競馬の競走

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競馬の競走では、主に日本における競馬競走について説明するが、適宜日本以外の競馬のことについても補足的に説明する。

公営競技における競走(レース)とは、1回の競い合いまたはそれらを複数回まとめたものを意味するが、競馬においては、前者の「1回の競い合い」の意味のみで用いられる。これは競馬においては同一開催内で複数回出走することは稀であるため、1つの開催を1つの大会と捉える概念が存在しないためである。

目次

[編集] 開催

中央競馬の開催に関しては競馬法第3条および競馬法施行規則第2条、地方競馬の開催に関しては競馬法第20条および競馬法施行規則第29条により開催を単位として行うことが記述されており、中央競馬は1開催12日間まで[1]、地方競馬は1開催6日間まで施行することができる。 「1回東京競馬」などの開催の中において「土曜日、日曜日」などのまとまって開催されるものを節と呼ぶ習慣はあるが、正式に定義された用語ではない。

開催についての詳細は競馬の開催を参照すること。

競走は事前に発表されている競馬番組に沿って行われる。 競走に出走する競走馬はあらかじめ出馬投票を行って、競走への出走が認められなければならない。 以下では競走の前後についての流れを順を追って、説明する。

[編集] 競走馬の輸送~発走直前

[編集] 競馬場への競走馬の輸送

調教師は厩舎から競走が行われる競馬場まで、競走馬を輸送しなければならない。国内の輸送には、バス型の馬匹車が使われる。外国へ競走馬を輸送する場合には、貨物コンテナが使われる。ただし、検疫などの関係で、大掛かりな輸送となる。

中央競馬の場合、厩舎は基本的に美浦栗東の両トレーニングセンターにあるため、競馬場とトレーニングセンターの間が距離が離れている場合がある。 近くの競馬場(美浦→中山・東京、あるいは大井など南関東公営競馬場や栗東→京都・阪神・園田、場合によっては中京)に出走する場合には競走当日(午前3時頃に出発)に輸送するが、遠くの競馬場(関東⇔関西、北海道、福島、新潟、小倉、美浦→中京)に出走する場合には競走前日や、それよりも前に輸送する。 例えば、本州北海道の間は船(フェリー)便であり、移動に時間がかかるため、事前に輸送しておき、競馬場の馬房に事前に滞在することが多い。かつては、出走1週間から10日くらい前に馬を輸送して、現地に滞在して調教を行い、目的のレースに出走する形態が多く行われていたが、1980年代以降高速道路網の整備で輸送時間が短縮されたことから、北海道を除いてトレセンで最終追い切りを行った後、前日や前々日に馬を輸送し、出走の翌日にトレセンへ戻ることが多くなっている。

2002年に函館競馬場ウッドチップコースが完成した。 毎朝の調教にウッドチップコースが使えるということで、札幌競馬場に出走する馬が函館競馬場に滞在していることも多い。

地方競馬の場合、競馬場に併設して厩舎が置かれている競馬場と、競馬場とは別の場所にトレーニングセンターが設けられている競馬場がある。

競馬場に到着した競走馬は競馬場の馬房にて、指定された時間まで待機する。

[編集] 調整ルーム

騎手は外部との接触を防ぐため、騎乗前日の指定された時間までに競馬場・トレーニングセンターに併設されている調整ルームに入らなければならない。 なお前日、他の競馬場で騎乗しており、指定された時間までに調整ルームに入ることができない場合には、届出が必要である。正当な理由が無く指定された時間までに調整ルームに入ることが出来なかった騎手には戒告、場合によっては騎乗停止などの制裁が課される。

ちなみに、この制度は日本独特の制度である。海外ではレース前の検量に間に合うように到着すれば良いとされている。また、騎手が交通渋滞などにより間に合わない場合には可能な限りレース発走時間を遅らせる措置を取る場合もある。

なお、調整ルームでは外部との連絡、携帯電話の通話は一切禁じられている。これは公正な競馬開催を確保するためという観点と、騎手が競馬の競走に集中できるようにするためである。

[編集] 前検量

騎手は騎乗前に適正な負担重量を背負っているかどうかを調べるために前検量が行われる。

負担重量が不足している場合には、錘などで調整する。錘は騎手が着用する勝負服の下に装着するプロテクターにつけるほか、鞍に入れることもできる。 体重オーバーなどで負担重量を超過している場合には、一定の重量までの場合には、そのまま騎乗できる(その場合でも騎手に対して制裁がある)が、一定の重量をも超過している場合には騎乗できず、別の騎手が騎乗することとなる。後検量も同様であるが、振子式はかり(機械式非自動はかりの一種)が使用されることが多い。

予定している騎手が病気になったり、落馬などで負傷して騎乗不可能になった場合、別の空いている騎手が駆り出される。馬の出走取消・競走除外は出来ない(疾病などやむを得ない場合を除く)。

[編集] 装鞍所

競走馬は指定された時間までに装鞍所に向かい、前検量をうけて合格した鞍を取り付ける。 鞍の取り付けは、不正を防止するため、装鞍所の係員の前で取り付けなければならない。 この際に競走馬のチェックも行われ、馬体重も測定される。 中央競馬の場合には発走時刻の70分前(有馬記念など一部競走では90分前)までに向かわなければならない(日本中央競馬会競馬施行規程第101条)。 中央競馬では馬体重は全馬測定されるが、地方競馬では馬体重計で暴れて測定できない場合「測定不能」で下見所に向かう。これは中央競馬が歩行式の電気式はかりを導入しているのに対して、地方競馬は対象が静止しないと計量することが困難な振子式はかり等の機械式はかりを使用していることによるものと推察される。また馬体重の発表は中央競馬は2キログラム刻み、地方競馬は1キログラム刻みである。これも使用しているはかりの目量の違いによるものとされている。

[編集] 下見所

次は装鞍所から下見所(パドック)に向かう。 ここで一般のファンに馬の状態を見せる。下見所では、厩務員や調教助手(まれに調教師)により曳かれて周回を行う。 この際に装鞍所で計測された馬体重を掲示する。馬体重の掲示においては前走との増減もあわせて掲載される。 ただし、初出走の場合や、前回に馬体重を計測する習慣がない外国の競走に走っていた場合には、前走との増減は掲示されない。 周回が合図によって止められると、騎手が整列し点呼を受けた上で、各競走馬に騎乗に向かう。 ただし、騎手は本馬場入場までに騎乗すればよいため、下見所で騎乗せず、本馬場の手前で騎乗する場合もある。 また、表彰式などで下見所で騎乗できない場合もある。

[編集] 本馬場入場

下見所から本馬場に入場する(外国ではここでファンファーレを鳴らす。日本でも入場行進テーマ曲が流される)。 この時点で改めて発走委員が競走馬をチェックする。 本馬場入りの際には騎手は必ず騎乗していなければならない。また馬を曳いていた人は曳き手を離さなければならない。 ダグやキャンターで準備運動を行い、退避所で集合時間まで待機する。

その後、集合の合図が掛けられ、ゲート後方(一部コースではゲート前方)に集合し輪乗りを行う。 ただし、輪乗りで他馬に危害を加える馬については輪乗りには参加しない。 輪乗りの途中で勝馬投票券の投票は締め切られ、集計に入る。 この集計が終わらないと発走に入ることができない。

[編集] 出走取消、競走除外

出馬投票後、発走以前に疾病などにより、競走に出られなくなる状況はありえる。出走を取りやめる場合には出走取消または競走除外が行われる。 日本では出走取消、競走除外ともに獣医師の診断による疾病などのやむを得ない場合に限られる。

この2つの区別はどの段階までに出走を取りやめたかによって判断されるが、主催者によって判断基準が異なる。 中央競馬の場合には、装鞍所に来るまでに出走を取りやめる場合は出走取消と呼び、装鞍所に到着後、出走を取りやめる場合は競走除外と呼ばれる。

[編集] 発走~トレセンへの馬の帰着

[編集] 発走

スターターが台にたって小旗が振られるとゲート入りの体制になる。通常は奇数番号の馬が先にゲートに入り、その後で偶数番号の馬がゲートに入る。ゲート入りの悪い馬の場合、番号に関わらず真っ先にゲートに入れる場合がある。馬によっては、目隠しをしたり、後からロープを張って強引にゲートに押し込むなどの作業を行っても、ゲートに入りにくい馬があり、発馬時刻が遅れることもある。また本来はゲートの悪くない馬でも、時々ゲートを嫌がることがあり、なかなかゲートに入らない場合は一度ゲートに入っていた馬を一度出して、ゲート入りを嫌がっていた馬を先にゲートに入れる場合もある。または、大外枠のさらに外側の枠に入れることもある(これを外枠発走と呼ぶ)。

日本では、小旗が振られた時点でファンファーレが鳴り響くが、これは日本だけの習慣であり、外国では(ゲート式の場合)ゲート入りの前に何かがあるわけではなく、粛々とゲート入りが行われる。 特にグレードワン競走の場合、ファンファーレに合わせて手拍子の大歓声が起きる。この大歓声に驚いて興奮してしまう競走馬もいる。

ゲート入りの段階までで、騎手を振り落として空馬になって走ってしまったり、ゲート内で暴れたりした場合には、ゲートに入っていたとしても、競走馬を出して馬体検査を行う場合がある。外傷や疲労が見られた場合には、競走から除外される。この時点での除外馬について、この馬を対象とした勝馬投票券は確定後払い戻し(買戻し)の対象となる。

ゲートが真正に開いた時点で競走馬は全て出走馬とみなされ、それ以後、出走を取り消したりすることはできない。 従ってゲートが真正に開いたにも関わらずゲートから出なかった場合や、ゲート直後に落馬した場合は全て競走中止馬とみなされる。
これらの競走中止馬を対象した勝馬投票券はすべて外れとなる。

但し、ゲートが不正に開いた場合、例えば、ある枠のゲートだけ開かなかったり、逆に早く開いてしまったりした場合には発走のやり直しとなる(これを、カンパイという)。
この時、ゲートの前方で旗が振られ、真正な発走でなかったことを騎手に伝える。

[編集] 競り合い

相手より早く決勝線に到達するべく、競り合いが繰り広げられる。競り合いにおける先頭を走る馬の一定距離ごとの走破タイムをラップといい、200mごとに計測されることが多い。また、終盤の400mおよび600mの走破タイムを上がりという。決勝戦にはじめに到達した競走馬の走破タイムを勝ち時計または勝ちタイムという。

[編集] 到達順位の確定

決勝線を最初に到達したものがその競走の勝者である。 決勝線の到達はばんえい競走を除いては、馬の鼻先が通過した時点をもって判定される。 ばんえい競走では馬が引っ張るソリの最後部が決勝線を通過した時点で判定される。 ただし、正規に到達してない場合には、2番目に到達したものが勝者となる。

決勝戦の通過の判定が難しい場合、決勝線に沿って設けられているゴール板で撮影されるスリット写真を使って、順位を決定する場合がある。これを写真判定と呼ぶ。稀には写真判定が長引いて同着となることもある。

先頭から指定された時間以内に決勝線に到達できなかった場合(競走中止・疾病などの場合は除く。いわゆるタイムオーバー)、能力が足りないとみなされ、一定期間の出走禁止処分が下される。

なお、相手より先に決勝線に到達することを「先着」という。

[編集] 後検量

競走が終了すると、指定された負担重量で騎乗していたか。また前検量と劇的に重量が変化していないか(悪天候下の場合は考慮される)を確かめるため後検量が行われる。

[編集] 審議・確定

競走中に走路妨害などの不正があったか、なかったかの審議が行われることがある。この結果、不正があった場合には、失格・降着・過怠金などの制裁が取られる。

審議が終了すると、競走の成績が確定され、勝馬投票券の配当額(払戻金)が発表される。 その後、3着までの馬は、採尿を行い、ドーピングの理化学検査を受けることになる。 この時点以後に理化学検査などで成績が変更されても、勝馬投票券の配当は変更されない。(関係者に対する処分、あるいは警察署などへの刑事告発などはある)

[編集] 表彰式

優勝した馬は、騎手や調教師など関係者とともに、コース上で記念撮影を行う。

一部の競走(中央競馬では特別競走)では優勝馬に対して表彰式がウィナーズサークルなどで行われる。重賞競走では馬服やレイなどが競走馬にはかけられる。

[編集] トレーニングセンターへの競走馬の輸送

競走を終えた競走馬は馬房に引き上げたあと、滞在しない場合は当日、あるいは翌日にトレセンへ輸送され再び自分の厩舎へと帰っていく。ちなみに、引退した馬は、トレセンへ輸送されずに牧場へ戻っていく場合がある。

[編集] 備考

そのほか、競走に対しては以下のように定められている。

  • 競走に勝つ意志を持たずに競走馬を出走させてはならない。
  • 騎手は競走で馬の全能力を発揮させなければならない。
  • 災害や投石等の妨害行為があった場合や、所定の走路と異なる走路で行われた場合には、その競走は不成立となる。

[編集] 脚注

  1. ^ ただし、1年間に開催できる開催日数の合計が288日、年間の開催回数が36回と規定されているため実際には1開催8日間で行われている。2007年は1回中山・1回京都の各開催を7日間、4回東京・4回京都の各開催を9日間として開催した。また、馬インフルエンザの影響で1回札幌・2回新潟・2回小倉の各開催が2日間中止されたため、5回東京・5回京都を8日から9日、3回福島・3回中京を8日から10日にそれぞれ変更して開催している。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月22日 (日) 05:07 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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