野犬

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野犬(やけん)とは、飼い主がいないである。野良犬(のらいぬ)とも呼ばれる。

目次

[編集] 概要

野犬は、飼い主のいない犬であるが、単に野犬というと野生化した犬を含む。ペットが捨てられるなどしている場合は野良犬と表現する。野生化した犬ではオーストラリアディンゴアボリジニ渡来の際に持ち込まれた外来生物)が良く知られているが、いったん家畜として人間に飼われ、後に野生化して群れを作って犬のみで生活している場合が狭義の野犬である。

犬は肉食動物で、人間に飼育され訓練されている訳ではない野犬は、人や家畜を襲う場合もあり、危険視されている。ルーマニアでは旧社会主義政権が崩壊後、裕福層から転落した家庭で飼われていた犬が野放しとなり、2000年代に社会問題化している。

日本において犬を飼う場合には、登録や狂犬病予防接種・係留の義務や徘徊の防止などの様々な規定があり、人間によって給餌を受けているものでも、この規定を満たしていなければ野犬と見なされ得る。

[編集] 野犬の問題

野犬は狂犬病の発生・蔓延を予防し、また犬の「噛む」という習性から人の生命・身体や財産を守るためと称され、日本では積極的に保健所や動物保護センターの職員等によって保護(捕獲)され、基本的に処分される事になっている。例外を除き(飼い主がいる可能性がある場合など)3日から1週間といった、各保健所が属する自治体で定められた保管期間を設けて保護飼育を行う。一方で、全ての動物は民法上「物」として扱われる性質から、保健所等が業務を行なっていない休日や夜間に保護された犬は「遺失物・拾得物」として所轄の警察署が保護・管理を行ない、一定期間を経た後に動物保護センターに引き渡している。

保健所では同期間内に、捕獲した地区の市役所・町村役場の掲示板に当該犬を収容している旨の文書を掲示して飼い主が現れるのを待ったり、定期的に開催する里親説明会等で飼い主を募集する・希望者が保護施設から気に入った個体を引き取るなどに応じている。

しかしそれらが現れない場合、または保健の方針で最初から処分が殺処分と決められている場合は安楽死という名目でガス室に送られ、炭酸ガスによって殺処分されている。安楽死という名目ではあるが、麻酔による苦痛の軽減は実施されていない。しかし炭酸ガスの血中濃度上昇による意識低下が苦痛の軽減に役立っており、これによって安楽死たる要件を満たしていることとされているが、死亡に至らず単に意識を失っただけの場合の犬もいる。殺処分が済んだ後はガス室からはベルトコンベヤーで運ばれ、焼却炉の上に来ると床が開いて落ちる(なお、一部の自治体では犬が負傷している、または病気の場合は麻酔投薬後に筋弛緩剤投与による安楽死の方法をとっている)。

処分対象とされた犬が動物実験用に研究機関へ引き渡されているという説がしばしば現れるが、これは事実ではない。動物実験は、その対象となる動物が誕生する前から入念な管理の下扱われていることを前提としている。どこでどう生まれて育ってきたかがわからない犬を使ってしまえば正確な実験や測定が行えないうえ、その犬が持っている雑菌やウイルスなどにより研究施設への汚染にもつながるからである。獣医学部による生体解剖用等に流用されていたのは事実である。改定された動物愛護法では、実験動物使用をなるべく減らすように促す趣旨がもりこまれている。

近年では住宅事情・ペット動物の社会的重要性の増大・伝染病予防など飼い主の意識の向上から犬を屋内で飼育する(散歩以外では外に出さない)ケースが増え、迷い犬の発生件数・野犬や捨て犬の保護件数ともに急激に減少する傾向が見られる。自治体の保健所の中には、飼い主の都合で持ち込まれた犬を「所有権が放棄された」と即日に殺処分する場合や捕獲された犬についても根拠を示さずに殺処分する場合があるので、数十万頭の殺処分された犬について「引き取り手がなかった」とするのはおかしいとする意見もある。

また被災地に於いてペットが倒壊家屋から脱走、野良化する事例も報告され、兵庫県南部地震や新潟県中越地震において、避難施設へのペット持込も絡んで問題視されている。

なお欧米ではアニマルシェルターなどの収容施設があり、こういった野犬や野良猫の保護収容と疾病などの治療や予防接種、および飼い主の斡旋を行っている。これら活動のある地域では、日本のように「ペットとしての犬を求める場合にペットショップに行く」という形ではなく、このアニマルシェルターで犬を品定めして引き取り、この際に登録などが済ませられるという形態となっている。

[編集] 野犬の発生

日本における野犬は、飼い主の飼育放棄によって野犬化したものが多数を占めている。[1]道端の箱に入れられた捨て犬の映像や絵画は、しばしば見られるモチーフである。[2]

その一方で欧米などの海外では、保養地や猟区などで一夏の間だけ飼われて使い捨てにされた愛玩犬や猟犬が野犬化、周辺住民や旅行者(多くはそれら保養地を訪れた観光客)が襲われる等、社会問題化している。同種の問題は1980年代バブル経済期の日本でも発生、大規模な山狩りが行われたケースもある。

特に犬はその習性上、群れを作る傾向が強く、集団で狩りを行う。このため一度大集団が出来上がると、人間ですら襲われる危険が高まり、周辺住民への脅威ともなりうる。1970年代にはかつての炭鉱廃墟に多数の野犬が住み着き、緊急的な措置として保健所の職員が懲戒処分を覚悟のうえで毒薬入りの餌を使用した他、地元猟友会の協力を得て射殺した事例もある。

なお、鳥獣保護法上は野犬は狩猟対象として指定されている為、銃や罠による狩猟が可能であるが、実際は狩猟対象である野犬と狩猟対象外の野良犬・迷い犬の相互の区別が極めて困難(首輪の有無および、野山に住むか街中をうろついているか程度でしか判断が出来ない)である為、野犬を主要な狩猟対象として活動するハンターは殆どいないとされている。 犬・ネコをはじめとするペットの飼い主には、生き物の一生を責任をもって飼うためにも避妊とマイクロチップ等、個体識別の為の対策を講じることが不可欠である。なおペットの遺棄は動物虐待行為と見なされ、日本では50万円以下の罰金が科せられる。

以上の事を防止する事に不可欠である、所有者明示の為のマイクロチップも「国民の理解が得られていない」という理由で導入されていない。 マイクロチップの読み取り機自体は全国の動物管理所に導入されている。社会問題化する予見性がありながら予防策を講じず、年間数十万匹にも及ぶ 犬を殺処分する行為には厚生労働省が環境省に対して異例の抗議の申し入れをしている[要出典]。尚、日本では狂犬病発祥地帯からの犬の輸入も含め、狂犬病や他の伝染病を引き起こす可能性のある外来生物の輸入が行われている。

マイクロチップ等、個体識別の不導入が迷い犬や遺棄に繋がり、本来、緊急回避の為の施設である動物管理所に収容され、個体識別されず飼主に返還されない、更には譲渡自体も行われずに殺処分されるという、異常な事態が続いている。尚、保健所が収容されている動物の引き取りについて連絡しているにも係らず、所有者の犬を殺処分した事件、所有者が判明しているにも係らず、問い合わせに対してもいない事にして、犬を殺処分しようとした事件等が報告されている[要出典]

[編集] 野犬化抑止に向けた取り組み

近年開発された埋め込み型マイクロチップRFIDの一種)は、ガラスのカプセルに封入した物を、動物の皮膚下に埋め込む事で登録する様式が一部自治体などで始まっている。これらのカプセルは、非常に小型で、また半永久的に機能するため、一度取り付けたらそれら動物(人間も含む)の生涯を通じて機能し、専用の読取装置をかざした際に、登録番号を読み取る事が可能である。

これにより、飼い主の責任を問うだけではなく、迷子になってしまったペットを保健所が保護した際に、返還に伴う連絡が確実になり、大切なペットが探している間に処分されてしまったり、第三者に拾われて、そのまま飼われてしまったりといった事態を避ける事が可能となる。

特にこれらはペットショップ等の販売店で取り付けられた場合には、飽きたからと言ってみだりに捨てる不良飼い主の発生防止にも役立つと見られ、また飼い犬の登録情報をデータベース化する事で、つい忘れがちな定期予防接種の案内を発行するサービス等も期待されている。

[編集] 脚注

  1. ^ これらは、軽い気持ちで飼い始めたものの、毎日の散歩や世話・或いはトイレの躾から座敷犬では抜け毛の掃除などなど、想定外の世話が煩わしくなってしまったり、臭いなどの理由や、またはきちんとしつけできず主従関係を築けない・無駄吠えが酷いといった問題を抱えて放り出してしまったり意図的に逃げ出し易い状況に置くといったケースが想定される。無秩序に繁殖させてしまって飼い切れ無くなる場合も考えられる。またリードを外してしまって脱走したり、そのまま迷子になってしまう場合や、劣悪な飼育環境や飼い主が替わるなど、置かれた状況が気に入らないために犬自身が自らの意思で脱走する可能性も考えられる。
  2. ^ なお日本では、地方自治体にもよるが迷い犬の場合は防災無線など地域同報システムで呼び掛けを行う場合もある。これは野犬が狂犬病に罹患する可能性があるためだと位置付けられている。

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月5日 (木) 08:20 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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