Intel Atom

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Atom
Atom N270
生産時期 2008年から
生産者 インテル
CPU周波数 800 MHz から 2 GHz
FSB周波数 400 MHz から 667 MHz
プロセスルール 45nm
命令セット x86
x64(一部)
コア数 1, 2
パッケージ μFCBGA
コードネーム Silverthorne
Diamondville

Atom(アトム)は、米国時間2008年3月2日に発表されたインテル社が開発製造するマイクロプロセッサで、LPIAと呼ばれる低消費電力でIA-32アーキテクチャに基づくカテゴリの製品である。LPIA製品としてマイクロアーキテクチャから新規に開発された初めての製品となる。2008年夏から順次出荷されている。

目次

[編集] 概要

過去にインテル社のモバイル・組込向けプロセッサはIA-32製品ではなく、DEC (Digital Equipment Corporation) 社から買収したStrongARM部門の製品と、それを発展させた製品をXScaleブランドで販売していた。XScaleは携帯情報端末組み込みシステムのプロセッサとして採用され多くのPocket PCに採用された。

当時のIA-32製品は、競合していたSuperHARMと比べて回路規模やクロック周波数の高さから消費電力が大きく、パッケージも大きかったために、小型化や低消費電力が求められるモバイル機器や組込機器にはあまり採用されなかった。しかし、ソフトウェア開発に関してはIA-32プロセッサ向けの豊富な開発ツールやプログラミング技術者の層の厚さといった有利な面があり、その後の半導体プロセスやマイクロ・アーキテクチャの改良などの性能向上によって低消費電力化や小型化が行えれば、市場に受け入れられる環境は整っていた。インテルは2007年4月に、低消費電力でIA-32アーキテクチャに基づく新しいプロセッサ・カテゴリとして「LPIA」を提唱し、第一弾の製品としてIntel A100を発表した[1]。 これは専用に開発されたものでなく、既に販売されていたPentium Mマイクロ・アーキテクチャの第2世代にあたるCeleron M(コードネーム「Dothan-512K」、90nmプロセス)そのものであり、周辺チップも既存のICH7から消費電力の多いPCI Expressインターフェースを取り除くなどしたICH7Uが使われるなど新規性には乏しいが、XScale部門がMarvell社に売却された事[2] などもあり、インテルがIA-32製品でモバイル・組込機器市場に本格参入した端緒となった。

[編集] 機能

CPUに実装されている命令セットはIntel Core 2と互換であるとされ、x86命令、x87命令、そしてMMXSSESSE2SSE3SSSE3などの拡張命令を搭載している。製品により、Intel 64Intel VTハイパースレッディング・テクノロジーEISTNXビットが利用可能な物もある。また、新しくディープパワーダウン (C6)、スレッド別の低電力状態 (TCx)、CMOSバスモードなど電力管理機能が強化された[3][4]

[編集] 回路仕様

約4,700万個のトランジスタにより構成されており、これは現在のインテルのIA-32プロセッサの中では最も少ない。ダイサイズ25平方mm未満であり、インテル史上最小のx86プロセッサとして登場した。製造にはリーク電流低減に有効とされるハフニウム注入によるHigh-k(高誘電率)ゲート絶縁膜とメタルゲートによる45nmプロセス・ルールが採用されるなど省電力化が徹底されており、インテルのCPU史上最も低い動作電圧で動作し、消費電力でVIA Edenに比肩する。電圧を高くすることで当面最大で1.8GHz程度の動作周波数を予定し、それに応じて熱設計電力(TDP)は0.6W-2.5W程度と抑制された[5]

刷新されたCPUコアでは電力消費低減のために、インテル社の最新CPUでは当たり前となったアウトオブオーダー実行構造を捨てて、インオーダー実行を中心としていたi486Pentium時代の比較的古いマイクロアーキテクチャに立ち返り再設計された。過去の古いアーキテクチャを採用していても、結果的に生み出された製品は市場の要求に沿ったものが作られた[6]

[編集] ブランドと市場

[編集] Centrino Atom

ノートパソコン市場向けのインテル社の製品ブランドの1つCentrinoと結び付けられた「Centrino Atom」(セントリーノ・アトム)という製品群は、低消費電力が求められるデジタル・モバイル機器などでの採用を想定していた。インテル社のウェブサイトでは、ノートパソコンとPDAとの中間に位置するネットブックや組み込み機器向けとしている。CPUコアはコードネーム「Bonnell」(ボンネル)と呼ばれている。Bonnellを採用した製品は複数公表されており、それぞれ対象とする市場が異なる[7]

Silverhorneと統合チップセット(コードネーム「Poulsbo」(ポルスボ)、System Controller Hub - SCH)を組み合わせたプラットホーム(コードネーム「Menlow」)には、インテル Centrino Atom プロセッサー・テクノロジー(Intel Centrino Atom processor technology、セントリーノ・アトム・プロセッサー・テクノロジー)というブランドネームが与えられた。

[編集] Embedded Menlow

組込機器向けの、コードネーム「Embedded Menlow」(エンベデッド メンロー)もSilverhorneとPoulsboで構成される。組込機器においては「同じものが長期間に渡り調達可能であり続ける事」が重要となるため、ライフサイクルサポートを7年としている点が異なる。

[編集] Canmore

Canmore(キャンモア)はセットトップボックステレビ向けのシステム・オン・チップ製品である。2008年後半に出荷予定[9]

以下の機能を持つ。

[編集] Sodaville(ソーダヴィル)

Atom CE4100(開発コードネーム:Sodaville)は、家電向けシステム・オン・チップ製品で 45nm プロセスで製造され。2009年9月24日にIDF Fall 2009で発表された[10]。CE4100 CE4130 CE4150の3製品が公表されている。[11]

[編集] Moorestown(ムーアズタウン)

Menlowに続くプラットホームとしてコードネーム「Moorestown」が2009年 - 2010年に予定されている[12]。Moorestownでは待機時消費電力を10分の1にするとしているので、スマートフォンのアプリケーションプロセッサなどへの採用が想定されている。

[編集] 製品群一覧

SKU[13] 動作周波数 FSB 2次キャッシュ HT対応 64bit対応 VT対応 EIST対応 TDPHT
Z550 2.0 GHz 533MHz 512KB × 2.4W(2.64W)
Z540 1.86 GHz 533MHz 512KB × 2.4W(2.64W)
Z530 1.6 GHz 533MHz 512KB × 2W(2.2W)
Z520 1.33 GHz 533MHz 512KB × 2W(2.2W)
Z520PT 1.33 GHz 533MHz 512KB × 2.2w
Z515 BPT[14]:1.2GHz HFM[15]:800MHz 400MHz 512KB × × BPT:1.4W HFM:0.65W
Z510 1.1 GHz 400MHz 512KB × × × 2W
Z510PT 1.1 GHz 400MHz 512KB × × 2.2w
Z500 800 MHz 400MHz 512KB × × × 0.65W
N280 1.66 GHz 667MHz 512KB × × 2.5W
N270 1.6 GHz 533MHz 512KB × × 2.5W
230 1.6 GHz 533MHz 512KB × × 4W
330 1.6 GHz x2 (※デュアルコア) 533MHz 512KB x2 × × 8W

[編集] 補足

2次キャッシュの容量やFSBの速度はモバイルPentium 4-Mと同程度。実質的な処理速度でも、同クロックのWillamette・NorthwoodのPentium 4やNorthwood-256kのモバイルCeleron、Prescott-V(Prescott-256K)のCeleron D、Banias-512K・Dothan-512K の超低電圧版Celeron Mと同程度であるが、同クロックのZ530(FSB533MHz 1.6GHz TDP2.2W(HT))とモバイルPentium 4-M(Northwood FSB400MHz 1.6GHz TDP46.8W)とで比較した場合、TDPは後者の約4.7%となり、エネルギー効率は格段に向上した。

230と330に関しては、各社からMini-ITXマイクロATXのマザーボードに実装された状態で発売され、いずれも概ね1万円以下で入手可能である。CPUのみの交換はできないが、自作デスクトップPCとして組み立てることが可能である。

このうち、2008年9月より出荷された330は、CPUパッケージに230を2個搭載させたデュアルコアモデルである[16]。330はまずデスクトップパソコン(ネットトップ)において発売を開始、2009年6月にはネットブックへの搭載機種が発売された[17][18]。330搭載のネットトップについては消費電力が少なく、相応の性能があるためファンレスの超小型パソコンなどで主にショップブランドなどで発売されている。

[編集] 脚注

  1. ^ インテル (2008年1月19日). "Intel Processor A100 and A110 on 90 nm Process with 512-KB L2 Cache DatasheetPDF" (英語). 2008年4月5日 閲覧。
  2. ^ インテル (2006年6月27日). "Marvell To Purchase Intel’s Communications And Application Processor Business For $600 Million" (英語). 2008年4月5日 閲覧。
  3. ^ Intel Atom Processor Z5xx Series Datasheet - Apr 2008 Intel
  4. ^ 最初に出荷された製品は、I/Oパッドを両サイドに配置した細長い長方形のダイ・レイアウトで、製造効率が最も高いとされる正方形のダイ形状ではなかった。今後、Atomのマルチコア化を目指すなら、細長いダイ形状に両サイドのI/O部という配置が設計を容易にすると考えて、将来的にマルチコア製品が発売されることを示唆しているという意見もある。
  5. ^ IEEE Spectrum: The High-k Solution - Mark T. Bohr, Robert S. Chau, Tahir Ghani, and Kaizad Mistry - 2008
  6. ^ インテル社が公表したAtomのダイの写真は過去に示されたi486と非常に似ていた。i486より若干長い部分は大容量キャッシュメモリと現行世代のフロントサイドバス・コントローラが占めている
  7. ^ Technology@Intel · Deciphering Intel codewords for Mobile Internet Devices (MIDs)
  8. ^ MID(Mobile Internet Device, モバイル・インターネット・デバイス)は、2008年4月に米インテル社が示した新たなノートパソコンのカテゴリーである。
  9. ^ 日経BP
  10. ^ インテル (2009年9月25日). "インテル、インターネット TV を実現する SoC 製品 インテル® Atom™ プロセッサー CE4100 を発表". 2009年10月1日 閲覧。
  11. ^ インテル (2009年9月25日). "Intel® Atom™ Processor CE4100". 2009年10月1日 閲覧。
  12. ^ PC Watch
  13. ^ SKU - Stock Keeping Unit; Intel Atom Z5xxシリーズは、CPU+SCHを出荷単位とする。
  14. ^ BPT - Intel Burst Performance Technology
  15. ^ High frequency mode
  16. ^ 疑似クアッドコアのAtom 330、消費電力が上昇:ニュース
  17. ^ 【特別企画】台湾ネットブック開発者インタビュー MSI編
  18. ^ サードウェーブ製の「Prime Note Cresion NA」においてIntel Atom 330を搭載。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月3日 (火) 10:59 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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