電気主任技術者

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電気主任技術者でんきしゅにんぎじゅつしゃ)は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する専門的な知識を有するものに与えられる資格。資格者には免状が交付される。「気主任技術者試」の名から電験(でんけん)と略称されることが多い。必置資格である。

目次

[編集] 概要

事業用電気工作物(定義は電気工作物の項参照)の設置者(所有者)は電気事業法の定めにより電気主任技術者等の主任技術者を有資格者の中から選任することが義務付けられている。この有資格者に対する特別な称号は定められておらず、主任技術者免状の交付を受けている者と呼ぶ。したがって、選任されていない有資格者に対する個人の称号としての使用は、法律的には誤用であるが、社会的には通用している。

なお、自家用電気工作物については、設置者が経済産業大臣の許可を受ければ電気工事士等の資格保有者などを主任技術者として選任することができる(許可選任という)ほか、7000V以下で受電する需要設備等については外部の電気保安法人などに保安業務を委託することによって主任技術者を直接に選任しないこともできる(外部委託承認)。

  • 許可選任の例
    • 第一種電気工事士(試験のみ合格の場合を含む)、工業高校電気科の卒業者等は500kW未満の受電設備に限定。
    • 第二種電気工事士等の場合は100kW未満の受電設備に限定。

[編集] 沿革

電気事業取締規則(明治29年5月9日逓信令第五号)で初めて主任技術者の制度が取り入れられ、当時の主任技術者は現在のような試験により選出されるのではなく学識経験のある人が選ばれている。主任技術者制度が取り入れられた背景にはその当時の電気技術者の地位が非常に低く、電気技術者の地位が不安定であったことによる弊害を除去するために設けられたとされる。国家試験の問題が、実務に直接関係のない学術・理論的な内容に偏っているのは、そのような歴史の名残である。

[編集] 主な任務

事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行う。

[編集] 電気主任技術者の役割

電気主任技術者(を置く、という)制度には、電気の安定供給や保安の確保という目的で、明治時代その制度発足に当たり、電気技術者の地位の安定化というねらいがあったとされる。当初学識経験者としていた資格取得は、学歴要件などを経て現在、試験や認定という形式で誰にでも開かれている。学歴に関係なく受験でき、実務経験を必要としない。電験は必然的に個人の技量を競い高める役割を増大させ、多くの不合格者を含めた電気技術者の努力によって定着した。電気技術者の活躍の場が、弱電や情報分野にも広がり、電験が唯一無二のステータスという訳では無くなっているものの、本来限られた所でしか活かすことのできない資格(必置資格)であるにもかかわらず、電験合格を目指す者が近年でも毎年5万人程度ある。この数字は大学工学部全体の、近年の年間卒業生数に相当している。電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者選任が法令で義務づけられている。電気主任技術者になれば受電設備や配線など、電気設備の保安監督という仕事に従事できるため社会的評価が高い資格といえる。

試験のレベルは、第一種が大学の電気系学科、第二種が高専・短大、第三種が工業高校卒業程度を対象としているが、誰でも受験することができる。第三種は工業高校程度の試験レベルとされてはいるが、新学習指導要領(いわゆる「ゆとり教育」)の施行以降は、学習の基礎となる数学知識について、授業の範囲を超える学習も必要となる(例えば、「複素数平面」=現在の複素数の単元を発展した内容。新学習指導要領で削除)。資格区分と対象レベルの再編成が必要といえる。

[編集] 資格の区分と選任範囲

電気主任技術者の主任技術者免状には以下の区分があり、それぞれ記載した範囲の電気工作物について電気主任技術者として選任をうけ、電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができる。

  • 第一種電気主任技術者免状
  • 第二種電気主任技術者免状
    • 170,000V未満の電気工作物
  • 第三種電気主任技術者免状(「電験三種(でんけん・さんしゅ)」と呼称されることがある)
    • 50,000V未満の電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)

[編集] 資格取得方法

[編集] 試験

財団法人電気技術者試験センターが電気主任技術者試験を全国で年1回実施。試験は誰でも受験可能。

  • 第一種、第二種
一次試験4科目(理論、電力、機械、法規)と二次試験2科目(電力・管理、機械・制御)がある。
  • 第三種
一次試験4科目(理論、電力、機械、法規)のみ。

また第三種及び第一種又は第二種と併願も出来る。実際の一部受験生は同年度に第3種及び第2種を受けている。

[編集] 試験の合格率

下表は、財団法人電気技術者試験センターが発表した資料を元に、合格率を計算したものである。平成7年度以降は科目合格保留制度があるため、合格率は参考であることに注意されたい。

電験一種
年度 一次試験 二次試験 一次×二次合格率
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
1997(平成9) 901 272 30.2% 428 126 29.4% 8.9%
1998(平成10) 1,108 259 23.4% 432 72 16.7% 3.9%
1999(平成11) 1,261 335 26.6% 515 47 9.1% 2.4%
2000(平成12) 1,285 398 31.0% 638 129 20.2% 6.3%
2001(平成13) 1,328 327 24.6% 591 75 12.7% 3.1%
2002(平成14) 1,389 332 23.9% 566 53 9.4% 2.2%
2003(平成15) 1,590 443 27.9% 685 81 11.8% 3.3%
2004(平成16) 1,627 381 23.4% 694 49 7.1% 1.7%
2005(平成17) 1,666 219 13.1% 524 66 12.6% 1.7%
2006(平成18) 1,755 234 13.3% 374 41 11.0% 1.5%
2007(平成19) 1,651 314 19.0% 481 43 8.9% 1.7%
2008(平成20) 1,617 353 21.8% 593 118 19.9% 4.3%
電験二種
年度 一次試験 二次試験 一次×二次合格率
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
1997(平成09) 5,078 1,666 32.8% 2,331 603 25.9% 8.5%
1998(平成10) 5,704 1,944 34.1% 2,807 440 15.7% 5.4%
1999(平成11) 6,010 2,026 33.7% 3,169 367 11.6% 3.9%
2000(平成12) 6,339 1,837 29.0% 3,127 476 15.2% 4.4%
2001(平成13) 6,889 1,931 28.0% 3,023 370 12.2% 3.4%
2002(平成14) 7,405 1,855 25.1% 2,993 641 21.4% 5.4%
2003(平成15) 7,772 1,769 22.8% 2,731 480 17.6% 4.0%
2004(平成16) 7,536 1,777 23.6% 2,702[1] 303[1] 11.2% 2.6%
2005(平成17) 7,127 1,581 22.2% 2,551 545 21.4% 4.8%
2006(平成18) 7,038 1,523 21.6% 2,285 295 12.9% 2.8%
2007(平成19) 6,832 1,222 17.9% 2,156 245 11.4% 2.0%
2008(平成20) 6,693 1,572 23.5% 2,251 675 30.0% 7.1%
電験三種
年度 受験者数 合格者数 合格率
1985(昭和60) 20,788 2,343 11.3%
1986(昭和61) 20,584 2,201 10.7%
1987(昭和62) 22,248 2,232 10.0%
1988(昭和63) 22,312 2,778 12.5%
1989(平成01) 21,269 2,371 11.1%
1990(平成02) 20,609 2,548 12.4%
1991(平成03) 20,565 3,195 15.5%
1992(平成04) 23,021 3,334 14.5%
1993(平成05) 24,323 3,490 14.3%
1994(平成06) 28,548 3,903 13.7%
1995(平成07) 39,077 4,160 10.6%
1996(平成08) 51,895 8,646 16.7%
1997(平成09) 59,025 7,982 13.5%
1998(平成10) 54,386 5,804 10.7%
1999(平成11) 52,358 6,238 11.9%
2000(平成12) 55,767 6,703 12.0%
2001(平成13) 53,446 6,490 12.1%
2002(平成14) 53,804 4,364 8.1%
2003(平成15) 51,480 5,336 10.4%
2004(平成16) 44,661 3,851 8.6%
2005(平成17) 42,390 4,831 11.4%
2006(平成18) 41,133 4,416 10.7%
2007(平成19) 40,608 3,647 9.0%
2008(平成20) 40,140 4,361 10.9%

[編集] 電気主任技術者試験委員会委員

毎年、国家試験の終了後に、試験問題の作成等に関わった電気主任技術者試験委員会委員が公開されている[2]。 委員には、大学教員、電気保安法人関係者、電力会社関係者、電機機器メーカー社員、業界団体関係者、工業高校教員(三種)などが就任している。

[編集] 認定

工業高校電気科大学工学部電気工学科などの認定校において単位を取得して卒業し、法令に定められた実務経験を積めば、国家試験や講習を受けることなく免状を取得できる「認定制度」がある(認定は「電験」ではなく「電認」と言うこともある)。資格審査は実務経験年数と単位取得数にもとづき経済産業省によって行われる。

  • 第一種、第二種
    • 認定校を所定の科目を習得して卒業し、定められた年数以上の実務経験が認められた場合。
    • 1つ下位の資格を取得し、定められた年数以上の実務経験が認められた場合。
  • 第三種
    • 認定校を所定の科目を習得して卒業し、定められた年数以上の実務経験が認められた場合。

認定制度においては、免状交付申請の際、実務経歴証明書の内容に虚偽の記載がされる場合もあり[3]、認定制度の適正な運用が求められる。

[編集] 他の資格の受験資格等

電気主任技術者の保有者が受験(受講)可能、または、免除される他の資格

[編集] 脚注

  1. ^ a b 2005(平成17)年3月27日に実施した中越地震に伴う追加試験による受験者及び合格者を含む。
  2. ^ 電気主任技術者試験委員会委員の公表について(財団法人電気技術者試験センター)
  3. ^ 電気主任技術者免状交付申請について(関東東北産業保安監督部)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年9月8日 (火) 00:13 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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