LPG自動車
LPG自動車の最新ニュースをまとめて検索!
LPG自動車 (エルピージーじどうしゃ) は、LPガス(液化石油ガス)を燃料とするオットーサイクルエンジンを主とした低公害車である。LPG車、プロパン車、LPガス自動車とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 燃料としてのLPG
LPGは液化石油ガスの略で「完全な石油生成物」と誤解されやすいが、実際には石油随伴・天然ガス随伴・石油精製・天然ガス生成など石油以外のソースも持つガス体燃料である。2気圧から8気圧という低圧で液化し、体積が250分の1となり携帯性に優れ、圧縮天然ガス車(NGV・CNG車)の200気圧と比較して積載性に有利である。オクタン価は、ブタンで約90RON、プロパンで130RONとなり実際に流通しているブタン 8:プロパン 2 の比率では約105RONとなり、ハイオクガソリン(プレミアムガソリン)並みのオクタン価である。
一般的に排気ガスを減らす「グリーン」な燃料として広く使われている。ガソリンと比較した場合、CO2排出を約20%減少させることができる。(英語版19:16, 23 February 2009より)
[編集] 燃料供給方式
[編集] ガスミキサー
LPG車の性能は、ガソリン車並またはガソリン車以上である。従来型のLPG車においてエンジンに燃料を供給する燃料供給装置は「ガスミキサー」と呼ばれるが、これもガソリンエンジン車のキャブレター方式に似たものである。
ガスミキサー方式では、十分な効率が得られない場合もある。これはガスミキサーはガソリン車のキャブレターと似たシステムの為、運転に即した燃料供給が難しく運転性の向上が難しい。
このタイプの車両は、世界各国のLPG車に現存する。
[編集] ガス・インジェクション
ガソリンエンジンのEFI・EGIのようなマルチポイントインジェクションを持つタイプが登場している欧州や韓国では、ガソリンと同様な電子制御噴射方式が主流となり、大幅な出力の向上を見ている。出力は、同一のベースガソリンエンジンと比較して、LPG液体噴射方式では同等気体噴射方式で約97~100%となり出力的にはガソリン車とかわらない。イタリアのロバート、AG、日本のニッキが開発している。液体噴射の場合、燃焼だけでなく、気化する際の膨張圧力(体積で250倍)の利用や、蒸発潜熱による吸気の急速冷却による吸気効率向上による出力向上もある。液体噴射ではオランダ・ヴィアレ社と韓国モトニック社、日本の愛三工業が開発している。代表的なシステムとしては下記のものがある。
[編集] 気体噴射方式(VPI)
LPガスを一度液体から気化させ、CNG車と同様なシステムを使用して制御する方式(近年のCNG車の性能向上により同時にLPG気体噴射もガソリン車並になった)気体噴射では、LPG・CNGで噴射システムを共用できることから量産効果が高く、スウェーデンのボルボではLPG車とCNG車を同一システムで構築し量産効果を上げている。
主要サプライヤー:オランダ・ネカム(現TeleflexGFI)(市販中・ボルボOEM採用ボルボ代替燃料車サイト)、日本・ニッキ(市販中)
[編集] 液体噴射方式(LPI)
LPガスを液状のまま噴射し、LPガスの膨張特性と蒸発冷却を利用した高効率方式
主要サプライヤー:オランダ・ヴィアーレ(市販中)、日本・トヨタ(愛三工業による部品供給)1TR-FPEエンジン搭載車(市販中)・ニッキ (開発中)、韓国・モトニック(ヒュンダイ・キアOEM向け、レトロフィット部品市販中)
[編集] ガス自動車のランニングコスト
昨今の原油価格高騰で、ガソリンや軽油は全世界的に急激に価格が上昇している。こうした中でもガス燃料は相対的に低コストを維持している。 一例として日本政府の外郭団体である石油情報センター燃料価格情報によると、2007年11月でレギュラーガソリンは145円、軽油は121円でありLPガスは84.1円となっている。2009年3月現在ではレギュラーガソリンは112円、軽油は100円となっているが、LPGは76円である。但し一部自治体では地方税をかけており、その場合はかえって割高となる。
諸外国を見ると、欧州では日本円相当でレギュラーガソリン250円、軽油200円、LPG100円となっている。日本ではLPG車の燃料であるLPガスを指す「オートガス」では100円前後である。同じガス体燃料であるCNG車の燃料「天然ガス」でも78円であり、相対的にガス燃料が安い状況にある。しかし、CNGは諸外国では30円~50円程度であり日本と諸外国の価格差は大きな差がある状況にある。
当初、日本の都市ガス各社は、天然ガス価格は長期間契約で一定であるとしていたが、日本では無税のCNGも公定価格の78円から大幅に上昇しており、平成21年1月には東京地区では何と1Nm3で112円まで上昇している。天然ガス価格の例これは世界のCNG車燃料の状況を考える時、恐ろしく高価な「自動車用ガス燃料」である。 なお、諸国のうち日本ではCNG・水素は道路財源(道路特定財源制度)としての燃料課税は無税、LPGは1L9.8円(1kg17.5円)課税されており、クリーンエネルギー自動車は優遇されている。
日本のガソリンや軽油の価格は高いとよく言われるが、日本、米国以外の欧州やアジアの非産油国では(為替や自動車燃料政策的なこともあるが)前述のとおり円換算でガソリン1L:250円、軽油は1L:200円程度が一般的であり、現地価格で70-100円のLPG、30-50円のCNGに転換する人々が多い最大の原因ともなっている[要出典]。
[編集] 燃料噴射方式のLPG車メーカー
2008年時点
- GM大宇(韓国) - トスカ(気体噴射方式)
- 起亜自動車(韓国) - オピラス、ロッツェ、新型カレンスCUV、フォルテLPiハイブリッド
- 現代自動車(韓国) - グレンジャー(TG-LPI)、NFソナタ(NF-LPI)、ヒュンダイ・スターレックス、アバンテLPiハイブリッド
- GMホールデン(オーストラリア) - コモドア
- ボルボ・カー・コーポレーション(スウェーデン) - S80、V70、S60(2005年モデルで一旦生産中止)
- ルノー(フランス) - ラグナ/ラグナエステート
- ルノーサムスン(韓国) - SM5
- トヨタ(日本) - ダイナ/トヨエース1.5トン積トラック、クラウンセダン/クラウンコンフォート/コンフォート(TSS10系/TSS11系)
このほかは全て、ディーラーや架装メーカーで改造される(レトロフィット)のLPG車である。ヨーロッパでは、日本や各国ののインポーターが独自にレトロフィットするケースも多く、マーケットの事情に応じて改造後の保証も含めてインポーターの責任で行い、OEMモデルと同等の扱いで市販するケースもある。その代表例としてSubaru ecomaticがある。このドイツでのサイトを見ると日本の富士重工が自ら設定しているように見えるが、実際には現地インポーターの仕様である。手間のかかったことに、通常LPGキット汎用品で使われる切替スイッチがSI-DRIVEセレクタ-の上に専用で設けられる(構造図解あり)。
ボルボV70LPGバイフューエル/S80LPGバイフューエルは欧州を中心に年間4000台が市販された。トランクスペースを阻害しないガスタンク床下収納、万が一の燃料切れを想定した最小限の29Lの予備ガソリンタンクが備えられている。イギリス・イタリア・フランスを中心に販売されたが、日本にも本格的な導入を見越した走行試験車があるが、2005年に突然計画は中止されV70とS80が各1台、この他に大使館車でS60・V70の2台が確認されているだけである。
この車両は本来、経済産業省の調査事業でLPG車の燃料タンク・附属バルブ等の規格が欧州(ECE基準67号)と日本国内での規格(高圧ガス保安法容器保安規則)で異なるものを日本の規格に適合するかどうかの調査を行い、日本での認証を取得、本国メーカーの協力を得て日本での走行試験を実施すると同時に、販売を企画していた。現在でも全国の低公害車フェアなどで展示されている。 また、06年10月30日にはヒュンダイモータージャパンより輸入量産LPG車として初めてグレンジャーLPIが日本でも販売開始された。この車両も前記ボルボと同時期に、法律的には似ているが相互認証のない韓国規格の日本認証を実施した結果、日本で初の量産輸入LPG車として発売された。しかし、世界各国ではLPG車などガス自動車の基準はECE基準に整合が行われ、その対象とならない国は、日本・大韓民国・中国の3カ国のみである。
[編集] 環境性能
LPG車の最大の特徴は、黒煙が全く排出されず、PM (粒子状物質)も測定限界以下、低NOx であることである。LPガスはC分(炭素)が 3~4 と少なく、逆にH分(水素)は8~10と多い為、CO2排出量も同一排気量エンジン・同一燃料供給方式のガソリンエンジンに比較して約12~15%、ディーゼルエンジンに比較しても約6%少ない。 CO2の排出量は、日本の自動車業界においては一般的に「ガソリン車と同じ」と言われていた。同じ排出ガス規制を適用する日本政府オランダやフランス、イギリスなどではLPG車は「代替燃料車」として明確に区別されている。
日本の自動車業界は「ガソリン・LPG同一排出ガス」との呪縛に縛られているようである。しかし、最初の排出ガス規制である昭和47年排出ガス規制では、ガソリンとLPGは明確に分類されLPGの方が厳しい排出ガス規制となっている。日本の排出ガス規制経緯また「同一の車型・同一エンジン・同一燃料供給方式エンジンでのガソリン・LPGの比較」をした公表資料が殆どなく、また一般にも公開されていなかった。しかしながら、日本においても「同一の車型・同一エンジン・同一燃料供給方式エンジンでのガソリン・LPGの比較」実証が2005年から行われ測定を実施した結果では下記の結果となる。CO2排出量の比較測定も、自動車のグローバル基準機関としての国土交通省の認証機関である財団法人日本車両輸送技術協会で実施されている。
[編集] 普及状況
世界LPG協会(WORLD LP GAS ASSOCIATION)が発刊した『2006 世界LPG統計資料』では前年度に比べ10.5%増加し、1145万台を超えている。その大半は乗用車(マイカー)が世界の中心であって日本のようなトラックは比較的珍しい。大型エンジンでは燃料組成をプロパンを多めにすることで利用でき、ヨーロッパや中国、韓国で9,000~12,000ccクラスのエンジンを搭載したLPGバスが実用化されている。また、LPG車普及台数では第1位が韓国の230万台、(乗用車保有の20%)第2位がポーランドの200万台、第3位がトルコの150万台、第4位イタリアの99万台、第5位メキシコ75万台、第6位がオーストラリアの51万台となっている。普及割合は、韓国・欧州が多く欧州平均では総保有の1%~6%となっているが、近年はオーストラリアや東欧での増加が目覚しい。
[編集] ガソリン車改造LPG車
LPG車でよく聞かれる「改造車」というのは、燃料供給方式をベースのガソリン車からLPG用に変更したもので、各国の道路交通行政機関から公認改造を得るものである。英語では「レトロフィット」と呼ばれる。
しかし、近年まで各国の標準とされたガスミキサータイプは経時変化によるアイドリング調整の煩雑さやバックファイヤの発生、性能維持に課題がある。ガソリン車と比較した場合、燃料噴射のEFI・EGI・ECCI等が一般的になりアイドリング調整も自動調整されるようになっているため、LPG車でも当然ユーザーは最新のガソリン車と同等のメンテナンスフリー性能を求めるようになりガスミキサータイプの改造車は敬遠される傾向にある。いまどき「ガソリン車でキャブレター車が市販されていない」状況と同じで、LPG車だと言っても、「キャブレターと同等の手間のかかるガスミキサー方式」が求められるわけがない。 これらのマーケットニーズを受け、欧州LPG車で採用されている「電子制御ガス燃料噴射(マルチポイント)」と同様なシステムが開発され普及してきた。特にガス自動車後進国である日本でも普及し始めている。近年ではニッキグループの開発したニッキVPIシステムを採用した車両や田中モータース・ビーコムの開発したELPIでの改造、LPG内燃機関工業会(問合せは電話のみ、会員代表HPLPG内燃機関工業会会員)が欧州技術(イタリア・ロバート社)を導入して開発したFASTシステムでの改造キット開発が進んできている。
電子制御ガス噴射システム採用の場合には、ガスミキサー方式のような、経時変化によるアイドリングや燃料供給量の調整や、性能維持もすべて現状のガソリン車と同様に自動化されており、全くガソリン車と変わらない同等のメンテナンス性や出力などを備え、市場の評価も高く急速に増加してきている。
改造費用は、車種によって異なるが排出ガス試験を終了した認証済車種では日本円で35~60万円程度となる[要出典]。
ただ、タクシー等長距離走行(生涯25-50万キロ)をする車両では、ガソリンエンジン用のバルブ・バルブシートでは、潤滑性のないLPG燃料による磨耗、熱劣化が大きく、バルブクリアランスが取れなくなる。諸外国の改造車ではバルブ・バルブシートの交換が行われたり同様な性質を持つCNG車やアルコール燃料使用車と同じ強化エンジンバルブ・バルブシートに対応するケースも多い。
面白いもので、日本の自動車メーカーの国内向けのガソリン車を改造するとエンジンバルブ系の問題が出るが、輸出向けのガソリン車ベースではそのまま改造を行っている[要出典]。日本国内では走行距離を10万キロ程度と判断し、長距離走行や燃料品質の一定しない諸外国向けには強化タイプのバルブ・バルブシートを使用している。諸外国のBMW・ボルボ・ヒュンダイ・キア等の輸入車では、もともと地域毎に異なるガソリン品質での課題や、北米・南米でのアルコール混合ガソリン使用の問題からベースガソリン車であっても強化エンジンバルブが使用されており問題が発生しないと言われる。このため欧州を中心としたマーケットではレトロフィットによる改造が盛んでディーラー等でカーステ取付並みに純正部品があり改造されている[要出典]。
[編集] ディーゼル車改造LPG車
ディーゼルエンジンからの改造は、エンジンを点火プラグを使用するガソリンエンジンと同様なシステム(オットーサイクル化)に改造し、燃料供給装置をLPG用とする必要がある。それには圧縮比の変更や、プラグの新設等のため燃焼室形状を変更する必要がある。具体的にはシリンダーヘッド、ピストン、コンロッドなどを新たに設計し直し、事実上エシリンダーブロックのみを利用するような形態となる。実例としては日本のいすゞ(4.6Lベース、CNGも共通)、三菱ふそう(3.9Lベース、CNGも共通)、トヨタ、日野(4.1Lベース、CNGも共通)が開発販売しているLPGトラックは前記のような作業を経てLPG化されている。また、北米でも同様な改造が盛んでスクールバスの改造が行われている。
また、韓国ソウル市では規制対象となる使用過程車のディーゼルトラックをLPG化する改造が行われており、2005年度だけでも6000台が改造され、更に増加する見込みである。改造費は物価の違いもあり、1台約40万円で行われている。技術的にもミキサータイプだけではなく、LPI(LPガス液状噴射システム)も採用されている。
通常、出力は元のディーゼルエンジンを凌ぐが、最大トルク発生回転がガソリンエンジンなみに高くなるため、トラックのようにパワーウェイトレシオが大きい場合、発進時にはディーゼル車に比べ、力不足となる。そのため、好みや使用状況によっては最終減速比を下げる等チューニングする必要がある。
[編集] 世界での動向
LPG車の普及を世界で見ると、年代により変化がある。1990年代にはオランダ、フランス、イタリアが中心となったが現在は飽和状態にある。2000年代に入るとイギリス、ポーランド、オーストラリア、韓国で急激に増加している。
諸外国ではLPG改造車をメーカー系のディーラーで取り扱い、ヨーロッパのインポーターと販売店の関係では、一定の基準を満たしたLPG改造キットを「インポーター承認のあるディーラー純正部品」として扱う傾向が多い。
イギリスでは、政府のパワーシフトプログラムにより普及が進んでいる。燃料税の優遇の他、ロードプライシングでの通行税免除や、バスレーン通行許可等の多数の優遇があり、エネルギーの分散化の一手として行われており、周辺のオランダなどからLPG改造した車両の輸入も多い。
欧州でのLPG車のシェアは、どの国でも全保有台数の約5%程度である。
また最近ではポーランド、ハンガリー等の東ヨーロッパ、オーストラリア、フィリピン等西アジアでは急速にLPG車が増加している。また、CNG車はタイ等でも急速に普及が進んでいる。諸外国では100%石油に依存するガソリン・軽油に頼るだけではなく、天然ガス随伴ガス、石油精製、石油随伴等、マルチソースを持つLPガスや、メタンガスとしてあらゆる地域から産出する天然ガスを利用する方向にあるともいえる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月30日 (月) 09:57 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【LPG自動車】変更履歴


