長坂秀佳

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長坂 秀佳(ながさか しゅうけい、1941年11月3日 - 本名・長坂 秀佳(ながさか ひでか)は、脚本家小説家放送作家。別名義として出雲 五郎(いずも ごろう)がある。

目次

[編集] 略歴

愛知県豊川市出身。子供の頃から本好きだったが、実家は裕福でなく本がなかなか買えなかったため、もっぱら貸本屋に入り浸り、店の主人から「ウチにはお前の読む本は残ってないよ」と言われたほどであった。

愛知県立豊橋工業高等学校機械科卒業後、上京しプラスチック工場で働いた後に東宝撮影所に入社する。撮影所には故黒澤明三船敏郎がいた。

これらの経緯は脚本家となる彼の作風に大きく影響することになる。

1966年、「NHKシナリオコンクール」で『ものを言う犬』が佳作に入選したことをきっかけに、フリーの脚本家となる。『帰ってきたウルトラマン』からは特撮作品にも関わり始め初期の主な作品に『刑事くん』『人造人間キカイダー』『快傑ズバット』『小説吉田学校』(映画)など。『特捜最前線』では10年間の放映期間で109本を執筆し、メインライターとして番組を支え続けた。

1989年『浅草エノケン一座の嵐』で第35回江戸川乱歩賞を受賞。以降『都会の森』『ジュニア・愛の関係』といった連続ドラマを執筆する傍ら、ゲームソフト『弟切草』『街 〜運命の交差点〜』『彼岸花』の原作・脚本なども手がけた。また1999年には『透明少女エア』でドラマ初監督にも初挑戦している。

[編集] エピソード

  • 特撮番組に初めて本格的に参加した『人造人間キカイダー』では、終盤においてハカイダーという名悪役を登場させ、特撮史上に大きな功績を残した。また、続編『キカイダー01』の序盤に登場したハカイダー4人衆は、『キカイダー』の撮影現場にハカイダーの予備スーツがあるのを見た長坂が「勿体無いから予備も使おう」とアイデアを出したことから登場が決まったものである。
  • 脚本家の曽田博久によると『キカイダー01』のシナリオ打ち合わせの際、長坂がプロデューサーに「俺は1日に30分ものが3本書けるくらいが良いペースだ」と言い放っていたという。凄い人がいると思い、曽田は圧倒されたとのことである。
  • まだ脚本だけでは食べていけなかった時代にはワイドショー『金原二郎ショー』の構成に参加していたこともある。
  • 筆は非常に早く、他のライターよりも締切りまでにプロデューサーの元にシナリオを届けることが出来たという。そんな長坂に対し、東映の鈴木武幸は「長坂さんはパンクチュアルな人だ」との賛辞を送ったという。 
  • 快傑ズバット』では全32話中30話を執筆しているが、2話分(第7話と第12話)を他の脚本家に任せたのは「1年続くと思っていたので、一人では全部書けないと思ったから」とのこと。しかし、作風の違いが目立ったため、残りは自分で書くことになった。結局32話で終了したため「そうなると最初から分かっていれば全部自分で書いた」とも語っている。
  • 109本を執筆した『特捜最前線』の執筆スピードの最短記録は「爆破60分前の女」の3日間、最長記録は「フォーク連続殺人の謎!」「掌紋300202!」の40日間であるという。
  • 1980年代はキャラクター作品とは距離を置き大人向けドラマを主に執筆していたが、偶然テレビで『仮面ライダーBLACK』を見て、久しぶりにキャラクター作品執筆の意欲に駆られたという(長坂はライダーの黒の佇まいに惚れ込んだとのこと)。そこで旧知の東映・齋藤頼照プロデューサーを通して作品の参加を志願したものの、吉川進プロデューサーの返答は「ギャラが高すぎるから無理」。結局参加は断られたという。
  • 江戸川乱歩賞受賞作『浅草エノケン一座の嵐』は初応募で受賞、と単行本の作者紹介には記されているが、実際は長坂は工業高校時代に応募しているため(その作品は第一次予選も通過しなかった)2度目の応募になる。
  • 『浅草エノケン一座の嵐』のタイトルは、『特捜最前線』の頃からの付き合いで長坂の長年の悪友であるテレビ朝日プロデューサー・五十嵐文郎が考案したとのこと。今や編成制作局次長の要職に就いた五十嵐だが長坂との仕事の付き合いは現在も続いており、2009年に2夜連続で放映された開局50周年記念ドラマ『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』でもコンビを組んでいる。
  • 『浅草エノケン一座の嵐』の巻末には江戸川乱歩賞の選評が掲載されたが、あまりに辛辣なものが多く問題となった。批判の是非はともかく、ここまで貶しておいて授賞し、同じ本にそれを収録するのは失礼ではないかとの指摘もあり、その後乱歩賞受賞作の選評掲載は10年間に亘ってとりやめとなった。
  • ウルトラマンゼアス』の脚本は、「ウルトラマンで喜劇をやる」という発想に魅力を感じ、当時の助手たちに稼がせるつもりで引き受けた。しかし、長坂の予想に反して誰も乗り気でなく、まともに使える案が出てこなかったため、結局自分が鈴木清と二人で案を出し合って完成させたという。
  • かつて1997年の雑誌『テレパル』インタビューにて「今後組んでみたい役者」という質問に役所広司田村正和上川隆也木村拓哉、「今注目している制作者」という質問に周防正行三谷幸喜と回答していた。
  • 自身の作品には絶対の自信を持っており担当プロデューサーや監督としょっちゅう激論を交わすという。しかしその結果『華の嵐』はクランクイン直前、『引っ越せますか』は折り返し地点に到達した際に降板している。また必然か偶然かは分からないが降板後は作品の放送局である東海テレビ放送日本テレビとは現在に至るまで全く仕事をしていない。
  • 長坂のエピソードについては彼自身が書き下ろした『長坂秀佳術』が詳しい。この著作には江戸川乱歩賞に挑戦する際仕事を1年4ヶ月に亘って断り銀行に借金までしたことや、『特捜最前線』の「長坂秀佳シリーズ」誕生の経緯、ゲーム『彼岸花』の大失敗、経済的苦境に立ち「腕では誰にも負けない。しかし仕事がないんだ!」と妻に向かって叫ぶシーンなど本人より興味深く(生々しく)語られているのである。

[編集] 近年

  • ゲームシナリオより再びテレビドラマのシナリオに軸足を戻している。また最近では10年以上途絶えていた刑事・野呂盆六シリーズを土曜ワイド劇場枠で復活させ、ファンを大いに喜ばせている。そしてその傍ら、ホラー小説や推理小説も意欲的に発表を続けている。
  • 近年はテレビ東京の新春ワイド時代劇がメインワークになっている(2001年から2008年の8年間で4シリーズを単独で担当。通算で6シリーズ担当する最多登板ライターでもある)。2008年度は『徳川風雲録 八代将軍吉宗』を担当する傍ら、2時間ドラマを4本執筆。2009年度もライフワークである『野呂盆六』シリーズを2本発表する以外に単発ドラマを4本手掛けるなど68歳になってもますます旺盛な作家活動を展開。

[編集] 影響を与えた人物

  • 推理作家の大倉崇裕は長坂の『特捜最前線』「津上刑事の遺言!」を見て衝撃を受けたことから推理作家を志したことを明らかにしており、その詳細は氏のホームページの日記により詳しい。また大倉は長坂と喫茶店で擦れ違ったことがあるそうで、その時の長坂を「不思議な輝きを持ったおじさん」と形容していた。他の推理作家でも霧舎巧麻耶雄嵩が長坂脚本の『特捜』に影響を受けたことを各々のエッセイで語っている。
  • 脚本家・會川昇、広井由美子、都築孝史、山崎修、平松正樹らは長坂の弟子にあたる。會川はかつて長坂のシナリオ集『さらば斗いの日々、そして』の編集を務めていたこともある。
  • 平成仮面ライダーシリーズのプロデューサーで知られる東映の武部直美は長坂が乱歩賞用に書き下ろした小説を執筆する際の助手に就いていた。武部は学生時代自作のザビタンやハカイダーの人形を長坂にプレゼントするほどの長坂ファンであった。東映に入社後は長坂と新・女弁護士朝吹里矢子シリーズでプロデューサー・脚本家として一緒に組んで仕事をしたこともある。

[編集] 脚本

[編集] テレビ(連続)

※連続シリーズは放送開始年  ★はメインライター

[編集] テレビ(単発)

  • 二人の武蔵(1981年)
  • 菊村到の暗い穴の底で(1981年)監督は天野利彦
  • 大貫久男氏、1億円拾得事件の真相(1981年)
  • シンデレラの葬送 その夜花嫁になにが起ったか?!(1982年)
  • 若き血に燃ゆる〜福沢諭吉と明治の群像(1984年)
  • にせ風景(1985年)
  • 疑惑の5人 私が殺した!(1986年)
  • 恐怖のドライブ(1986年)
  • 元禄サラリーマン考 朝日文左衛門の日記(1986年)
  • 波の殺意 にせ風景Ⅱ(1986年)
  • 魔性の星の女(1986年)
  • ウェディング・ベル(1986年)
  • 闇からの叫び コンピュータに狙われた花嫁(1986年)
  • 亜樹子 -哀しみ色の罠-(1986年)
  • 弁護側の秘密(1986年)
  • 白昼の悪魔 狙われた人妻(1987年)
  • あなたの夫、殺します(1987年)
  • 消えた死体 真夏の夜の夢殺人(1987年)
  • にせ風景III(1987年)
  • 愛の復讐(1988年)
  • 児童心理殺人事件(1989年)
  • 燃えよ剣(1990年)
  • 犬神家の一族(1990年)
  • Y殺人事件 -湯けむりスキーと女子大生!?-(1990年)
  • 哀しみ色の殺意 -函館・東京・能登-(1990年)
  • オジロの海(1990年)監督は天野利彦
  • 女王蜂(1990年)
  • 年末年始ザ・ホスピタル(1990年)※原案のみ
  • 袖ノ下捕物帖(1991年)
  • Hは謎のイニシアル 女子短大生の愛のゆくえ -H殺人事件-(1991年)
  • 黄金の犬(1991年)
  • 昭和16年の敗戦(1991年)
  • 狙われたプライバシー(1993年)
  • 刑事・野呂盆六シリーズ
    • 刑事野呂盆六 完全犯罪の女(1993年)
    • 刑事野呂盆六2 殺意のマリア(1994年)
    • 天才刑事・野呂盆六 スワンの涙(2007年)
    • 天才刑事・野呂盆六2 母という名の罠(2008年)
    • 天才刑事・野呂盆六3 復讐の天使(2009年)
    • 天才刑事・野呂盆六4 わが子よ……(2009年)
  • 西村京太郎サスペンス・十津川警部シリーズ
    • 会津高原殺人事件(1994年)
    • 南伊豆高原殺人事件(1996年)
    • 丹後殺人迷路(1997年)
    • 尾道・倉敷殺人ルート(1998年)
    • 四国連絡特急殺人事件(2004年)
    • 寝台特急あさかぜ殺人事件(2005年)
    • 金沢加賀殺意の旅(2005年)
    • 愛と悲しみの墓標(2007年)
    • 生命(2008年)
  • 豊臣秀吉 天下を獲る!(1995年)
  • 新・女弁護士朝吹里矢子
    • ビワの木の復讐(1995年)
    • 逆転の法廷! 不倫愛の男女が狙った法律の抜け穴(1996年)
  • 保護司堂本ガンバります! 郡上八幡連続殺人事件(1996年)
  • 棟居刑事シリーズ
    • 棟居刑事のラブアフェア(1996年)
    • 棟居刑事の復讐(1996年)
    • 棟居刑事の情熱(1997年)
    • 棟居刑事の複状遺恨(1998年)
    • 棟居刑事の黙示録(2000年)
    • 棟居刑事の青春の雲海(2008年)
    • 棟居刑事の黙示録(2009年)
  • 運命岬に立つ女(1996年)
  • 誘拐された夏(1996年)
  • ダイヤモンドの罠(1996年)
  • 竜馬がゆく(1997年、上川隆也版)
  • グルメ奥様とハイミス警部補の推理対決
    • お料理学校殺人事件〜複合毒の謎 チョコ+ワイン=死のレシピ?(1997年)
    • サソリ予言毒殺の謎!(1998年)
  • 和服デザイナー探偵 京都鬼子母神伝説殺人事件(1997年)
  • 名探偵明智小五郎シリーズ(稲垣吾郎主演)
    • 陰獣(1998年)
    • エレベーター密室殺人(2000年)
  • パートタイマー刑事 月形兄妹の事件簿2 誰が天使を殺したか?(1999年)
  • 宮本武蔵(2001年)
  • 竜馬がゆく(2004年、市川染五郎 (7代目)版)
  • 天下騒乱〜徳川三代の陰謀(2006年)
  • 信長の棺(2006年)
  • 徳川風雲録 八代将軍吉宗(2008年)
  • 女かけこみ寺 刑事・大石水穂シリーズ
    • 女かけこみ寺 刑事・大石水穂(2008年)
    • 女かけこみ寺 刑事・大石水穂2(2009年)
  • 刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史(2009年、2夜連続) 

[編集] ラジオドラマ

※ 単発、連続シリーズ含む

  • 宮本武蔵(1977年)
  • 火の鳥 鳳凰編(1978年)
  • 空のトラック野郎(1979年)
  • 太陽の石・日本のピラミッド(1979年)
  • 罰金(1979年)
  • 火の鳥 乱世編(1980年)
  • シャドー81(1980年)
  • 黄金の海(1980年)
  • 宇宙SFから悪夢へ・見えざる米ソの対決(1981年)
  • 泥棒は詩を口ずさむ(1982年)
  • 蒸発(1982年)
  • ラジオドラマ 街 第Qの男 -QはquestionのQ-(1997年)

[編集] 映画

[編集] ゲーム

[編集] 著作

[編集] 小説

  • 嵐学の時代 青春編(1985年、講談社)
  • 嵐学の時代 飛翔編(1985年、講談社)
  • 浅草エノケン一座の嵐(1989年、講談社→1992年、講談社文庫→2001年、角川文庫→2004年、講談社文庫)※江戸川乱歩賞受賞作
  • 雲姻過眼(1998年、チュンソフト「 公式ガイドブックZAP'S」および1999年「 公式ガイドブックZAP'S 増補版」収録)
  • 弟切草(1999年、角川ホラー文庫)
  • 彼岸花(2000年、角川ホラー文庫)
  • 寄生木(2000年、角川ホラー文庫)
  • 化猫伝(2001年、角川ホラー文庫)
  • 死人花(2003年、角川ホラー文庫)
  • 黒い童謡(2003年、角川ホラー文庫)
  • 「密室」、作ります(2004年、講談社→2006年、講談社文庫 アンソロジー「乱歩賞作家 赤の謎」収録)
  • 幽霊花(上・下)(2005年、角川ホラー文庫)
  • 鷹丘城悲恋(2006年、角川書店)

[編集] 小説(未書籍)

  • 上野シミキン動物園の神風(1989年、小説現代)
  • 水無月の鶴 朝日文左衛門事件日記(1990年、オール読物)
  • ジキルとハイド犬行状記I(1990年、小説NON)
  • ジキルとハイド犬行状記II(1990年、小説NON)

[編集] 小説以外(シナリオ集など)

  • あぶない!ぼうけん君(1971年、さえら書房)※絵本
  • 投手刑事(1977年、小学館)※漫画原作
  • さらば斗いの日々、そして(1985年、朝日ソノラマ)※シナリオ集
  • 特捜最前線 長坂秀佳シナリオ集1(1986年、大陸書房)※シナリオ集
  • 特捜最前線 長坂秀佳シナリオ集2(1986年、大陸書房)※シナリオ集
  • 都会の森(1990年、大陸書房)※テレビドラマノベライズ
  • ジュニア・愛の関係(上・下)(1992年、ワニブックス)※テレビドラマノベライズ
  • こむぎいろの天使 ムサシとゴン(1997年、汐文社)※絵本
  • 長坂秀佳術(2004年、辰巳出版)※初の自伝エッセイ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月22日 (日) 00:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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