衝突安全ボディー
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衝突安全ボディー(しょうとつあんぜんボディー)は、自動車の衝突時における乗員保護(衝撃吸収機能)と生存空間の確保(乗員保護機能)などを考慮して設計製造された自動車用車体のことである。
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[編集] 概要
古くから自動車は安全性を考慮して設計されてきたが、その取り組みの度合いがメーカー、国、地域等で異なっていた事は事実である。高い安全性の通説とされているのが、ドイツ、スウェーデン車などの衝突安全性に対する高評価であるが、これは、メルセデスベンツ、ボルボなどが自動車の衝突時における乗員保護性能向上を追求した設計に1950年代と言う早い時期から積極的に着手しており、その動きに同地域の他メーカーも引き上げられる形で全体的な衝突安全性の高評価を築いて来たと見るべきであろう。
それに対し、日本車を初めとした上記地域以外のメーカー(同じ欧州でもフランス車やイタリア車の多くもそうである)の多くでは、衝突安全設計を追及した造りをしていたとは言いがたく、概ね生産国の国内基準に基づいた「安全要件」を備えていれば事足れりと言う姿勢を長い間採っていた。
しかしながら、増え続ける交通死傷事故に対し、メディア等で次第に自動車側の安全性に対する関心が集まる様になり、特に国産車の安全装備に関する内外格差(輸出仕様に装備されている後席3点式シートベルトやサイドインパクトバーなどが国内仕様には装備されていないなど)をきっかけとしてメーカーの姿勢に対する批判が高まっていった。 それに伴い、消費者の自動車の安全性に対する関心が徐々に高まり、メーカーとしても、従前の要件を満たすだけの姿勢では許容されない社会状況が生まれ、1993年1月には改定された「道路運送車両の保安基準」により、94年4月以降の新型車には前面衝突試験が義務付けられるなど、法律面でも従来基準の引き上げが行われた。
その様な社会背景を基に、法律で定められた「要件」だけを満たす安全設計ではなく、法律を超えたメーカー独自の基準に基づく高度な安全設計をボディに盛込む機運が生まれ、日本では1995年にトヨタ自動車が新型スターレットを皮切りに衝突安全ボディーを謳った「GOA」を次々に同社製品に採用し、それを皮切りに他メーカーからも「衝突安全ボディー」採用を謳う新型車が続々と登場した。
ここに、「(法律要件を超えた)衝突安全ボディー」なる新概念が生まれた。
その頃始まった自動車事故対策センターによる、自動車アセスメント(JNCAP)などの公的機関による衝突安全試験によって各車に衝突安全性の格付けが行われる様になり、消費者が容易に衝突安全性を比較できるようになった事もこの動きに拍車をかけた。 しかし、これは、まさにメルセデスベンツ、ボルボなどが半世紀前から社是として行って来た事であり、日本では、消費者追従型のメーカーがここに来てようやく消費者の声の盛り上がりを背景に本腰を入れたというのが実態である。
「衝突安全ボディー」なる名称は、「安全」が「商品」になった時代の産物であると言える。
しかしながら、自動車アセスメント(JNCAP)の衝突試験要件(前面フルラップ、前面オフセット、側面)に含まれない要件に対するメーカーの姿勢には、一部から疑問の声が上がっている。 例えば、2008年現在の一部国産小型3列シート車(主にミニバン)に見られる、追突要件を無視するかのような設計には、追突時の危険性よりも、3列シートである事の商品性を優先させる姿勢が見て取れる。メーカーにとって「安全」とは、単なる「商品」としての価値を越えるものではないことを物語っている。
[編集] 衝突安全ボディーの構造
衝突安全ボディーの構造は、衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」(フロント構造とリア構造)と、乗員の安全を確保する「セーフティゾーン(サバイバルゾーン)」(キャビン構造)に分けられており、これらの構造を組み合わせたモノコック構造である。これにより、衝突時に乗員に加わる衝撃を緩和する。
衝突事故のほとんどは、フロント片側をぶつけるオフセット(=ずれた)衝突である。これは、フロント全体で衝撃を受け止めるフルラップ(=全面)衝突よりボディーの損傷波及が複雑になりやすい。オフセット衝突で問われるボディーの安全基準は、フロントが複雑につぶれていても、キャビンが原型をとどめ、乗員が無事でドアが開く、といった点である。 さらには歩行者頭部保護性能テストもあり、この対策として、フードなどの形状や素材が変化している。 一方、低速での事故でも人的被害が大きく、衝撃を吸収するスペースを確保しにくい側面衝突に対しては、ドア断面を厚くしたり、車幅を拡大することで衝撃吸収のスペースを得て、ドアに内蔵しているインパクトビームの強化・増設、ドアトリム内にエネルギー吸収パッドを設置、ロッカーパネル及びピラー(フロントピラー、センターピラー、クォーターピラー)の鋼板厚み増し、及びインナーパネルの追加、そしてサイドエアバッグ、などで安全性を確保している。これらは、ロールオーバー(=横転)事故への対応も含まれている。 結果として、フロントとリアは衝撃をできるだけ吸収するための工夫された構造と素材、各パネルは複雑に複数が組み合わされた形になり、さらにインナーには充填剤が注入され、高張力鋼板などの新しい素材も採用が進んでいる。
[編集] 衝突安全ボディーの名称
独自の基準に基づいた名称を設けている自動車メーカーもあり、日本ではメーカー別にまとめると
- トヨタ自動車 - GOA(ゴア)
- 日産自動車 - ゾーンボディ、FLプラットホーム(FFベース)、FMプラットホーム(FRベース)
- 本田技研工業 - 全方位衝突安全設計ボディ、G-CON(ジーコン)、ACO(アドバンスドG-CON)
- マツダ - MAGMA(マグマ)
- 三菱自動車工業 - RISE(ライズ)
- スバル - クラッシュセイフ・ボディ、全方位衝突安全強化ボディ、新環状力骨構造ボディ、衝撃吸収位相制御構造
- スズキ - SSIS、TECT(テクト)
- ダイハツ工業 - TAF(タフ)
- 日野自動車 - EGISキャブ (イージス)
- いすゞ自動車 - 高剛性キャブ
- 三菱ふそうトラック・バス - FUSO RISE
がある。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月3日 (火) 03:11 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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