利用者情報の事業者間の引継ぎ・電話番号データベースの更新など

[編集] 問題点

次のような問題点も指摘されている。

  • システムの構築に多額の費用がかかる。
  • 結果的に、競争の激化により事業者の経営問題が生じる。
  • 結果的に、強引・違法な営業活動の遠因となる(日本ではマイライン等でも問題になった)。

[編集] 電話番号割り当て

[編集] 二重番号方式

通常の電話番号計画で移転先に割り当てられた電話番号を接続に用いるもの。電話番号の消費が倍となる。

[編集] ルーティング番号方式

通常の電話番号計画と独立したルーティング専用の番号を用いるもの。電話番号の割り当てを節約できる。

日本では、携帯電話事業者間の双方向のものでの利用が2006年10月24日から実施されている。また、NTT東西の固定電話からの片方向のものが電話番号枯渇の解消のため2007年2月1日に変更された。

ルーティングに使用される番号としては、中継用として割り当てられた事業者識別番号・その事業者に割り当てられている市外局番+市内局番の形式・代表的な電話番号の全桁などが使用され、それにより発信者がダイヤルした番号を通知すべき交換設備を選択する。

[編集] 電話番号のデータベース管理

電話番号と移転先とを関連付けるデータベースの管理法には次のようなものがある。

  • 電話番号帯を割り当てられた事業者がデータベースを持ち、移転先事業者を管理し他事業者からの問い合わせを受け付ける。複数回の移転の場合でも履歴を番号帯管理事業者が管理し、無駄な問い合わせを繰り返さないようになっている。日本ではこの方式。
  • 事業者が個別またはいくつかの事業者で共同で、全ての番号を管理するデータベースを運営する。その番号を利用する事業者がその全てへ登録を行う。
  • 事業者が拠出した基金で集中管理データベースを運営し、全てのルーティング問い合わせを受け付ける。北米電話番号計画での方式。

[編集] 接続方式

発信元電話交換機から、移転先への接続方式として次のようなものが有る。

[編集] 転送方式

転送方式(Onward Routing)は、前進ルーティングとも呼ばれる。

  1. 発信元からのポータビリティ番号を管理する交換機へ接続する。
  2. 移転元交換機から移転先交換機へ接続する。

電話番号を管理する交換機のみの改修でサービス可能であるが、冗長な接続経路となるため、回線使用料が高くなる場合が多い。

[編集] リダイレクション方式

リダイレクション方式(Call Dropback)は、呼び戻し方式とも呼ばれる。

  1. 発信元からポータビリティ番号を管理する交換機へ接続する。
  2. 移転された番号である場合移転先電話番号が移転元交換機から発信元へ通知される。
  3. 一旦回線を開放した後、発信元の電話交換機から移転先電話へ直に回線接続を行う。

発信元交換機と電話番号を管理する交換機とにおいて、電話番号取得などの仕組みの構築が必要である。最適化された接続経路となるため、回線使用料が安くなる。

[編集] 開放・データベース問い合わせ方式

開放・データベース問い合わせ方式(Query on Release)は、集中管理電話番号データベースを用いるものである。

  1. 発信元からポータビリティ番号を管理する電話交換機へ接続する。
  2. 移転された番号である場合、一旦回線が開放される。
  3. 発信元交換機が集中管理電話番号データベースへ移転先を問い合わせ取得する。
  4. 発信元の電話交換機から移転先電話へ直に回線接続を行う。

集中電話番号データベースの構築・運用が必要である。

[編集] ダイレクト

ダイレクト方式(All Call Query)は、全ての呼で集中管理電話番号データベースへ問い合わせを行うものである。

  1. 発信元交換機が集中管理電話番号データベースへ移転先を問い合わせ取得する。
  2. 発信元の電話交換機から移転先電話へ直に回線接続を行う。

集中電話番号データベースの構築・運用が必要であり、全ての通話で番号問い合わせを行うためデータベースの負荷が高くなる。発信元交換機と集中番号データベースと移転先交換機との情報伝達のみで接続操作が可能である。

[編集] 固定電話番号ポータビリティ

地域 通常電話番号 着信課金 備考
開始 方式 開始 方式
データーベース 接続 データーベース 接続
イギリス 1996 5 番号帯管理事業者別 リダイレクション 1998 3 集中 ダイレクト
アメリカ合衆国 1997 10 集中 ダイレクト 1993 5 集中 ダイレクト
スウェーデン 1999 7
イタリア 2000 1 2000 1
日本 2001 3 番号帯管理事業者別 リダイレクション 2001 3 番号帯管理事業者別 リダイレクション
オーストラリア 2007 4
大韓民国 2008

[編集] 日本の状況

固定電話の番号ポータビリティは、2001年3月から始まっている。

が開始されている。

[編集] 携帯電話番号ポータビリティ

[編集] 各国の状況

地域 開始 利用率 状況
シンガポール 1997年4月    
イギリス 1999年1月 5%  
オランダ 1999年1月 5%  
香港 1999年3月 86.3% サービスに差が無いため利用率が高いとされている
スイス 2000年3月    
スペイン 2000年12月 1.6%  
デンマーク 2001年7月 11%  
スウェーデン 2001年9月 5%  
オーストラリア 2001年9月 8.6%  
ノルウェー 2001年11月 14.8%  
イタリア 2002年5月 1.6%  
ベルギー 2002年10月 2.2%  
ドイツ 2002年11月 0.47%  
アイルランド 2002年11月 2.2%  
フランス 2003年6月 0.1%  
アメリカ合衆国 2003年11月    
大韓民国 2004年1月 0.9% 違法な勧誘による問題も生じた。
ギリシャ 2004年3月    
オーストリア 2004年5月    
台湾 2005年10月    
日本 2006年10月   詳しくは下記の項目を参照。
※利用率=導入時から2004年までの累積の利用率

アメリカ合衆国では、事業者の反対で数回延期されたが、2003年11月24日から固定電話-携帯電話・携帯電話-携帯電話相互間で義務化されている。同じ電話番号計画である固定電話から携帯電話への変更も多く行われている。

[編集] 日本の状況

日本では、2006年10月24日から携帯電話番号ポータビリティが実施された。通称はMNPMobile Number Portability)。Eメールアドレスや有料コンテンツは移転されない。また、諸手続きや切り替え費用の発生、ソフトバンクモバイル以外は他社へ切り替えることで長期継続割引が切れることになる。これに先駆けて2005年10月1日付けでKDDI本体に吸収合併されたツーカーでは、10月11日よりツーカーから同じKDDIのauへの同番移行が可能となっている。MNP実施により携帯電話3社のシェア争いが激化した。2006年11月8日の報道では、10月24日から31日までの期間中のMNPを利用した移転件数は、KDDI(沖縄セルラー電話を含む)が98,300件増、NTTドコモは73,000件減、ソフトバンクモバイルが23,900件減となった。これは後述の#ソフトバンクモバイルの切り替え手続きの停止の影響を織り込んだ数字であり、MNP切り替えの緒戦はKDDI/沖縄セルラー電話(au)の一人勝ちとなった。ただし2007年夏~2009年夏ごろまでは事実上ソフトバンクモバイルの一人勝ち、それ以降はNTTドコモの一人勝ちと、年度により状況は大きく変化している。

なお、ドコモ・ヴァーチュ間、ソフトバンクモバイルディズニー・モバイル間、KDDI/沖縄セルラー電話ECナビケータイ間のように、MNO・MVNOの関係にある事業者間の移行を行う場合であっても、「携帯電話番号ポータビリティ」で移行する手続きが必要となる。

[編集] 問題点

携帯電話会社の移行に関しては、次のような問題点が指摘された。

  • メールアドレスの継続が出来ない。必ずドメイン名が変わるため、メールアドレスはポータビリティ制度の対象外と決定した(ただし、「KDDI/沖縄セルラー電話←→ECナビケータイ」間については、両社がMNO・MVNOの関係柄で、なおかつ同じアドレスのドメインを扱うと云うこともあり、例外的に継続可能)。
  • 料金体系、サービス体系(絵文字含む)、コンテンツ体系が異なる。有料コンテンツが継続利用できない場合が多い。長期継続利用による料金の割引制度の年数が、全て無効(1年目からやり直し)となる[3]
  • 電話番号のみで電話会社を認識する(電気通信番号(電話番号の上6桁)で旧電話会社の電話番号と認識される)サービスの一部が利用できない(NTTドコモのみ着信可能の列車公衆電話等)。

[編集] 各社の対応状況

携帯電話会社 契約形態 転出(ポートアウト) 転入(ポートイン)
NTTドコモ 通常契約(FOMA)
NTTドコモ 通常契約(mova) ×
NTTドコモ プリペイド(ぷりコール) ×
au(KDDI/沖縄セルラー) 通常契約(CDMA 1X WIN)
au(KDDI/沖縄セルラー) 通常契約(cdmaOne,CDMA 1X) ×
au(KDDI/沖縄セルラー) プリペイド(ぷりペイド)
ソフトバンクモバイル 通常契約(SoftBank 3G)
ソフトバンクモバイル 通常契約(SoftBank 6/5/4/3/2) ×
ソフトバンクモバイル プリペイド(3G:プリモバイル)
ソフトバンクモバイル プリペイド(2G:SPS/Pj) ×
ツーカー 通常契約 ×
ツーカー プリペイド(プリケー) ×
ディズニー・モバイル 通常契約
イー・モバイル 音声を伴う通常契約

[編集] ソフトバンクモバイルの切り替え手続きの停止

MNP制度の開始直後の週末の10月28日、ソフトバンクモバイルで、新規加入、契約内容の変更、解約などの受け付けを全面的に停止する事態となった。翌10月29日にも切り替え手続きを停止する事態が発生した。当初、ソフトバンクモバイルは自社同士の通話料や電子メールを無料にする契約プラン(予想外割ゴールドプラン)が効を奏し、他社からの切り替えが殺到したものとアナウンスした。10月30日には孫正義社長が記者会見で謝罪した。原因として、家族割引が適用されている利用者の他社への転出手続き処理の渋滞に加え、自社利用者の新契約プランへの変更など多くの処理が重なったためであると発表した。[4]しかし、実際はソフトバンクモバイルからNTTドコモもしくはauへの転出が殺到したことが原因とする見方が強い。[5]

[編集] KDDI の切り替え手続きの停止

2006年12月17日、auのMNP転出入受付でシステムトラブルが発生し、午後4時頃よりMNPによる転出入の受付を停止する事態となった。ただし、MNPを利用しない新規契約等は通常通り受付された。業務終了の午後10時まで回復せず、翌日から通常通り受付業務が再開された。この件に関する報道 [6] によると、au 側のシステムの負荷分散の問題による障害とされている。 ソフトバンクモバイルの障害発生の際と同じく、総務省より改善策などの報告がKDDIに対し求められた。

また、2007年11月9日には、ツーカーの情報システム障害により一時的にMNPでの転出が不可能になったが、これは同日中に回復している [7]

なお KDDI グループは、ツーカーからauへの同一番号移行についてもサービス開始当初に一時期手続きを停止したことがある[8]

また、2009年5月18日にも、システムトラブルによりMNPの転出・転入が出来なくなるトラブルが発生している。[9]KDDIグループのMNP関連のトラブルは通算3度目(グループ内移行も含めると4度目)で、2009年5月時点で、全事業者の中で最多である。

[編集] NTTドコモの切り替え手続きの停止

2007年3月31日、19時40分ごろより業務終了まで、転出入受付を一時停止した。原因として各種受付処理件数の増大に伴う、ドコモ社のシステム処理能力不足を挙げている。翌日には通常通り受付を再開した [10]。 これで3社とも自社システムの問題による受付停止を一度は経験したこととなる。

[編集] PHS電話番号ポータビリティ

2008年6月現在のところ、日本ではPHSは制度の対象外となっている。まず、携帯電話とは電話番号の番号帯(070)が違うため、ポータビリティの接続方式に難があるとされたためである。

また、音声PHSの存続事業者は、日本国内ではMVNOを除けばウィルコムのみとなっており(MVNOもウィルコムのMVNOである。- J:COM MOBILE)、PHS番号帯内での番号ポータビリティ検討の意味自体も、現在はなくなっている。

総務省の研究会「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」においても、当時KDDI傘下であった旧DDIポケット(現ウィルコム)やNTTドコモに事業吸収状態のドコモPHSは、PHS事業としての代表者を送り込む場もなかったようである[1]

なお、制度としての番号ポータビリティではないが、アステル沖縄からウィルコム沖縄への事業承継においては、番号帯も承継し、結果としてユーザーの同番移行が可能になった。ドコモPHSの2008年1月7日撤退に当たり、同じPHS電話番号を2008年1月8日以降、ウィルコム・ウィルコム沖縄に引継ぎが可能となった。[2] いずれも結果的に同番移行が可能となり、ユーザーの便宜が図られた例である。


[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ フリーアクセスのNTT東日本⇔NTT西日本間などを除く。(NTT東日本高度INサービス:FAQより)事実上は、近年まで「0120」番号を独占し、知名度などから着信課金サービスで寡占状態にあったNTTコミュニケーションズの「フリーダイヤル」から、「0077」や「0088」などといった電話会社の識別番号を使わざるを得なかった、他社の着信課金サービスへの移行を進めやすくする(競争条件の平準化)目的が強い。
  2. ^ かつて「フリーナンバー」という商標で着信課金サービスを発売していたようであるが、現状では不明(NTTコミュニケーションズの「ナビダイヤル」対抗商品として一時期のみ発売されたKDDIの「アクセスコール」や、旧日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)の「アドコール」と同様のケースと思われる)。現在は、主としてFull-IP パッケージ(直加入サービス)の一部として着信課金サービスを販売している模様(導入事例・株式会社マトリックスより)。2007年4月現在の契約約款(電話サービス・直加入サービス共に)においても着払電話サービスの記載有り。
  3. ^ ただし、ソフトバンクモバイルは、他社利用期間を「ソフトバンク利用期間」として引き継ぐサービスを行なっている。請求書などでの契約期間証明が必要。
  4. ^ 孫社長がお詫び、ソフトバンクのMNPシステム障害で
  5. ^ ソフトバンクモバイル MNP新規受付停止→再開→再停止の原因は、ソフトバンク脱北民が原因
  6. ^ KDDIがMNP業務を一時停止、18日から通常通りに
  7. ^ ツーカー、システム障害でMNPでの転出ができない状況に
  8. ^ ツーカーからauへの乗換サービス、申込受付を一時中断
  9. ^ KDDI、携帯電話の加入受付システムに不具合
  10. ^ ドコモのMNPシステムが3月31日に一時停止、現在は復旧

最終更新 2009年8月14日 (金) 21:59 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【番号ポータビリティ】変更履歴

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