禁煙
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禁煙(きんえん)とは、公共の場所や職場などでの喫煙を禁止する、若しくは喫煙者が喫煙、喫煙習慣を止めることである。
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[編集] 概要
喫煙の禁止としての「禁煙」としては飲食店や交通機関、さらには路上などの公共の場、もしくはオフィスなど職場での喫煙を禁止するものである。個別の方針として決定されている場合と、法律により定められている場合とがある。(→嫌煙権)
喫煙習慣を止める「禁煙」について、能動的にやめる場合を「断煙」という場合がある。
過剰な禁煙運動に対しては批判も多い。(→禁煙ファシズム)
[編集] 法律・条例
[編集] 日本
- 路上喫煙禁止条例
- 未成年者喫煙禁止法(親や監督者,販売者に対する罰則)
- 健康増進法(受動喫煙の防止、第25条)[1]
- 労働安全衛生法(快適な職場環境の形成、71条の3第1項、指針第2の1の(1))
- ビル衛生管理法(浮遊粉塵の基準)[2]
- 鉄道営業法(喫煙禁止車両、34条1号)
- 旅客自動車運送事業等運輸規則(禁煙表示のある自動車、53条6項)
- 海上運送法施行規則(船舶内の禁煙場所、23条の14第2号)
- 各地の火災予防条例(禁煙場所)
- 興行場法施行条例(禁煙表示、喫煙所)
[編集] 世界各国
詳細は「[[List of smoking bans 60カ国以上の禁煙政策]]」を参照
[編集] アメリカ
詳細は「[[アメリカの禁煙政策]]」を参照
アリゾナ州は、アメリカ合衆国で初めて1973年に、公共の場所における喫煙を包括的に制限する法律を成立させた。カリフォルニア州は、1994年に働く場所での喫煙を禁止する法律を成立させ、1998年には壁で囲まれた場所における喫煙を完全に禁止する法律を成立させている。「壁で囲まれた場所」とは主に店舗・室内または空気の流れない場所のことであり、街路などはあてはまらない。また多くのレストランやバーでは室外に喫煙所を設置している。
ニューヨーク州、カリフォルニア州、ハワイ州を含む22州(2008年2月1日現在)、及びワシントン特別区では、レストランとバーにおける喫煙が全面的に禁止されている[3]。
カリフォルニア州ベルモント市がアパートやマンションなどといった個人施設にまで禁煙する条例が可決し2009年から施行される[要出典]。
[編集] その他
アイルランドは、2004年3月に世界で初めて国として、壁で囲まれた働く場所を完全に禁煙とした。この禁止は、現在では、自由意志を基盤として、建物の外に広がっている。例えば、ダブリン空港では建物の入り口でも、喫煙は許されておらず、喫煙が許される標識のあるエリアにおいてのみ、喫煙は可能である。アイルランドでは、印刷物、テレビ、ラジオ、掲示板におけるタバコ広告の禁止に加え、2008年には店における広告も禁止され、タバコを店に置く時も見えない場所に置かねばならなくなる。
イギリスもアイルランドに追随し、2007年7月1日に禁煙法を施行させた。フランスは、2008年に禁煙法を成立させ、室内禁煙になった。デンマークは、2007年8月1日より、酒場やクラブやレストランにおける禁煙が開始している。スウェーデンも同様の禁煙法を2005年7月1日に施行させた。オランダとルーマニアは、2008年7月1日に酒場やクラブにおける禁煙を開始する予定である[要出典]。ただし、いずれも喫煙所では喫煙可能である。
ブータンは、2005年初めより世界で唯一、タバコの販売と喫煙を禁止している。(自宅で喫煙することは可能だが100%の関税がかかる。)
香港では、2007年1月1日に、オフィスやレストラン等の公共施設での喫煙を全面的に禁止する「喫煙公衆衛生改正条例」が施行。
[編集] 歴史
禁煙それ自体は歴史的に古く、1575年にメキシコで禁煙条例が出され、メキシコの教会またスペインのカリブ植民地で禁煙が命じられた。またオスマン帝国でも1633年、喫煙を禁止した。同時期に欧州でも喫煙者を教会から破門すべきかどうか議論された。16世紀後半にはオーストリアやバヴァリアで、また1723年ベルリンで、1742年ケーニヒスベルクで禁煙条例が出された。こうした禁煙条例は、1848年の革命で廃止された。
国民規模で行われた禁煙運動はナチスによって行われた。ナチスは大学、郵便局、軍用医院などが禁煙にされた。 第二次世界大戦後から現在にいたる禁煙運動は主にアメリカ合衆国からはじまっている。
日本では、煙草の伝来した慶長十年ごろより喫煙習慣がひろまった。当初は薬として喫煙されていた。「当代記」慶長十三年十月の条に
此二三ヶ年以前より、たばこと云もの、南蛮船に来朝して、日本の上下専レ之、諸病為レ此平愈と云々
とある。
林羅山は煙癖があったと見えて、佗波古(たばこ)希施婁(きせる)に関する文章を執筆している。「莨※文」では
拙者、性癖有レ時吸レ之、若而人欲レ停レ之未レ能、聊因循至レ今、唯暫代レ酒当レ茶而已歟
と記し、酒の代わりとしている。
幕府は、失火の原因となり、煙草の植附けは田畑を荒すなど弊害あるものとして、慶長十四年七月、たばこを禁止した。
「タバコ法度之事、弥(いよいよ)被レ禁ト云々、火事其外ツイエアル故也。」
穂積陳重はこれを日本における禁煙法令の初めとしている[4]。
慶長十七年八月、幕府は、耶蘇教、屠牛に関する禁令とともに、煙草に関する禁令を出した。
一、たばこ吸事被二禁断一訖、然上は、商賣之者迄も、於レ有二見付輩一者(は)、双方之家財を可レ被レ下、若(もし)又於二路次一就二見付一者、たばこ並売主を其在所に押置可二言上一、則付たる馬荷物以下、改出すものに可レ被レ下事。 附、於二何地一も、たばこ不レ可レ作事。 右之趣御領内江 急度可レ被二相触一候、此旨被二仰出一者也、仍如レ件。 慶長十七年八月六日
こののちも幕府はしばしば喫煙および煙草耕作の禁令を出したが[5]、その頃の落首に、
きかぬもの、たばこ法度に銭法度、玉のみこゑにけんたくのいしや
というものがあり、完全に統制されていたわけではなかった。
慶長の幕府の喫煙禁止令に応じて薩摩の島津藩でも禁煙が命令された。薩摩ははやくより南蛮との貿易をはじめており、喫煙風習もひろがっていた。
文之は「南浦文集」で次のような喫煙と頽廃に関する詩を残している。
風俗常憂頽敗※ 人人左衽拍二其肩一 逸居飽食坐終日 飲二此無名野草煙一
島津藩の禁煙令については、「崎陽古今物語」に記事がある。
竜伯様(島津義久)惟新様(島津義弘)至二御代に一、日本国中、天下よりたばこ御禁制に被二仰渡一、御国許(くにもと)之儀は、弥(いよいよ)稠敷(きびしく)被二仰渡一候由候処に、令(せしめ)二違背一密々呑申者共有レ之、後には相知、皆死罪に為レ被二仰渡一由候云々
これによれば、島津藩では喫煙者を死刑に処していた。しかし、抑止力はなかったとはみえ、同書、前掲文の続きに、
執着深き者共は、やにをほそき竹きせるに詰(つめ)、紙帳を釣り、其内にて密々呑為申者共も、方々為有レ之由候
とあり、さらに後年、薩摩煙草は名産物になった[6]。
[編集] 予防
世界では毎年約300万人が喫煙を原因として死亡している[要出典]とされるが、統計数字の信頼性およびデータ間の因果関係については議論が続いている。たとえばJ・エンスロームは、禁煙運動を推進するものらは、学説やデータを教義(ドグマ)としており、科学が科学である特性のひとつである反証可能性を許さないこと、また科学的な仮説はあくまで価値中立的であることなどを指摘したうえで、かつてソ連政府がルイセンコの提唱した学説のみを唯一正統の学説とし他の学説を弾圧し粛清したことを想起しており、過剰な禁煙運動をスターリニズムに比している[7] [8] 。
世界保健機関(WHO)では禁煙を強く推進しており世界禁煙デー(毎年5月31日)を定めている。なお、1993年にWHOの国際傷害疾病分類第10版(ICD-10)において、喫煙は「精神作用物質による精神及び行動の障害」に分類されている。
子どもに対する禁煙教育は効果がある[要出典]。欧米では積極的に禁煙教育が行われて成果を上げている[9][10]。日本でも禁煙教育の試みがある[11][12]。
[編集] 疾患
禁煙でリスクが低下するとされるために予防医学の観点で、禁煙が望まれている。
[編集] ニコチンと禁煙
自力で禁煙できる人もいるが、含まれるニコチンの嗜癖性のため、禁煙したい人の多くは禁煙困難とされる[13]。禁煙は心臓虚血発作を起こした医師ですら困難で、その半数しか禁煙できていない[14]。研究によって、たばこは強い嗜癖性があるものだと、R.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーは調査していた[15]、人体への影響・動物実験データを総括的に第三者が評価した研究論文では、ニコチンはヘロイン・コカインなどに匹敵する強力な依存性物質であるとする向きも存在[16]、中脳ドパミン神経の研究でニコチンとヘロインの脳への作用が類似しているという報告もある[17]が、逆に社会的背景を含めての評価ではニコチンはコカインほどの依存性は無いとする報告もあり[18]研究論文の場において、未だその依存性の強さに関しては議論されている最中である。
[編集] 税収との関連
多くの国ではたばこには税金が課せられているため、禁煙政策は常に税収減の可能性と隣り合わせとなっている。たばこ税の増税という考えもあるが、その結果たばこの値段が上がることで喫煙を止める人が増えれば、当然国家の税収は減ることになるという矛盾をはらんでいる。
日本の鳩山由紀夫首相は、たばこ税の問題に関して、「税収の問題よりも国民の健康の方を重視すべき」という趣旨の発言をしている。
[編集] 関連項目
- 喫煙の禁止
- 喫煙の中止
- その他、全般
[編集] 文献・脚注
- ^ [1]厚生労働省健康局長通知「受動喫煙防止対策について 」…「受動喫煙防止の措置には、当該施設内を全面禁煙とする方法と施設内の喫煙場所と非喫煙場所を喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないように分割(分煙)する方法がある。」としている
- ^ [2]建築物衛生管理検討会報告書…「3 建築物衛生の観点からの対策が必要な問題 (2)タバコの受動喫煙」において「受動喫煙を防止するためには、建築物において禁煙や適切な分煙の措置を講じることが重要である。現在、第154回国会で審議中の健康増進法案においても、多数の者が利用する施設における受動喫煙防止措置の努力義務規定が盛り込まれており、建築物衛生の観点からも、環境タバコ煙対策を推進する必要がある。」としている。
- ^ これら22州には太平洋岸の全ての州と、ニューイングランド地方の全ての州が含まれる
- ^ 法曹夜話 十七
- ^ 穂積陳重「五人組制度」
- ^ 法曹夜話 十八 禁煙令違反者の処分 穂積陳重
- ^ Enstrom JE, Kabat GC, Ungar SB (2006 6). “Reassessment of the Longterm Mortality Risks of Active and Passive Smoking” (PDF). Symposium, 2nd North American Congress of Epidemiology, Seattle: 987–990. 2008-05-02 閲覧。
- ^ James E. Enström (2007 10). “Defending legitimate epidemiologic research: combating Lysenko pseudoscience”. Epidemiologic Perspectives & Innovations 4 (11). DOI: 10.1186/1742-5573-4-11. PMID 17927827. 2008-05-02 閲覧。
- ^ Tar Wars American Academy of Family Physicians
- ^ HOW SCHOOLS CAN HELP STUDENTS STAY TOBACCO-FREE (pdf)
- ^ 公衆衛生ネットワーク
- ^ 文部科学省
- ^ The Health Consequences of Smoking: Nicotine Addiction. A Report of the Surgeon General. (pdf) Rockville. Md: US Dept of Health and Human Services; 1988.
- ^ Stolerman IP, Jarvis MJ. The scientific case that nicotine is addictive. Psychopharmacology (Berl).1995;117:2–10.
- ^ RJレイノルズ内部文書. Tobacco. 19830000;19870205. Bates: 504231648–504231658.
- ^ Stolerman IP, Jarvis MJ. The scientific case that nicotine is addictive. Psychopharmacology (Berl).1995;117:2–10.
- ^ Britt JP, McGehee DS. Presynaptic opioid and nicotinic receptor modulation of dopamine overflow in the nucleus accumbens. J Neurosci. 2008 Feb 13;28(7):1672-81.
- ^ Is nicotine more addictive than cocaine? Henningfield JE, Cohen C, Slade JD.PMID: 1859920
[編集] 外部リンク
- 禁煙 メルクマニュアル
- 禁煙支援マニュアル 厚生労働省
- How to Quit Centers for Disease Control and Prevention アメリカ合衆国
- Smoke Free National Health Service イギリス
- 日本禁煙学会



